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言語を学ぶのは何のため?-英会話教材を自分で作ってみた話【ChatGPT】

もはや今更になりつつありますが、ChatGPTの活用方法です。

英語で会話ができる、ってどういう状態?

日本人にとって英語を話すことができるというのは、それだけでアドバンテージというか、「とても特別なこと」と認識されるかもしれません。

かくいう私も母国語は日本語で、日本式の英語教育を受けてきた人間です。旅行や大学の研修旅行などで海外に行った際はうまく話すことができず、「もっと話せるようになりたい」と思いながらも、帰国後はその気持ちを忘れてしまう…私のような経験のある人はとても多いと思います。

会社に入り最初の海外出張が2年目だったのですが、そこでうまく話せない現状に初めて「これはまずいな」と感じたのを強く覚えています。そこから英会話の勉強を始めました。

英語を話せればいいよねとは言うものの、「英語を話すことができる」とは一体どういう状態を指すのでしょうか?

例えば、以下のような状態が挙げられると思います。

・相手の応答にリアルタイムで(即座に)応答できる
・言葉の定義に関する質問で会話を遮らない
・わからない単語があっても別の言い回しで表現できる
・(1対1の場合)話す分量が偏りすぎない、双方向である

ここでポイントなのは、英語を話せるという理想状態は、英語でよどみなく会話が続けられる、ということだと思います。スムーズに、双方向に言葉が行き交うこと、それがリアルタイムで行われることが重要なのです。

英語を話せないという人は、まったく1単語も発することができないということを意味しているわけではないと思います。数単語だけなら、時間をかければ、実質英語を話すことはできるはずです。ただそれがタイムリーによどみなく行うことができないから、「話せない」と認識するのではないでしょうか。

リアルタイムで反応できればいい、とそんな簡単に言われても…そう思いながらも当時学習方法を模索していく中で、初めて、「瞬間英作文」という概念に出会いました。

瞬間英作文とは

瞬間英作文については著:森沢洋介氏で書籍が出ています。書籍の内容について下記リンクから引用すると、このような定義になるようです。

"「瞬間英作文」とは、中学で習うレベルの文型で簡単な英語をスピーディに、大量に声に出して作るというものです。このトレーニングを続けることで、頭の中に英語回路が出来上がり、学校で習った「知っている英語」「使える英語」として生まれ変わります。
簡単な英文さえ反射的には口から出てこない、相手の話す英語は大体わかるのに自分が話すほうはからきしダメ、という行き詰まりを打破するのにとても効果的なトレーニング方法です!"

シリーズ累計151万部突破!英会話の超ベストセラー!!どんどん話すための瞬間英作文トレーニング - いつも、学ぶ人の近くに【ベレ出版】 (beret.co.jp)

私も実践し始めてしばらく経つのですが、まとめると以下のポイントになります。
<ぱっと日本文を見た瞬間に英語を発話する>
  片ページに和文、もう片方に英文が記載されています。和文を見て瞬間的に英訳を口にする、というのを繰り返していきます。
<単語学習の英文バージョン>
単語帳の英文バージョンと言っても良いでしょう。
<どちらかというと瞬時に英語を発話するトレーニング>
やり始めてみると、最初は結構詰まります。中学英語の文でも一文にするまでには時間がかかってしまいます。ただ慣れてくるとポンポン英文を発することができるようになりました。これがいわゆる英文の回路ができるということなのでしょう。

ChatGPTを活用した瞬間英作文の例

著書にもあるように中学レベルの例文で英会話の基礎を固めるのは重要だと思いますが、いかんせんやり切ってしまい何周も終えてしまいました。単語のレベルとしては日常会話レベルなので、さすがにもう少し語彙を増やしたい、が中々同じような形式の教材は見つからない…

そんな折ChatGPTの話題もどんどん増えてきていることから、ChatGPTを活用した英語学習事例を調べてみました。以下はその例になります。

・単語の覚え方やオリジナルの単語帳作成など

ChatGPTを使って英語を勉強する - Qiita

https://qiita.com/Aki-W/items/e794e39fee65cb266325

・テキストベースでの英会話レッスンを模擬した事例も

GPT4の英会話レッスン!試してみた。|MAIMAI(移住者とChatGPT)|note

https://note.com/f4727/n/n474393d81e2a

・ChatGPTを利用した英会話サービスなども出てくるようです

EnlishCentral、ChatGPTを活用した英会話サービスを開始 | ICT教育ニュース (ict-enews.net)

https://ict-enews.net/2023/04/13enlishcentral/

色々調べてみると、下記サイトを見つけました。先ほど紹介した瞬間英作文の考え方を適用しやすい事例だったので、これを参考にオリジナルの教材を作ってみることにします。

子ども用に英単語の教材がほしい→ChatGPTに任せるとここまでのものを作ってくれます「やっぱ使い手の技量も大事」 - Togetter

https://togetter.com/li/2058339

内容としては、自分の覚えたい単語を元に英文と和訳のセットを表形式に出力させるというものです。文字数制約や表現の仕方など、色々と指示してカスタマイズできるのはChatGPTならではの良さだと思います。

目的に応じて学びたい英会話を限定しよう

英会話と言っても色んなシーンがあるので、まずはビジネスシーンで使うものと想定してみます。となると参考にするものはTOEICの単語帳ですね。(最適か?は謎ですが。笑)
webミーティングやメール・出張などの場面で使えるといいなと思います。ビジネスということなので、ある程度フォーマルな表現にしたいですね。

とりあえずChatGPTさんにはこんなニュアンスを伝えてみることにしましょう。

最適な教材フォーマットを定義

基本は英文と日本文のテーブル形式にします。片側に英文、もう片側に和文を置いて、英文を隠しながら瞬間英作文を実践したいです。この辺は参考にした方のものと同じです。

付け加えたい要素としては、覚えたい単語もセットでテーブルのカラムに加えたいという点です。一応TOEIC単語を覚えるということも兼ねているので、「この文で最低限覚えるべき単語は何だっけ?」を都度振り返るのに役立ちます。

