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24漬物・3(調味浅漬)

上記画像は、六次産業化で事業化を目指す組織の指導時の画像で、かぶら浅漬の製造途中工程の画像である。大量の昆布を使用して本漬工程(調味と同時に旨味を熟成させる工程)に移る作業途中である。この状態で、ここに甘酢主体の調味液が加わり、昆布の風味と甘酢のさっぱりとした風味が重なって、かぶら本来の風味と絶妙なバランスを醸し出す。漬け込み前のかぶらの加工調整に技量を要するもので、その技量を用いないと、色鮮やかに仕上げる事ができず、風味も載らない。したがって、製品として完成の見込みは無い。

《浸透圧作用の重要性》
下漬(コロシ)の記述は、先々回で行ったのでこの項では、省きます。
お読み続けていただいている方々なら、ご理解ができているものとして記述を進めていきます。
要は、下漬(コロシ)の工程で十分に脱水された原料野菜に残留した塩分と、これから調味しようとする調味液の塩分の差を調味に利用するのである。
即ち、言葉的には【風味を吸わせる】が適当かもしれない。
浸透圧の作用を理解できたなら、その仕組みが理解できると思うがいかがであろうか?味が乗るという事はそういう事で、漬物だけに関わらず、すべての料理の多々にも通用する事である。直接の火力を使用しない漬物と同様に近似なモノとしては、お節料理に中の定席に座る数の子を例にとって、塩カズノコの状態から食卓に並ぶまでの調理方法を辿ってみれば、お出汁が浸み込む事が理解ができよう。
調味浅漬は、風味が入れ替わったと感じるのであるが、どちらかと言うと、風味が原料に上乗せになり合わさったと感じると言った方が適当であろう。

【柚子大根】は、一時期、一世風靡したと言ってもよい京漬物の代表である。
ご家庭でも簡単にできる。ぜひお試しいただきたい。
果汁を調味に利用するのは有効な手段であるが、果汁を搾る方法によっては雑菌を含む。
果汁利用は食味向上に有効だが、日持ち向上とは、逆効果である事を念頭に。

《調味の合性(あいしょう)》
上記記述のとおり、浸透圧の作用を利用した調味の置換を駆使すれば、調味浅漬のバリエーションは多くの種類が創作できると思う。ご家庭でも、色々とチャレンジをしてみてください。要点は、下漬(コロシ)工程で充分すぎるほどに脱水を行う事が重要です。
さて、調味液を作ろうと思うのであれば、その原料野菜との相性を考えるべきです。色々な調味に合性が良いのは、根菜類(大根・カブ・ニンジン等)。先ずは試すのなら根菜類から始めてみるのが良いと思います。
果汁は、柑橘類果汁がそれら根菜に合性が良いです。
香辛系調味は、根菜に加えて葉菜類も加わります。
昆布で下味をしっかりと含ませてから、上記2種の調味を行うと奥深い味を醸し出せると推測できるはずです。
合性は、それぞれ製作者の食に対する感性によるところが大きいとも言えます。常日頃から、正確な味覚感覚を持ち、その感覚を維持する努力も重要でしょう。

調味液の代替えとして、赤紫蘇ジェルで調味したキュウリ浅漬。
製品化して販売するまでに、某総合食品商社展示会でシリーズとして公開をしたら、
すぐに模倣して販売する企業が居たのには、あきれてしまい、同時に驚愕であった。

《発想》
【美しい・美味しい】が製品開発の根本で有る2つの重要点である事に尽きます。製造に手間のかかるモノや、コストがかかるモノは避けるべきです。後々、その努力を取り返すのに苦労する事となります。また、安易な発想で商品を販売しても消費者には支持をされることはないでしょう。
長芋をかつお調味で製品化した企業が有りますが、「わざわざ、漬物にしなくても?」な気持ちになりませんでしょうか(笑)。
長芋拍子木切りに削りかつお+数滴のお醤油で美味しい。
以前、メロン産地からメロン浅漬のレシピ作成の依頼を受けた事が有ります。原料が糖度が高く、又、素材性質的に難しいご相談でしたが、何とか3種類ほどご提案はさせていただきましたが、その後のセールス展開はお聞きする事はありませんでした。メロンはメロンとして加工をする方法を別でお見つけになったのだと推察しています。
メロン=ムリにわざわざ、漬物にしなくても・・そのままで十分。

今回はここまで。
まだまだ記述する項目はありますが、眠たい。すいません。

ではまた。次回。

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