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Meta Quest2 詳細レビュー&問題対策案

皆様ごきげんよう、Meta Quest2(以下、Quest2と呼称)が2020年10月13日、満を持して発売されました。
事前情報では全く文句の付けようのない性能と値段だったこの機種、手に入れてから1ヵ月以上経つので、そろそろ情報をまとめておきたいと思い筆を取った次第です。
主にVRChatでの使用を前提としたレビューとなります、PC、スタンドアロン起動双方でレビューを行っていきたいと思います。

現在所有しているValve indexと主に比較していきます。
値段を考えると比較対象がおかしいのではないかと言われそうですが、それ位Quest2の性能は良いのです。
indexについての詳細解説は以下の記事に以前まとめました、よろしければご覧下さい。

尚、発売前リーク情報は以下の記事にまとめてあります、今更読む必要性があるかどうかは正直疑問ですが、目を通して頂けるとより記事を楽しめるかと思われます。

如何せん検証するべき事が多いので長くなってしまいますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

【注意】
完全に主観による評価になります。
情報に間違いや齟齬が発生する可能性がある事をご了承下さい。
記事を参考にVRHMDやPCパーツ等を買った際、問題が発生しても当方責任を負いかねますのでご了承の程お願いします。
また、当該記事ではFacebookやOculus Japanについての諸問題も扱っております、それらに対する苦言、苦情等は一切受け付けかねる事も予めご了承下さい。
※2022年2月11日追記
最近ではFacebookのBAN騒動も聞かなくなり、バグも減ったとの話もあるので普通にオススメできるHMDになりました。
当記事のレビューは発売当初のもので現在と評価が大きく異なります、当時起こった出来事の記録として記事そのものは変えずに残しておきます。
※2022年9月6日追記
8月24日からFecebookアカウントは不要になり、代わりにMetaアカウントが必用となりました。

基本スペック

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解像度:1832x1920×2(3664×1920)
リフレッシュレート:72Hz(アップデートで90Hz対応予定)
パネル:LCD(液晶)
視野角:100度
重量:503g
IPD調整:ハードウェア調整(58/63/68mmの3段階)
トラッキング:6Dof
トラッキング方式:インサイドアウト
特記事項:スタンドアロン型、Snapdragon XR2にて稼働
公式にてストラップ、バッテリー付きストラップ、持ち運びケース別売り
Oculus Linkを用いればPCVRとしても使用可能(ケーブル別売り)
ハンドトラッキングにネイティブ対応
非公式にてVirtual Desktop、ALVRにて無線起動可能
VRHMD用眼鏡、VRsatile対応価格(税込み)
Meta Quest2 本体 64GB 37100円
Meta Quest2 本体 256GB 49200円
Quest 2 Elite Strap 6800円
Quest 2 Elite Strap with Battery and Carrying Case 17600円
Link Headset Cable 10700円
Quest 2 Fit Pack 5200円
Quest 2 Carrying Case 6700円

※2022年9月6日追記
価格改定が入り、アクセサリを含め値上がりしました。
また、アクセサリのラインナップが増えました。

Meta Quest2 本体 128GB 59400円
Meta Quest2 本体 256GB 74400円
Quest 2 Elite Strap 7830円
Quest 2 Elite Strap with Battery and Carrying Case 17600円
Quest 2 Elite Strap with Battery 16070円
Link Headset Cable 10780円
Quest 2 Fit Pack 6450円
Quest 2 Carrying Case 7830円
Meta Quest 2交換用キット 2600円
VR Cover製フェイスクッション 3000円
Meta Quest2フェイスクッション(標準) 3020円
Meta Quest2ヘッドセットケーブル(1m) 3020円
Meta Quest2用左コントローラー 9890円
Meta Quest2用右コントローラー 9890円
Meta Quest2用Anker製充電器 10000円
Meta Quest 2用ストラップ 3700円
Meta Quest 2 10WUSB-C電源アダプター 4390円

外箱

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今回、Quest2 64GB版とLink Headset Cable、Elite StrapとCarrying Caseの4つを購入しました、合計61300円です。

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内容物は6つとシンプルです。

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箱の右上の方に小さな文字で「Facebookアカウントが必要です」と書いてあります。
後述しますが、アカウントが無いとQuest2は本当に何もできなくなります。

