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「ZUMBA」が教えてくれた、本当のダンスの楽しさ

 高校時代から、50歳になる今まで、サルサ、ジャズ、コンテンポラリーなど、ダンスを趣味で続けては、途中でやめてしまうことを繰り返してきた。振りを覚えるのが苦手だし、思うように動けない。できない自分はやっぱりダメだと思い、嫌になってしまうのだ。
 ダンスは、上手いか下手かが重要視される世界で、技術や経験があり、才能がある人には、どんなに頑張ってもかなわない。そんな思い込みがあった。

 何度も諦めてきた。でも、どこかで諦めきれない自分もいた。体を動かすのは好きだったから、ダンスをやめた後も、ヨガに通ったり、ピラティスをしたり。でも、やっぱり、単に体を動かすだけでなく、私は音楽に合わせて踊ってみたい。
 ちょうど、近所の大型商業施設で、月に一度開催されている「ZUMBA」というダンス講座があることを知り、早速、体験を申し込んでみた。

 「ZUMBA」とは、コロンビアのベト・ペレスによってうまれたフィットネスプログラムで、世界約180カ国で楽しまれているダンスである。ラテンを中心とした世界中の音楽とステップを使いながら、パーティーのように楽しむ。
 例えば、50分間のクラスでは、
サルサ・メレンゲ・クンビア・レゲトン・ベリーダンス・アフロビートなど多種多彩な国の音楽とステップが取り入れられている。
 講師の選曲は、全てノリノリの曲で、一曲終わるごとに、ダンスの雰囲気もガラリと変わる。細かく曲が変わるから、ずっと飽きることがない。

 クラスでは振りを覚える時間はなく、いきなりダンスが始まるので、もうインストラクターを見たまま、自分なりに踊るしかない。ステップは、いつも完璧には踊れない。でも曲に合わせて体を動かすのが楽しい。50分間動き続けているので、滝のような汗をかく。これもまたいい。毛穴という毛穴からストレスや溜まった感情が、汗とともに流れ出ていく気がする。

 それに年齢層も幅広い。これまで習ってきたダンス教室では、ほとんど同年代だった。最前列で踊っていた方が、80代と知り、とても驚いた。その方は、若い人のようには動けないけれど、ちゃんとリズムにのっていて、とても楽しそうなのだ。

 私は、今まで、サルサを習っていたから、そのステップの時は、自然に踊れる。今まで、教えてくれた先生に感謝。身体は、ちゃんと覚えていたのだ。自分は、頑張ってきた。むしろ人と比べたり、できない自分はダメだとジャッジしてきたのが一番問題だったのではないか。

 私の普段の日常は、狭苦しく、型どおりで、上下関係があり、人に気を使うばかりで、息ができなくなることも多い。でも、踊っている時は、そんな自分から解放される。 「ZUMBA」は、自由なのだ。自分なりに楽しめたら、それでいいのだ。

 これまでに、いろいろなダンスを習ってきた。初級、中級、上級者クラス。年に一度の発表会。ダンスが上手になる為に、繰り返し、振りの練習をしてきた。動きの深い理解は、楽しかったし、体の使い方を学べたことは、今でも役に立っている。だけど、ダンスの技術で優劣をつけられる気がして、窮屈だった。私より上手で経験もあるダンス仲間の中で、できない自分はダメだと、いつも思っていた。

 「ZUMBA」は、上手いか下手かはあまり関係ない。たとえ、ステップが上手に踏めてなくても、音楽に合わせて体を動かすだけで楽しい。世界中のダンス音楽が、一瞬で、私をいろんな国へ連れて行ってくれる。ダンスの本当の楽しさを教えてくれたのは「ZUMBA」なのではないかと思う。踊っている時は、自然と笑顔になる。私のイチオシダンスなのだ。


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