⑭金間大介著『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』
2022年刊。
目立つのが嫌い、競争が嫌い、横並び主義、・・・行儀よく性格も穏やかで人当たりもよい、一見、良い子である(大人からしたら扱いやすい様に思える)現代っ子達の生態に切り込む。 金間さんは大学の先生で観察対象は大学生。 僕が日々相手をしているのは高校生なのだけれど、合点がいくところが多々あった。
最近の子達との付き合いで日々感じるのは、それなりにコミュニケーションはとれる、何なら軽く冗談も言い合える関係なのに、そこからもう少し近い関係にはなかなかなれないもどかしさだ。 こっちも歳をとって、ジェネレーションギャップも大きいので仕方がないのかな?とも思っていたのだが、こちらの年齢の問題だけではないのかもしれない。
そして、今の子達に共通して感じる特徴は、「欲の小ささ」だ。ガツガツしていない。進路にしても、大概は妥協して年内に決めてしまう。
バブルもはじけて日本経済が縮小傾向にある中で育ってきた子達だから、(特に私が住む地方などは)、我慢することが習い性になっているのかもしれない。
ある意味、小さな欲は、適正な「進化」なのかもしれない、とも思う。大きな「欲」を持って生きることは、今の世の中むしろ苦しいことなのだ。 上の世代は、大きな「欲」や大きく育ちすぎた「自我」と現実の折り合いつけることにさんざん苦労しているのだから。
今の子達は、ナルシズムで自分を見誤っていない。 分不相応な夢を語る子もいなくなった。(僕の周りには) 「私アイドルになる」「声優になる」って子達が昔はいたけれど、今はそういう子達もいなくなった。 自分をある程度客観的に見れている証なのか。
そういう子達に幸あれ、と思うけれど、いかにもAIに置き換わるレベルなんじゃないか?とか、心配はつきない。
金間先生、末尾に自分の過去の業績の詳細な載せておられる(興味深い)が、参考文献のリストは見当たらない。 ギラギラと昭和の香りがするなあ・・・。(笑)
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