見出し画像

セールをやらない会社がセールをやる理由をFC今治サポ社員視点から語ってみる。

勤務先のタオルメーカーIKEUCHI ORGANICが、同じ地域の今治市をホームタウンにするサッカークラブFC今治のJ3昇格キャンペーン(全品10%OFFのセール)を行うことになった。

最初この企画を上司から聞いた時、少しピンと来なかった。

そりゃーFC今治にとってJリーグ入会、J3昇格は悲願でもあったし、大きなトピックだ。地域にとってもコレほど嬉しいことはない。

でも、プロスポーツチームが優勝したときにあるセールって、大体関連企業であって地域でやるのは、ただの便乗セールじゃない?

とか、冷静に思う自分もいたから。

そこでもう少し思考を凝らす。

ぐるぐるぐるぐる。

1973年製のオールドCPUをフル回転させる。

逆に、これだけの偉業だのに地域でセールとかやる企業がないほうがおかしいやん、この盛り上がりを伝える使命が今治の企業としてあるやん! FC今治半端ないって!(古っ)

と、手のひらクルーの解が導き出される。

IKEUCHI ORGANICは、オリジナル製品は一切値引き販売をしないブランドだ。そのブランドを維持し、安売りしない、その価格で買ってくれたお客さんを裏切らない、その価格に見合った商品を提供している。という自負もあり、私もそのポリシーには非常に共感している。

今まで小売の経験は沢山あるが、どこも目先の売上を作ることで一生懸命だった。利益が少しでも確保できれば、ノルマの売上を達成できるならばと、そんな目先の数字が強く、結局自分本位の販売となることが多かった。

そういう販売をすることにも嫌気がさしていた。だからメーカーでブランドであるIKEUCHI ORGANICで値引きなしの本質で勝負できる商売をやりたいと入社した。

単純に言うと、ブランドと呼ばれるシャネルやフェラーリが値引きをやるのか? と言われたらNoである。そういうことだと思っている。その高みにタオルメーカーでたどり着きたい訳である。

そんなメーカーだからこそ、セールをやるときの理由が大事になる。

FC今治とIKEUCHI ORGANICとの関係は、FC今治がRe:Startした、2014年の秋にさかのぼる。IKEUCHI ORGANICの池内代表は今年70歳になるが好奇心の塊のような人物である。その池内代表が今治に岡田武史氏がオーナーになるチームが誕生した。というニュースを聞いて何もアクションを行わないハズがない。その様子をFC今治の矢野社長が以下のように語った。

その頃は、まだFC今治の全容をお伝えしていなかったですし、正直何も決まっていなかったんですよ。翌年の2月23日に情報を発信することだけをアナウンスしていたんですよね。にも関わらず、IKEUCHI ORGANICの代表の池内計司さんから「スポンサーについて教えてください」とメッセージが来ていました。

確かに今振り返ると、その時期に、今治.夢スポーツの矢野社長が来社して商談室で池内代表と話していたことを思い出した。その後、池内代表が矢野社長と話していたことを語ってくれたことを思い出す。

その頃の自分というと、岡ちゃんオーナーのチームか。となると、岡ちゃんの名前でJ2行くぐらいまではスポンサーも、選手もそれ用の人呼べるんじゃない? 見(ケン)でしょ。と傍観のポジションを取った。

ホームグラウンドが、自宅から車で10分ほどの運動公園内にある人工芝のサッカーグラウンドだったので、四国リーグ時代も公式戦を何度か見に行った。

印象に残っていたのは、試合前に太鼓を持った3人ほどのコアサポが、「応援よろしくおねがいします!」と声掛けすることや、試合後来場者ひとりひとりに笑顔で握手をする岡ちゃんの姿だった。

その現場を見ていても、そんなに心が動くということはなかった。スポーツ観戦好きとして、こういう世界もあるんだな〜ぐらいの感覚だった。

2017年の夏。

Bari Challenge University(以下BCU)に参加することがきまった。地元の企業からファシリテーター役を出して欲しいという要望に応える形での参加だった。

