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【訴訟外紛争処理の代表格】

公益財団法人交通事故紛争処理センター
全国11箇所に設置され、加害側に自動車任意保険会社である損害保険会社が窓口となっていること、損害について全てが確定していること等を条件に法律相談・示談あっ旋・審査を行っている訴訟外紛争処理の代表格です。
設置されていない地域で最寄りセンターでは遠方な場合は各都道府県弁護士会でも所属当番弁護士による法律相談・示談あっ旋はされてますが、審査はなく不調となると訴訟提起をアドバイスされます。


公益財団法人交通事故紛争処理センターホームページより抜粋

 上記は、交通事故紛争処理センターでの利用の流れですが、利用にあたっては「センターの業務」や「ご利用にあたってご注意いただくこと」を確認され、必要に応じてセンター事務局にご確認ください。
(以下、Geminiにて生成された内容の引用です。)

  1. 被害者の方々は、自動車損害賠償責任保険を始めとする各種の保険制度により、一定の補償を受けることができます。しかし、示談交渉の知識や経験がないために、正当な賠償を受けられないケースも少なくありません。

  2. 交通事故紛争処理センターは、このような状況に対応するために、1974年に設立された中立公正な機関です。交通事故に関する紛争の適正な処理を図ることを目的とし、全国11ヵ所に拠点を持つ公益財団法人です。

  3. 和解あっ旋: 加害者と被害者間の話し合いを整理し、双方が納得できる和解の成立を促進します。

  4. 審査: 和解あっ旋で合意に至らない場合、被害者から申請を受けて、専門家による審査を行います。審査結果は、裁判における証拠として利用することが可能です。

 と交通事故紛争処理センターの主旨は以上でありますが、その運営財源は以下のとおりです。

「運営財源は、国内・外国損害保険会社、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)、全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済 coop)、全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連)、全国自動車共済協同組合連合会(全自共)、全日本火災共済協同組合連合会(日火連)(以下「保険会社等」といいます。)から拠出されています。」

要は、損害保険会社等から出資を受けて設立されているものの、公平な観点で迅速な解決を図る目的ではあるものの被害者救済に趣をおいており、加害側には圧倒的に不利に働く可能性の高い紛争機構のひとつといえます。

そのため、被害者側が弁護士をたてているにもかかわらず紛争処理センターに申立を行えば、加害側は批判的印象を抱きますし、また、紛争処理センターに申立の気配を察知すると申立前に加害側が債務不存在確認請求事件の訴訟提起を図り、紛争処理センターへ申立を出来ないようにすることがあります。
紛争処理センターへの申立と訴訟提起された場合の扱いについては「センターの業務」に注記があると思いますので、処理センター事務局への確認相談と合わせてご確認ください。

ちなみに、加害側自動車任意保険会社である損害保険会社が紛争処理センターを嫌う理由は、次のとおりです。

  • あっ旋を担当する嘱託弁護士があっ旋を纏めることに捕われ、非公開の中で公平・中立なあっ旋がなされない。

  • 提出された主張や書証をまともに読み取らないため、担当する嘱託弁護士の理論のみで折り合いをつけようとし、折り合わない場合は赤い本と言われる民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(日弁連交通事故センター東京支部編)を加害側に押し付ける。ちなみに通称青本と呼ばれる「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター本部編)があり、赤い本の基礎的内容を記しておりますが、各損害項目で示される基準金額には幅があり、幅の採用にあたってはより個別具体的に証拠に照らし斟酌することになるため、都合の良い時だけ裁判所でも使用していることを理由にして平準化された赤い本の内容であっ旋案を示す。

  • 申立人が本人の場合も多いため、説得が難航する場合がある。また、申立人が代理人弁護士の場合も同様である。

大半の損害保険会社担当者は紛争処理センターでのあっ旋として、加害側である保険契約者に対しても言い訳出来るため、提示されたあっ旋を安易に受け入れがちであるが、損害保険会社の担当者によっては審査までキチンと持ち込み、審査で出た結果に対しては基本的に拘束力が生じるため、そこまでやった上で結果を受け入れこともあります。

 この制度も本来は迅速な被害者救済を目的としたものでありましたが、裁判所での係争も年々増えていることや時間的にも経済的にも負担があるため等、様々な理由を踏まえて、戦略的に紛争処理センターへ申立を行い、賠償利得を得ようする考えをもつ疑わしい申立人や申立人代理人もいるので真の公平・中立を考えると少し制度や手続きについては見直しを図る時期にきているのではないかと思う伏も個人的にはあります。

ちなみにここまでは加害側視点でお話をしておりましたが、被害側の立場であれば、圧倒的に紛争処理センターへの申立を勧めると思います。また、紛争処理センターへの申立を含む手続きはすべて出向く必要があり、結構手間がかかります。弁護士費用特約を利用出来る場合は経済的負担の心配もなく、いわゆる裁判基準と同一またはそれに等しい賠償金を得ることが出来ますので、不用意に裁判にするよりは断然負担が軽減されます。

立場により、言う事が代わりアレ?っと思われるかも知れませんが、これが交通事故における損害賠償では当たり前のことなのです。

次回は、東京地方裁判所民事第27部(交通部)についてお送りいたします。

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