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渡り鳥 シギ・チドリ類の聖地「大授搦(だいじゅがらみ)/東よか干潟」紹介


干潟にはムツゴロウもたくさんいます

昔から大授搦(だいじゅがらみ)と呼ばれるこの場所一帯は、
2015年にラムサール条約湿地に登録された折に
「東よか干潟」と命名され現在に至ります。

場所は佐賀県佐賀市の東与賀町。
「東よか干潟」と命名されたのは、東与賀町の地名から来ているのですが、「よか」が平仮名なのは、「GOOD」の意味の佐賀弁「よか」と東与賀をかけているからなんです。

と言っても、昔からこの場所に通う人は、
東よか干潟という呼び名より大授搦(略して大授)という人が多いです。

さて、大授搦は有明海の湾奥部に位置し、嘉瀬川、本庄江、八田江などの
河口及びその周辺の海岸に発達する、どろっどろの泥干潟です。

有明海の干潟のアイドル ムツゴロウ


なんといっても野鳥の一番の見どころは、
日本一の渡来数を誇るシギ・チドリ類で、
春と秋の渡りの時期には総数1万羽以上、
20種類以上のシギ、チドリ類を一度に観察することができ、
シギ・チドリの聖地と呼ばれています。

大授搦がある有明海は日本最大の干満差(最大6m)があり、
干潮時には岸から5km以上にもおよぶ広大な干潟が現れます。

大授搦を飛ぶシギ・チドリの群れとバードウォッチャー


満潮の時に行っても、鳥たちは岩の上などに飛んでいってしまい
姿が見えないし、干潮時に行くとその姿は数キロ先にあります。

そのため、いつ行っても野鳥観察ができるわけではなく、
満潮時の潮位が5m以上ある日の満潮時間の2時間ほど前からスタンバイし、満ち潮に追われ岸に近づいてくる鳥たちを観察するという
有明海独特の観察方法となります。
来られる際は有明海の潮位を潮見表で確認の上お越しください。

潮位表をチェックして観察に備えてください


満ち潮の時、鳥たちは潮に押しやられるように
陸地側の私たちがいる方へ近づいてきます。
一番近い時の距離は数メートルしかなく、
すぐそこにいるシギ・チドリを観察することができます。
肉眼でもその美しい色合いや、可愛いしぐさ、
にぎやかな鳴き声などを満喫できるほどです。

とは言っても観察には双眼鏡はもちろん、
望遠鏡があった方がもっと楽しめるかなと思います。

また、足元が柔らかい泥で覆われている場所が多いので
長靴がないと靴が意味不明なほどドロドロになり
裸足で帰らなくてはならなくなりますので気を付けて下さい。

季節的にはいつ来たらいいのかとよく相談を受けますが、
基本的に鳥は6月以外はいつ来ても楽しめます。

いつ行こうかなあ…迷っちゃいますね


春は繁殖羽となったシギ・チドリを観察するベストシーズンで、
干潟が色鮮やかな鳥たちの姿でキラキラ輝くようです。

ここでは一番たくさんいるハマシギ わちゃわちゃしていてとても可愛い


ピークはゴールデンウィーク頃。総数1万羽以上、
20種類以上のシギ、チドリ類を一度に観察することができ、
ただただ圧倒されます。

有明海の春の使者 ホウロクシギ


一番初めにやって来るのはホウロクシギ。
3月のはじめです。
その後、南からぞくぞくと様々な種類のシギ・チドリたちがやってきます。大授搦は彼らの繁殖地であるロシアやアラスカなどに向かう途中の重要な中継地となっています。

オーストラリアから日本まで一度も休まず飛び続けて到着します
渡り鳥であるシギ・チドリたちは干潟がないと生きていけません


春に多いのは、ハマシギ、トウネン、ダイゼンです。
春で特徴的なのはオオソリハシシギで、
オオソリハシシギはオーストラリアで標識調査用のフラッグを付けられた個体がよく観察されます。

数的に一番多いのはハマシギです


秋は幼鳥たちの季節です。

ダイゼンの傍若無人ぶりを見るのも面白いものです
秋は見分けが難しくなりますが、それが楽しい…


秋は繁殖地から初めての旅をしたシギ・チドリの幼鳥たちの
まだ初々しい姿を見ることができます。
ここに立ち寄った後、ほとんどがもっと南の国へ旅を続けます。

旅の途中のシギ・チドリたちを目いっぱい応援しましょう。

クタクタに疲れると座って休みます


秋に多いのはソリハシシギ、オグロシギ、キリアイなどです。
春は繁殖地を目指してみんなあわただしく、急げ急げという感じですが、
秋はのんびりしていて8月から11月まで長く渡りが続きます。
ピークは9月です。

クロツラヘラサギは仲良しです


冬になるとクロツラヘラサギやズグロカモメ、ツクシガモなど
九州らしい冬鳥たちの宝庫となります。
今までのクロツラヘラサギの最大数は驚愕の99羽‼

海のシマエナガの座を狙うズグロカモメ


ズグロカモメも1000羽を超え、ツクシガモもそれと同じくらいです。
シギ・チドリ類もかなりの数が越冬しています。

冬の大授搦 寒いけどおススメ


ハマシギ5000羽、ダイシャクシギ200羽、ダイゼン500羽など、
他の場所とはケタが違う越冬数となります。
冬も退屈することはまずないです。
その代わり吹きっさらしの場所なので冬になると凍えるような寒さです。
九州だからと甘く見ないようにご注意ください。

お好みの季節にぜひ有明海に来られてください


【見られる鳥】
ハマシギ、ダイゼンなどのシギ・チドリ類、クロツラヘラサギ、ズグロカモメ、ツクシガモ、ハヤブサなどなど

【アクセス】
隣接する干潟よか公園に駐車場有。佐賀空港より車で10分、JR佐賀駅より車で35分、佐賀大和ICより車で45分

【車以外のアクセス(公共交通機関など)】
① 佐賀駅から佐賀市営バスにて現地へ
一番近いバス停「住吉」は、佐賀駅バスセンター(佐大前・片田江・大財町経由)発から1時間に一本程度バスが出ています。
ただ、最寄りのバス停「住吉」から大授搦までは距離3.5キロ徒歩45分程度かかります。

② 佐賀駅からレンタサイクルで現地へ
距離は約11キロ。自転車で約30分です。
ずっとまっ平らな道なのでそんなに大変じゃないそうです。


隣接する「干潟よか公園」内のフリーフォール滑り台にも挑戦してみて下さい

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