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裏面には日本向けに開発が成されたソフトウェアの宣伝があります、これらの購入についても実は諸問題がありますが、後述します。

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Quest2の動作にはワイヤレスインターネット、所謂Wi-Fiが必要になります。
また、スマートフォンが必要となりますが、あまりにもiOSやAndroidのOSバージョンが低すぎると(古すぎると)Oculusアプリが動きません。
私はこれに引っ掛かり、スマホではなくタブレットで設定を行いました、そんな方はなかなか少ないと思いますが、一応ご注意を。
以下、Oculusアプリの動作条件です。

Android OS 5.0 以上対応
iOS 10.0以降 iPhone、iPad、およびiPod touchに対応

あまり意識した事はありませんが、13歳以上がOculus側からの対象年齢のようです。

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中身はシンプルに統一されています。

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サルでも分かる使い方講座、コントローラーの絶縁テープを抜き、本体電源を2秒間押し、ヘッドセットを被り調整をする。
絵柄で解説されている辺り、FP-45 リベレーターのマニュアルのようです。

HMD外観

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中身一覧、非常にシンプルにまとまっています。
説明書は付属していますが、読む必要が無い位には簡単にVRを始められます。

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ヘッドセットと眼鏡スペーサーにも絵柄付きのマニュアルが付属しています。
スペーサーは眼鏡を使いながらのプレイではほぼ必須となりますが、あった上でも少し狭いかなという感じがします。

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indexと500mlペットボトルとの比較、一回り程Quest2の方が小さく、実際軽くて邪魔にもなり辛いです。

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フェイスクッション写真、indexと同じような取り外し式です。
VIVEのようにフェイスクッション、ノーズレストのみの取り外しや交換ができず一体型になっています。
indexとの違いはマグネット式ではなくはめ込み式という点でしょうか。

スポンジ状になっており、汗を吸いやすいような気がして衛生面が少々気になります。
この辺りはサードパーティー製品に買い替えるか、別売りのFit Packを購入、或いはカバーを購入する事によって対策ができる気がします。

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HMDの下部には音量調整用のボタンが付いています、便利です。
また、Quest2はindexと同じくデュアルマイクです、詳しくは後述します。

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VRsatileを用いた内部写真、有ると無いでは快適度がまるで違うのでオススメの商品です。

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尚、私は公式から推奨されているゴムのすべり止めを扱う方法では無く、スペーサーにマウスパッドの裏的な物を両面テープで張り付けて使っています、これは、Quest2のみならずindexでもVRsatileを扱うためです。
今の所、この改造でズレ等は起きておらず、非常に快適に扱えております。

視野角

視野角は100度との事です、確かにindexの方が広いと感じる(視野角130度)のですが、体感できるかどうかはギリギリといった所です。
少なくとも、没入感が致命的に削がれる、といった事はありません。

IPD調整

IPD調整は今までのHMDの中でも類を見ない調整方法で、レンズを直接動かして3段階調整(58/63/68mm)を行います。
厳密にIPDを測り目の負担を軽減する事はできませんが、操作としてはこちらもシンプルで分かりやすいです。

私のIPDは65なのですが、63にて調整を行っています。
酔いやすいや見づらいといった事は特にありません、ピッタリと調整するに越した事はないものの、割とアバウトでも問題無いようです。

リフレッシュレート

執筆時現在、リフレッシュレートは72Hzの制限がかかっており、90Hz駆動ができません。
非公式の手段を用いれば90Hz稼働は可能なものの、設定が面倒なので72Hz稼働のままにしています、早く対応をしてほしいものです。

今の所、酔いの原因になったり、致命的な没入感の不足には陥っていません。

※2021年3月5日追記
いつの間にやら90Hzで動くモードが実装されていました。

音質

Quest2において特筆すべき点です。
マイクはデュアル、音質はindexに並ぶか若干劣るか程度の違いでしかなかく、少々籠った感じがするなといった具合です。
しかし、聞き比べないと分からない位音質が良く、マイクの音質改善のために購入を検証するのは十分アリです。
下手なピンマイクよりも性能が上かと思われます。
スピーカーの音量も下部のボタンひとつで調整できるので大変便利です。

