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「豪雨の予感」第22話(水害被害ストーリー)

愛子は佳奈の話しを聞きながら窓の外から微かに見える内堀を凝視していた。その内堀の手前にあるランニングコースの茶色い地面に、茶色く濁った堀の水が溢れ出ているようにもみえる。

「うちのメガネ使ってみて、はい」
佳奈は愛子のメガネを借りて外を見た。裸眼だけでは見えてなかった豪雨の景色が目の前に現れてきた。
「え、こんななってたん!めっちゃ雨降ってるやん!あ、ほんまや、堀の水溢れそうになってる。もう溢れてるであっこ見て!」

堀の上スレスレまで上がって来ている堀の水は今にもランニングコースに流れ出しそうになっている。このまま豪雨が続き内堀の水嵩が増えると、ランニングコースどころかその横の緑地帯さらにその横にある車道にまで水が流れ出てくるだろう。それと同時に車道は川のようになって台地を下った先にある大川まで一気に水が流れ落ちるのも想像にかたくない

今車道を行き来する車はいずれも豪雨の中で見通しが悪くスピードを緩めている。車はバンパー部分をブルドーザーのようにして車道に降る豪雨を押し出すようにして進んでいる。一般的に車は冠水するとエンジンがかからなくなる。エンジンがかかったとしても電気系統が冠水していたらショートしてすぐにエンジンが止まり二度とエンジンがかからなくなる。その境目になる浸水深は普通乗用車の場合は50センチで、マフラーから浸水し床下の電気ケーブルにも影響してくる。またドアの隙間から車内に水が入ってくるほどになると、エンジンがかからなくなるだけでなく、乾いた後の車内の臭いにも悪影響が出てくることも多くとても厄介だ

「こんななってんの今まで見たことないわ」
「うん、てことは朝上がってきた地下鉄の駅はもう冠水してんの?。え、地下に入った水ってどうやって抜くんやろ、永遠に抜けんかったらうちら帰られへんやん」
「いや、ちゃんと排水管があって駅のさらに地下にあるでっかい雨水管から寝屋川に流れでてるから…え、寝屋川の水位大丈夫やんな?」

再び豪雨になり始めたタイミングでの大雨特別警報の通知だったこともあり、クラスもざわつき始めた。愛子も急に自宅が心配になっていた。

第23話に続く
(このストーリーは実話を下にしたフィクションです。一部実在する名称を使用しています)

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