実は、BCUの存在は知っていた。岡ちゃんの名前で何やら意識高い都会の学生を呼んでワークショップをやっている。成果とかそういうのはあるのだろうか? どんなもんなんだろ? と斜に構え、疑問に思っていた取り組みだ。

貴重な休日を研修含め5日間潰すことになる。給料は出ない、ボランティアでの参加。それでも興味があったので、進んで参加した。

こんなワークショップに行くことはあまりないので、ドキドキしながら研修に参加する。と、この時点でやられた。かすがいジャパンの管さん、FC今治の中島さん。圧倒的な知見と思考力。

何だこの人たち? どんだけ人間に生まれ変わっているんだよ!
※注:私は輪廻転生説を信じております(笑)

そのあとBCUが開幕、直接岡ちゃんとも会えた。ひとことひとこと、語ることの重みがすごかった。これほど本気で日本サッカー界を、そして社会を、今治を変えたいと考えているビジョナリーな人だったとは! そのカリスマ性に圧倒された。そしてその岡ちゃんの下に集まる、アドバイザリーボードの豪華さ。特に田坂広志氏の「貨幣経済」は行き詰まっており「関係資本」が大事であるという本質をついた講演などはすごく心に響いた。

BCUを通じて、今治に縁もゆかりもない人たちが(まぁ、岡ちゃんやかすがいの管さんは一応関係はあったりするんだけど)岡ちゃんの名のもとに集結して知恵を出す。こんなことが今治で起きるなんてありえん!

と、BCUが終わることにはすっかり、今治市民の自分がやらなきゃ他地域の人がいろいろチャンスをくれているのにそれをモノに出来ないのは、今治市民の名折れと無駄な使命感でいっぱいになった。

さらに自分には小学生(当時)の息子もいる。彼に故郷・今治を誇りに思ってもらいたい。どこに言っても胸を張って今治出身だ。と言える地域にしたいという気持ちも強かった。BCUで未来のことを語る岡ちゃんにすごく共感したのだ。それはFC今治というサッカークラブを軸に動かせるストーリーであるというのも腑に落ちたのだった。

そしてBCUが終わった頃に、ありがとうサービス.夢スタジアム(夢スタ)が完成。今治に5,000人収容のサッカー専用競技場が爆誕したのである。

あのときの光景を今でも忘れられない。

自分が暮らす街に、プロスポーツクラブが出来、そこに何千人とチームの勝利を願い、それを楽しみに人が集まるということはこういうことだったのか。

その後、この盛り上がりを継続させなければいけない。と、妻と息子を誘い夢スタに通う様になる。2017年シーズンはJ3昇格の条件、成績面がクリアできず終了。正直、JFLもそんなに甘くないでしょ、2018シーズンが勝負だなと思っていた。

そして2018年シーズン。

BCUの参加や、上司の人脈繋がりなどで、さらにFC今治との関係性が増したIKEUCHI ORGANIC。仕事でFC今治となにかコラボができないか? という話が出てくる。

BCUの参加や、夢スタが出来てからは社内でも、積極的にひとりでも多くFC今治のことに気づいてもらいたいと社内メールで夢スタで試合がある前の金曜日には案内を出したりしていたので、FC今治とコラボをする際には、企画でも広報でもなんでもない、自分も打ち合わせに同席させてもらうことになった。

そして生まれたのが、タオルメンテナンスによる永続的サポートとコットンヌーボータオルマフラーコラボであった。

特に、コットンヌーボータオルマフラーはFC今治のファン・サポーターにも好評だった。その際、会社のTwitterでFC今治についてツイートしていたら、サポーターの方々とも接点が出来た。

そのあたりの詳細については昨年シーズン終了後にnoteに書いたので気になる方は読んでいただければ幸いだ。

2018シーズンは本当に悔しいシーズンだった。岡ちゃんと今治で一緒の家に住み、岡田メソッドの中核を担う人物とされていた、TOPチームの監督・吉武博文氏がシーズン途中で成績不振を理由に退任。その後、チームは昇格圏の4位にギリギリ届くかという位置まで順位を上げる。

