鴻巣市・旧笠原小学校での「制服・浴衣撮影会」の件についての分析と考察。その10 番外編その1。「公の施設」幕張メッセでのキャンセル行為に見る、共産党界隈のテンプレートな攻撃手法。鴻巣の件との構造の類似性。

以下は日本共産党船橋市議の金光理恵市議の2024年(令和6年)9月21日のXのポストです。

これは来年2025年(令和7年)5月に幕張メッセで開催が予定されている「DSEI JAPAN 2025」という防衛装備品見本市の開催に対して、「武器見本市である」として日本共産党や社民党などリベラル界隈が「静的な戦争行為」であると主張して反対を行う事に由来するものです。

金光理恵氏のXより引用

金光理恵・共産党船橋市議は2019年(令和元年)の船橋市議選で共産党から出馬し落選後、2021年(令和3年)の千葉県知事選に共産推薦無所属で出馬し落選している人物です。現千葉県知事の熊谷俊人氏と選挙で戦った経歴があります。2023年(令和5年)の船橋市議選で共産党から初当選し現職となっています。

この金光理恵・共産党船橋市議は熊谷俊人千葉県知事に対して「貸し出し収入が入って県の為になるから貸し出しを止めません」と発言したと主張
これに対して熊谷知事が「デマである」として反論のリポストを書いています。以下がそのリポストです。

当方は防衛や戦争の専門家ではありませんので、その分野に関しての意見は「素人意見」でしかないのでここでは控えます。
ここでは「公の施設」の利用許可処分に関して論じていきたいと思います。


千葉県資料「幕張メッセの現状と課題」より引用

上は千葉県の資料よりの引用ですが、いわゆる「幕張メッセ」のメイン施設である「国際展示場」は千葉県が所有する県有施設であることが明記されています。

千葉県「日本コンベンションセンター国際展示場指定管理者(候補者)の選定結果について(令和3年度~7年度)」より引用

そして幕張メッセの県有施設に関しては、ご覧の通り株式会社幕張メッセが指定管理者として選定されており、実際の管理運営を行っています。
株式会社幕張メッセは千葉県が25%を出資するなどしている第三セクターです。

これらのことから「幕張メッセ」が地方自治法第244条で規定する「公の施設」であり、指定管理者の「株式会社幕張メッセ」は「公の施設の利用許可処分」という公権力を行使する行政庁という事になります。

DSEI JPAN公式サイトより引用

この幕張メッセで来年2025年(令和7年)5月に開催予定の「DSEI JAPAN 2025」は元はイギリスで開催されていたものが2023年(令和4年)から日本で開催されるようになったもので、隔年開催で次回が2回目となります。

「大規模防衛・安全保障総合展示会」と銘打つこのイベントは、開発された新しい兵器などを展示する見本市であり、各国の防衛産業企業が日本をはじめとする「納入先」へと売り込みをする場ですから、共産党が主張する「武器見本市」というのはあながち間違いではありません

私は「武器見本市」が戦争を招く、とは考えないので共産党の見解とは異なりますが、防衛や兵器の知見は無いのでここではその点では論じません。

こちらは金光理恵・共産党船橋市議の別ポストです。
幕張メッセでの「武器見本市」については千葉の共産党界隈は何度も千葉県に対して「貸し出しの中止」を求めて申入れをしていたようです。

加えて日本共産党の丸山慎一・千葉県議(船橋市選挙区)が2024年(令和6年)2月の千葉県議会2月定例会でこの件での一般質問をしており、このときの答弁を「根拠」として主張を繰り広げている様です。

丸山慎一県議は共産党職員から志位和夫衆議院議員秘書を経て1997年(平成9年)に千葉県議に当選。通算7期千葉県議を務めているベテラン共産県議です。この丸山県議の千葉県議会での当該質問と答弁を見てみたいと思います。

こちらが共産党丸山慎一・千葉県議の令和6年2月定例会での一般質問から、幕張メッセの展示会に関する部分を抜粋したものです。

まず丸山県議は資料を基にDSEI JAPANで展示されいるのは「武器」であると主張。知事へ「展示品は武器であるか否か」を問うています。
これは前年2023年(令和5年)11月7日の千葉県議会決算審査特別委員会で丸山県議がDSEI JAPANの展示品について「武器であるかどうか」を執拗に問い詰め、県庁経済政策課長が武器と明言しなかった質疑を受けてのものでした。

