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私のワーク・ライフ・バランス⑨【小さな命との別れ】

2022年12月6日、第一子(胎児ネーム:イチローちゃん)の心拍停止が確認された。妊娠9週目相当の大きさ、先生によるとこのサイズから私が受診する直前まで生きていたのではないかとのことだった。

12月8日、吸引術による手術を受けた。最近は掻爬術はしなくなってきているとのこと。おかげさまで、術後もほとんど痛みはなく、麻酔から目覚めた時、「終わったんですか?」と確認してしまうほどだった。

早く手術を受けると決断したはいいけど、手術当日の気持ちはとっても複雑だった。イチローちゃんは、全く自ら出てくるような気配はなかったし、まだもう少しお腹の中にいたかったのかな?なぜかそんなことを思って、罪悪感に苛まれてくる。手術直前は、地獄にいるような心地になり、私も一緒に目覚めなくなってしまえば楽なのに。そんなことも頭によぎりましたが、すぐに夫の顔が浮かび、とりあえずどうなろうと生きて帰るだけ帰ろう。と思った。

手術後はホルモンバランスも大きく崩れるし、心身ともに疲れやすいだろうからと、仕事は一週間ほどドクターストップがかかった。

大学の教員にはタイムカードがない。その分、24時間仕事の連絡が入る。私の職務上、一日50通はメールがたまっていく。仕事は一週間お休みしますと職場の上司に連絡したが、全ての関係者に通知していたわけではないので、毎日容赦なくメールが届き続いた。返信はしないにしても、毎日読んで仕分けの作業だけはしておいた。でも、たまる一方。精神的にも疲れていたので、もう仕事に復帰できる気もしない。お休み中は、そんな風に感じたこともあった。

術後はとにかく、毎日泣いて過ごした。食べて、寝て、泣いての繰り返し。同じような体験を持つ方の色々な動画も観た。今回のようなことは、珍しいことではないと初めて知った。世の女性は強いなぁと思った。私の人生にこれ程辛いことは、ほとんど(一つだけある)なかった。けど、子どもを望むということは、そういうことなんだとも思い知った。そんな時間を一週間ほど過ごしていると気持ちも少しずつ落ち着いていく。

そして、私は使い物になるだろうか?と緊張しながら仕事に復帰。仕事に出向くと身体は勝手に動いてくれるもので、何のことはない。もちろん周りも普通に回っていて、以前の日常が少しずつ戻っていった。年内もあと少し、つわりがあった頃よりは頭が回る感じがして、何とか年内の仕事を納めることができた。

イチローちゃんの絨毛検査の結果を聞きに行ったのは、2023年1月1日。想像していた結果とは少し違い、意外な結果だった。そして、女の子だったとのこと。(、、、え!?)

生死の間に命がある時、親はなんとも無力なんだなぁと痛感した。そして、イチローちゃんと呼んでいた第一子が女の子だったと後から知り、妙に落ち着いた不思議な気分で病院を後にした。

つづく。

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