残り8試合になったところから怒涛の6連勝。6連勝となった、ホームでの武蔵野シティ戦後には、J3へ王手! という報道もあり、今までにない盛り上がりを見せた。

残り2戦、1勝1分でもなんとか4位滑り込みが見えた。が、王手のかかったアウェイ滋賀戦でまさかの敗戦。最終戦も他力ながら見込みは多少あったものの、試合はいいところがなくドローで終戦。

何が足りなかったんだろう? そう自分に問いかけたときに思ったことは、自分ができることをもっと頑張ってみよう。ということだった。ちょっとでもいい、2018シーズンとは違うことを。そう思い、自分の得意なこととなると、WEBを使っての発信だったりするので、noteでの発信を中心に発信することを増やした。

自分があったいいなーと思っていた以下のFC今治の情報を発信できないかと考えた。

ホーム戦前、サッカーがわからない人が読んでもなんとなくこの試合はこの人注目してみたらいいんだな。とわかる簡単なプレビューと、あとはネット上に散らばるFC今治に関する投稿をまとめるサイト。それと、初観戦の人やアウェイから観戦に来る人向けのガイドを作りたいと考えた。

プレビューは、自分だけでは出来ないのでFC今治のサポーターで練習のことや試合後のことをTwitterで発信していた、サッカー経験者でもあるReiさんに声をかけて、Reiさんからの紹介で戦術なども語れる、あっきーさんも加わり3人でホーム戦前に実際に集まり、FC今治の現状と次の試合について毎試合プレビューをおこなった。

FC今治に関する投稿をまとめる件については、クラブバックスタッフの中島さんが、みんなの声が集まるFC今治のマガジン #みんマガを開始した。これは正直やられた〜! と思ったのだが、シーズン開幕が近づくにつれ、中島さんも多忙になって、週刊発行が難しくなるとのツイートが。

これはサポーターが試されているのでは?

という謎のメッセージを受け取った私は、元々こういうのをやろうと思っていたこともあり、それを(海賊版)としてバトンを繋ぐことにした。

もひとつのガイドは…頓挫。これやれなかったのは課題なので、なんとか来シーズンは形にしたいと思っている。

と、まぁこうやってひとつひとつ、サポーターへの階段を登っていく私であった。ってこれ自分語りじゃない(笑)

話は、IKEUCHI ORGANICとFC今治の関係性についてだったんだけど、まぁなんと言うか、私自身が今治で暮らしていて、FC今治があることにより確実に生活が豊かになったのだ。

自分がそうだったから他人がそうとは限らないのは世の常だが、こんな生活がおくれる地域が今治以外にあるであろうか? 現状は否と言っても過言ではない。

このFC今治があることにより、豊かな生活を享受できることと、IKEUCHI ORGANICの考える、未来志向の豊かな生活。これは非常に近いポジションでもあり、重なり共感できるポイントも多い。

そこでキーワードとなってくるのが、「今治」という地域だ。

岡ちゃんも言った通り、いくら強いチームが出来てもホームタウンである今治市に活気がなければ何の意味もないと。そのために岡ちゃんが、FC今治が、今治.夢スポーツができることは今全力で行っている。

そこで今治市民が、今治の地元企業が傍観していていいのだろうか?

今治で一生を終えようと覚悟し、次世代を担う息子に今治の誇りとなるものを見につけてもらうこと、その希望の星がFC今治だ。

FC今治が輝くためには、今治の企業、今治に住む人が輝いていないとその輝きは色褪せる。

2016年、プロ野球の広島カープがリーグ優勝したときの盛り上がり。ああいうやつが、今治にも起きたらスゴイじゃん! というわけで、IKEUCHI ORGANICでも「FC今治J3昇格記念セール」を行うのである。

人口減、少子高齢化、衰退疲弊する地方。すべての特効薬にFC今治がなるわけではないが、地域の人がFC今治を使って互いに高め合えば、この困難を乗り越えるモデルケースがここ今治から誕生すると確信している。

俺らの街、今治の底力を み せ ろ !


アイキャッチPhoto カメラ係&FC今治@英治


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?