その後、県が地方自治法の「正当な理由が無い限り施設の利用を拒んではならない」という法244条第2項を根拠とする回答に対して「公の施設の設置目的は住民福祉の増進」であるという法244条第1項を根拠として「命を奪う武器の見本市」は「住民福祉の増進」ではない、と主張し答弁を求めています。

そして幕張メッセの設置目的の「産業の振興や国際化に資する」は武器見本市には該当しないと主張、利用許可処分をいつ出したのかについて答弁を求めています。

この質問については千葉県副知事が答弁。
まず当該展示会で展示されていたのは「戦車やミサイル、銃器など、いわゆる武器の実物やレプリカ」であると認識している旨を答弁しています。

そして幕張メッセの設置目的「本件の産業の振興及び文化の発展、国際化に資する」という規定に対して、当該展示会は「産業の振興等に資するもの」なので幕張メッセの設置目的に合致しており、「公の施設」の設置目的である「住民の福祉を増進する」ことにも合致している、と答弁をしています。

そして施設の利用許可申請の時期については「主催者側の事業活動に関する情報」であるので回答を差し控える、としています。

答弁に対して丸山県議は、当該展示会の展示品を県が「今日初めて武器だと認めました」と述べ、「武器を拡散するため」に「住民福祉の増進を目的」としている幕張メッセを貸し出すなどあってはならない、と述べています

そして今までは「(地方)自治法で断れないから貸す」としていたものが、「仮予約」を認めるとは「全力応援」ではないか、問題では無いか、としています。

対して県庁商工労働部長は答弁で、展示会は武器をいたずらに拡散するようなものでは無いと考える、と述べ、仮予約に関しては地方自治法や管理条例に即して判断をしておりこれはどの催事も同様である、と答弁しています。

求める答弁が得られず憤慨する丸山県議の様子。
以上が千葉県議会での令和6年2月定例会の共産党の一般質問と答弁となります。

日本共産党千葉県会議員丸山慎一公式Webの活動報告より引用

ご覧の通り丸山慎一・共産党千葉県議は2024年(令和6年)3月3日付けの活動報告で「見本市展示品は『武器』と認める」とその「戦果」を誇らしげに掲げています。

以上の千葉県議会でのやり取りを受けて、金光理恵・共産党船橋市議の冒頭のXでのポスト、そしてツイッターデモへとつながる訳です。

では以下では、「前提」である丸山県議の主張から見て行きましょう。


丸山慎一千葉県議の県議会での質問で目に付くのは「住民の福祉の増進」というワードです。見本市での「武器の展示」は「住民の福祉の増進」ではない、というのが共産丸山県議の主張の柱です。
では「公の施設」における「住民の福祉の増進」ととは何ぞや、と言う点を見てみましょう。

「公の施設」という法律用語は1963年(昭和38年)の地方自治法の一部改正法(昭和38年法律99号)によって初めて登場した言葉です。それ以前には「営造物」という言葉で「行政主体により公の目的に供用される人的手段および物的施設の総合体」を表すものでした。

「財産管理的側面」からのアプローチだった「営造物」に対して、「公の施設」は「住民へのサービスの提供という給付的機能」と「住民による利用権」という側面を重視する為に、「財産」の章から切り離して独立の章を設けて規定されたものです。

では「公の施設」で給付される住民サービスとは何か。

こちらは日本国憲法第21条の条文です。いわゆる「表現の自由」について規定をした憲法条文となります。
「表現の自由」とは「精神的自由権」の中心を占めるとされる権利です。「内心における精神活動がいくら自由でもそれを外部に表明する自由がなければほとんど意味が無い」という事から憲法で規定されています。

そしてこの「表現の自由」に含まれるとされるのが「集会の自由」であり、広義の表現の自由の一環として理解され保護されるものです。

「集会」をするには、たとえば広々とした公園や広場などの空間や、ホールや劇場といったいわゆる「箱モノ」の施設が必要となります。こうした「集会をする場」を提供する為に設けられるのが「公の施設」の公園やホールとであり、「憲法第21条の権利を実現する為」に自治体が提供する「サービスの給付」が「公の施設」な訳です。