スピーカー音質に関してはRift S以上のように思えるのですが、若干耳から離れた位置にあるせいか遠く聞こえてしまいます、気持ち強めに音量設定を行う事をオススメします。
正直、スピーカー音質についてはindexのオフイヤースピーカーに完全に軍配が上がります、あれは革命的です、現状他のHMDでも敵うものがありません。
尚、3.5mmステレオイヤホンジャックに対応しておりますが、初代Questと違い片面にしかジャックがありません。
旧型機種と明確に劣っている数少ない点のひとつです、気になる方はご注意を。

装着感

驚くべき事に、標準ゴムバンドの装着感が非常に良いです。
これには以下の理由が考えられます。

・本体重量が軽く、小さいのでフロントヘビーになりづらい。
・調整が比較的簡単で、側面や後頭部に邪魔な物が無いので寝転んだり、問題無くくつろげる。
・後頭部や側面に邪魔な物が無いので、没入感を削ぐ要素が少ない。

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本体側面からプラスチックの板が伸びており、スピーカーもこちらに搭載されております。
この角度を変える事により、顔面の負担をある程度制限できる点が装着感向上に大きく役立っていると思われます。

また、標準フェイスクッションの出来栄えが今まで使ったHMDの中で最も良く、これも装着感の良さに貢献しているものと思われます。
サードパーティ製のフェイスクシッションが発売されれば、更なる装着感向上が期待できます。

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後頭部スペーサー付きindexと比較、後頭部ストラップがしっかりあるindexは重量バランスこそ良好なものの、重いです。
スペーサー付きindexと比べQuest2は350mg程軽いです、この差は大きいように思えます。

眼鏡スペーサーを使用した上、眼鏡でプレイした際の使用感ですが、一応使えるといった具合です。
眼鏡の形状によっては無理が生じる可能性は無きにしもあらず。

indexと比べた際は、個人差がありそうですが、私はゴムバンドストラップを使ったQuest2の方が快適のように思えました、軽さは正義です。

また、後頭部や側面にほとんど何も無いという点や、本体が小柄で邪魔になりにくいという点からVR睡眠(※1)に非常に適します。
しかし、不具合がありVR睡眠が現状できない状態となっております、詳細は後述します。

Elite Strapについての使い心地は後述します、後述ばかりで申し訳ない。

※1 VR睡眠
読んで字の如く、VRHMDを装着したまま睡眠をする事を指します。
従来のHMDではストラップ等、後頭部に邪魔な物があると寝辛いという問題があり、様々な対策が成されてきました。
一見すると珍妙に思えるかもしれませんが、ことVRChat内では愛好家が多くおり、割とポピュラーな行為だったりします。

コントローラー

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indexコントローラーと比べ二回りほど小さく感じます。
手に食いつくような形状です、初代から受け継がれ続けた使い心地の良さは変わりません。
ただし、indexと違い手にはめて使う形状ではないため、パー等を作りにくいという弊害もありあます。
この点もサードパーティ製のストラップ等で、その内改善ができそうな気がしますね。

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indexコントローラーと比べ50g弱程軽いです。
しかし、実際握り比べてみるとさして重さの差を感じません、indexコントローラーのエルゴノミクスやバランスの凄さを再確認できました。

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コントローラーの電池はRift Sや旧Questとは違い、マグネット式ではなくはめ込み式になっています。
電池交換が若干やりいくい反面、Beat Saberのような激しく動くコンテンツではコントローラーのフタが取れるという心配がありません。

また、ストラップの取り外しが簡単に行う事ができ、非推奨な使い方ではありますが、ストラップ無しで使う事も可能です。

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電池は三菱製のものが使われています、しっかりとしたものが使われているなという印象があります。
旧Questでは使われている電池をそのまま使うと液垂れ等でコントローラーが破損してしまうという報告が挙がっておりますが、確信こそ持てないものの、この電池ならそういった事も無いように思えます。

また、電池は繰り返し充電をして使う事になるので、充電式電池を買う事をオススメします。
私はPanasonicのBQ-CC83eneloopを使っています、EVOLTAとどちらを使うかは好みでいいと思います。

実際の使い心地ですが、若干ではあるもののindexコントローラーに軍配が上がります。
表情と指が独立して動くというのはやはり魅力的なものがあり、最近VRChat側の設定でOculus touchでも表情固定ができるようになりましたが、指が独立して動かないといった違いがあります。