あとは、長すぎず短すぎず、適度な単語数の文にするといったところでしょうか。

トライアンドエラーで作ってみる

とりあえず作って見ながら適宜修正していきましょう。

まずは下の例を試してみます。単語帳から適当に10個選び、これを元に英文と和文のセットをテーブルに作ってもらいます。

そして出力はこちら。おお、最初から結構いい感じにできていると思います。文法的にも一見問題ないように見えます。

今度は、「例文は日常会話やビジネス会話を想定して作成してください」とリクエストを追加します。

結果がこちら。あまり違いは分かりませんが…笑
そもそもフォーマルな表現がデフォルトなのでしょうか?それともビジネス色をもっと強めるようなリクエストをすればよいかも?

とりあえず気持ちの問題として、さらに別のリクエストを続けます。

今度は色々な文法表現を練習したいので、様々な文法をランダムで使用するようリクエストします。ここまで丁寧に指示しなくても良いのかもしれませんが…

そして出力がこちら。表現の幅が変わっていると言えば変わっている…?これも気持ちの問題かもしれませんね。もっとたくさん文を作ってみると違いがわかってくるかもしれません。

なんだかんだ言ってここまでは順調です。それでは次に覚えたい単語も追加でカラムに表記しましょう。

出力がこちら。

違う、そうじゃない。ここで初めてスタックしました。文に使用されている主要単語?を複数出力してしまっています。これではどの単語を元に文を作っているのか後で見直しづらいです。

もう一度同じリクエストをしてみた結果がこちらです。テーブル表記はどうした、と思ったら途中でテーブルになりました。同じリクエストを連続ですると結果が変わってしまうのはChatGPTあるあるなんですかね?

気を取り直してもう一度やってみます。色々試したのですがここでは結果だけ載せます。「常に、下記の単語一つにつき一つの例文を作成してください。すなわち、下記の単語数分だけ例文を作成してください」と丁寧すぎるリクエストを追加しました。

結果がこちら。いい感じです!

完成!わかってきたメリット

色々試行錯誤してようやく望みの形式のものが出力されるようになりました。英文自体も結構自然(文法的に間違っていない)ように見えます。もしかしたら不自然な箇所もあるかもしれませんが、おおよそ合っていそうなのと、今後もっと機械学習の精度も向上するだろうと期待して、この方式で文章を増やしていきます。

実際にこれを使って日々瞬間英作文の訓練をしているのですが、メリットにいくつか気づいたのでシェアします。

①GoogleDriveでいつ・どこでも学習できる

テーブル形式で出力しているので、そのままシートに貼り付けてしまえば簡単に保存できます。GoogleDrive上で管理すれば、いつでもどこでも、スキマ時間に見ることが可能です。スマホでできる手軽さ、やはりこれに勝るものは中々少ないのではないでしょうか。

②自分でいくらでも増量・カスタマイズ

先程の流れを見れば言わずもがな、オリジナルの教材にできます。もっと長文にするもよし、一つの単語で複数の表現(例文)を作るもよし、用途に合わせてカスタマイズできるのはChatGPTならではの利点です。「検索ではなく生成」というChatGPTの特徴がうまく活かされますね。

③分野特化の英会話トレーニングも可能

②に関連しますが、例えば学術英語を使用した教材にすることもできます。専門的な単語を用いた教材はなかなか市販されていないと思いますが、日々仕事上で遭遇する単語を溜めておき、教材にすることでより専門的な教材に進化できます。

「オリジナルの仕様にカスタマイズ 」がやはりポイントですね。上記に挙げた以外にもアイデア次第で様々なニーズに対応する教材にできることと思います。

終わりに:言語を学ぶのは何のため?

さて、今回はChatGPTの活用法の一つを紹介しました。機械学習による自然言語処理が発達し、AIによる自動文章生成や、音声読み上げなども組み合わせて本当に自然な対話を実現しようという動きも見受けられます。

いずれリアルタイム高性能翻訳機器が登場して、まさにドラえもんの秘密道具のごとく言語の壁がなくなるかもしれません。

そんな加速度的にAIが進化していく世界で、果たして言語を学ぶのは何のためでしょうか?言語を学ぶ価値とはいったい何なんでしょうか?私は、これまで以上に「言語を学ぶ意味や目的」を問われる時代になってくるのかなと思います。

私が英語を学ぶ目的はビジネスに活用することで、もっと具体的に言うと「海外の顧客、あるいはビジネスパートナーとコミュニケーションを通じた信頼関係を構築できるようになること」です。

私は英語を学ぶにあたりニュースや書籍、Youtubeなど様々な情報源を用います。目的は言語を学ぶことなのですが、そういった様々な媒体に触れることで同時に異国の文化にも触れることができます。例えば国の違いによる表現の違いなどが分かりやすい例ですが、その地域特有の文化などが見えてくると面白いなぁと感じたりします。

言語を学ぶ機会の消失は、文化を学ぶ機会の消失につながる危険性もあるかもしれませんね(もちろん一概にそうとは言えませんが、個人的解釈です)。

相手の使用する言語を学ぼうという意志、言語を学ぶ上で付随して学ぶ文化的要素、これらを併せ持つからこそ人と人との良好なコミュニケーションが成り立つのではないかと思います。もしかしたら、自国の言語を話そうとしてくれる人に対して好感を覚えた経験のある人もいるのではないでしょうか。

これからの時代、言語を学ぶ意味は何だと思いますか?あなたが言語を学ぶ目的は何でしょうか?


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