こちらが地方自治法の第244条の条文です。
先に述べた通り1963年(昭和38年)の地方自治法の改正によって「公の施設」は「第九章 財務」から切り分けられて「第十章 公の施設」として独立の章として所要の規定を整備されました。
この「第十章」は法第244条、第244条の2、第244条の3、第244条の4の4条から成っており、いわばひとつのかたまりとして成立しています。

その最初、法第244条第1項では「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。」とあります。
これは「公の施設」の設置目的について定めた条文であり「第十章 公の施設」の「目的条文」といえるものです。

参議院「立法と調査 No.282」より引用

こちらは参議院のページより「目的規定と趣旨規定」について内閣法制局の職員の書いた説明を引用したものです。
ご覧の通り、法律の「目的規定」や「趣旨規定」といったものは「それ自体は具体的な権利や義務を定めるものではありません」と書かれています
あくまで「目的条文」法律の制定目的について記された条文であり「他の規定の解釈運用の指針」とはなりますが、それ自体が何かを定めたものでな無いのです。

日本共産党埼玉県議団2023年6月8日記事より引用

この「目的条文」でやらかしたのが昨年2023年(令和5年)6月に埼玉県で騒動となった「水着撮影会」のキャンセル騒動です。
この騒動で日本共産党埼玉県議団は埼玉県庁へと「水着撮影会の中止」を求める申入れを敢行。その理由として「都市公園法第1条」という「目的条文」に書かれた都市公園の設置目的である「公共の福祉の増進に資する事を目的とする」を法的根拠に挙げたのでした。

「目的条文」を元に申入れを行った日本共産党埼玉県議団の行為はご覧の通り、法律クラスタを中心とした有識者に「誤っている」と指摘を受けました。その為もあって一般市民からも批判の声が上がって事態は炎上。指定管理者が一旦下した中止要請を、埼玉県知事が撤回の指導をする事態となりました。共産党の行為が完全に誤りであると否定された訳です。

ここで幕張メッセの方の話に戻ります。
ご覧の通り丸山慎一・共産党千葉県議の一般質問では、幕張メッセという「公の施設」の設置目的を定めた地方自治法第244条第1項の「住民の福祉の増進」を根拠理由として「貸し出すなどというようなことは、あってはならない」と主張をしています。
共産党船橋市議の金光理恵議員もXのポストで「住民の福祉増進に反するから#幕張メッセでの武器見本市反対」と書いていますが、これは丸山県議の主張をそのまま受けたものだと思われます。

並べたことでお分かり頂けると思いますが、幕張メッセのほうで「目的条文」を根拠に「公の施設」の貸し出しに反対する、という構図は昨年の埼玉の水着撮影会の共産党埼玉県議団の主張とうり二つなのです。

埼玉の水着撮影会では「目的条文」を根拠に主張したことが明確に誤りであるとされ、県庁が指定管理者へと指導を行った事はご存じの通りです。
ここまで書けば、千葉の共産党が幕張メッセという「公の施設」の利用を「目的条文」を根拠に反対している事が誤っている事はお分かりいただけるでしょう。すなわち千葉の共産党の主張には「法的な根拠」は全く無いという事です。
「水着がハレンチ」が「武器が戦争」に変わっただけで、基本的な構造は全く同一といって良いでしょう。


まだ記事の途上ですが、字数の関係でその2へと続けたいと思います。

今回「幕張メッセの武器見本市」について取り上げたのは
 ■「公の施設の貸し出し処分」に係わる問題が水着撮影会や
  鴻巣旧笠原小撮影会と同一構造の問題である事
 ■「目的条文」を根拠にお気持ち主張でキャンセルをする仕草が
  水着撮影会と同一である事
といった共通点があるからで、「共産党のキャンセル行為」にテンプレート的行動を感じたからでした。
ジャンルの違うイベントが対象だと、恐らく「キャンセルに反対」をする人達も重ならないのではないか、と思いましたので、こうして分析し明示する事で「あいつらの手口は毎回同じだよ」と記録しておきたいとの考えからです。いわば防犯対策とでもいいましょうか。


という訳で改めてその2へと続きます。

では。


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