しかし、Quest2コントローラーは信じられない程電池の持ちが良いという代えがたい長所があります。
最早計測が不可能なレベルで持続し、連続稼働時間は軽く50時間を突破、下手をすると100時間は持っているのではないかと思われます。

Oculus touchの使い心地や電池の持ち、値段等を考慮すると、全体的なコストパフォーマンスはQuest2コントローラーの方が上だと思われます。

トラッキング性能

使ってみた印象としてはRift S以上のように思えます、インサイドアウト形式では最もトラッキング範囲に優れていると思われます。
しかし、手を後ろに回したり、腰に手を当てたりするとトラッキングが吹っ飛びます。
耳の横でも飛び、垂直に万歳をしても飛ぶようです。
Rift Sとの明確な違いは口物に手を持って行っても飛ばないという点でしょうか、人によっては重要かもしれません。

正直、アウトサイドイン形式でもない限りこの点は限界があります、ベースステーション方式のHMDやOculus Rift CV1から以降した際は違和感があるかもしれません。

尚、非公式フルトラ(※2)はVirtual Desktopのおかげで飛躍的に扱いやすくなっており、ベースステーションを用いると暗闇でもOculus touchの認識が失われないという謎の仕様があります。
恐らく、赤外線照射をすれば暗闇でもトラッキングが可能なものかと思われます。

※2 非公式フルトラ
非公式フルトラッキングの略、現状HTC製品、Valve製品、Pimax製品以外はトラッカーに対応しておらず、Oculus製品等を扱う際は非公式ではあるが対応する事が可能。
非公式故に不安定で、座標ズレ等が頻繁に発生するためその都度直す必要があったが、QuestとQuest2においてはVirtual Desktopの設定によりその必要性がほぼ無くなった。
非公式であるが故に若干安定しない、サポートが打ち切られてしまう可能性がある。

Elite Strap

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外箱はこんな具合、割と大きいです。
バッテリー付きも売っていますが、軽さを取って今回はこちらを購入しました。

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本体同様、絵柄付きの解説があり、説明書いらずです。

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Elite Strapの重さは155g程、本体に装着すると合計658g程です。
既存のHMDだとHTC VIVE Cosmos及びEliteが665gなので、これらが一番近い重さになります。

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尚、標準のゴムバンドストラップは45g程のようです、参考までに。

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装着してみた図、なかなか格好いいです。
後述するCarrying Caseにもこのまま入ります。

実際の使い心地は正直微妙です、確かにバランスは良くなるしズレにくくもなるのですが、後頭部のリングが固くて違和感があります。
また、持ち前の取り回しの良さや寝心地の良さが無くなってしまうので、人によっては無い方が快適かもしれません、私は現在使っておらず、標準のゴムバンドに戻っています。
この辺りは個人差が大きいように思います、概ね装着感が上がり快適になったという意見が多いようです。

また、耐久性に問題があり、発売1ヵ月と待たずに世界中で破損報告が挙がっています。
詳しくは下記の記事を参照して下さい、バッテリー付きか否か問わず、特定箇所からひびが入り、割れてしまうようです。

Elite Strapは6800円、バッテリーとケース付きのものは17600円と決して安い買い物では無いので、1ヵ月持たないとなるとちょっと考え物です。
現状では標準ゴムバンドのまま使うか、サードパーティ製品の発売を待つのが無難のような気がします、購入をオススメしません。

Carrying Case

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外装はこんな具合、箱入りではなく袋詰めになっています。

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こちらも本体と同じく、絵柄付きマニュアルが付属しています。
開閉はジッパー式になっており、持ち運び中に開くような事は無さそうです。

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A4用紙と大きさ比較、大きいです。

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重さは500g程、割と重いです。
反面、しっかりとした作りかとは思います。

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実際入れてみました、Elite Strapを使わなければLinkケーブルも一緒に入るようです。
他にはイヤホンや充電用の小型ケーブルが入るかな位の余裕があります。

