2024 6/26 カニ2キロって10回言ってみてよ

日記です。カニの通販サイトを見ていたら(自分は今この瞬間にもカニを買うことができるという事実を確かめるため、たまに覗いている)、「生ズワイガニ 満腹セット」と銘打って、どデカいパックに詰められたカニ2キロが1万円で売られていた。
カニの満腹セットか。カニで満腹になりたいと思ったことはないけど、そそられるネーミングではあるな。

こういう商品の「満腹」とか「満足」の基準ってどうやって決めるんだろう。やっぱり社員のうちの誰かにその商品をたらふく食べさせて、ギブアップした量を目安にするのだろうか。このカニ満腹セットの場合も、会議室に閉じ込められてひたすらカニを食べさせられた誰かがいた可能性がある。可哀想に。ラッコじゃないんだぞ。

商品名に「満腹」という文言が入っている以上、量の少なさはクレームの増加に直結する。
「おたくの商品の満腹なんちゃらってやつ買ったんだけど、ちょっとガッカリだね。あんな量のカニで満腹になれるわけないじゃない。こんなことなら自分で潜って捕まえてきた方がもっと沢山獲れたよ。ぼく?ぼくはラッコだよ。オホーツクの海を優雅に漂う気ままなラッコさ」
そういった声を防ぐべく、会社のお偉方も必死になるわけだ。
「キミ、もっと食べられないのかね?こんな量ではお客様に申し訳が立たないよ。もっと真剣に食べなさい。あっ、こら!マヨネーズだのポン酢だのつけるんじゃない!ウチのカニは一級品なんだよ!キミも社員なら、自社の商品を大切に扱いたまえ!」

唾を飛ばしてガミガミと怒鳴る上役に睨まれながら、真っ青な顔でカニを口に詰め込む平社員。
なんでこんなことになっちまったんだと思うだろうな。俺はただ真面目にカニを売ってきただけなのに。ええい畜生、こうなったら死ぬほど食ってやる。食って食って、逆に多すぎるってクレームが来るぐらいにしてやるぞ。

そうしてできあがったのが総重量2キロの生ズワイガニ満腹セット。オホーツクのラッコたちも大満足の逸品さ。
みんなもこれを食べるときには思い出してやってほしい。ある一人の勇士がいたことを。限界を越えてカニを食べ続けた、名も無き男がいたことを。

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