保管や移動に役立つ反面、割と大きいです。
手持ちカバン等には入りきらず、リュックサック等が必要な大きさです。
重さもそれなり以上にありますが、移動の際はあると便利かなと思います。値段相応の価値はあるかと思われますが、無いなら無いでなんとかなりそうな気もします、既にサードパーティー製のケースも発売している事ですし。

また、サードパーティ製品のストラップやフェイスクショッションにまで対応しているかは未知数です。
後発のストラップ購入等を考えている人は、見送ってもいいかもしれません。

Oculus Link Headset Cable

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外箱はこんな具合。

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Type-C、長さ5m、USB3.1、オス-オスのケーブルです。

あると無いで言えば、あった方がOculus Linkも使えますし、充電の際も便利かと思いますが、少し値段が高いように思えます。
サードパーティーで既に別のケーブルも売っているので、こちらを買うのも手段の内かと思われます。
ただし、公式からOculus Linkのサポートはされていません。

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Quest2本体に装着した際に固定するベルトも付属していますが、作りがチャチな感じがします。
その内千切れて使えなくなりそうな気がします、その時はビニール紐か何かで縛ろうかと思います。

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後頭部にビニール紐で固定してぶら下げています。
側面からコードが出て邪魔という意見をよく聞きますが、こうすると邪魔になりにくいです。

買って良かったかどうかで言えば、何かと便利なので購入しても良いかなと思えます。
サードパーティの方が安い事には安いのですが、3mの物が多かったり、公式からサポート外という点で不安が残ります。

Oculus Linkについて

平たく言えば、Linkケーブルを用いる事によってスタンドアロン形式のQuest2をPC用VRHMDとして扱える機能の事です。
接続にはUSBType-Cメス端子が必要になります、使っているPCによっては扱えません。
無い場合はUSBハブ等を経由して接続する必要があります。

使ってみた感想としては、設定が非常に簡単で、扱いやすいと思いました。
初代Questでは何かと面倒な設定が必要と聞きましたが、Quest2ではほぼワンボタンで設定が終わります。

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設定→クイックアクションの項目からOculus Linkを選択するのみで、PCVRとして扱えます。

ただし、USBバスパワー給電の限界があるようで、100%充電からだと5~6時間の稼働が限度のようです。
これについては使用しているUSBポートやマザーボードによって差が出るように思えます。

音声関係にバグがあるようで、たまにマイクの接続がされなくなったり、左耳スピーカーからブーブーと異音が出たりします。
こうなるとLinkの再起動やケーブルの射し直しを余儀なくされます。

後述するVirtual Desktopと比べると、設定が手軽であるという点、強力なWi-Fi接続が必要ではないという点から使用する価値があるような気がします。
例えば、外出先にてノートパソコンでPCVRを繋ぎたいが、Wi-Fiルーターが無い場合等には便利かもしれません。

また、体感はほぼできませんが、後述するVirtual Desktopの無線接続は若干の遅延があるようで、Beat SaberやFPSのようにフレーム単位での反射が必要なコンテンツではLink接続の方が良い気がします。

Virtual Desktopについて

Oculus Questを無線接続する非公式のソフトウェアで、Quest2はVirtual Desktop(以下、VDと呼称)と組み合わせる事によって真価を発揮します。
有ると無いでは快適さが段違いなので、購入する事を強くオススメします。

尚、VDにはSteam版とOculus PCストア版、Questストア版がありますが、VDを用いてQuest2を無線使用するためにはQuestストア版の購入が必要になります、間違えないようにご注意を。

詳しい設定は私の記事ではなくトナさんのブログを参考にして下さい。

補足事項として、VDにはIncrease video nominal range(色域増加)機能とIncrease color vibrance(彩度増加)機能があります。
これらは人によりけりで見え方が変わるので、好みによってチェックを入れるかどうか判断すると良いかと思われます。
尚、私は彩度増加のみチェックを入れています。

VDは1990円と有料になりますが、値段以上の価値があると言い切って良いでしょう。

VDを用いるとQuest2を無線使用でき、USBケーブルをAC充電器に射す事により連続稼働も可能になります。
更には、設定により内部解像度を変える事ができ、最大解像度では片目2496x2592で動かす事が可能になります。

解像度については画質の項目にて後述します。

以下、私のVD設定になります、参考までにどうぞ。

名称未設定

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画質

Quest2本来の解像度は片目1832x1920なのですが、前述したVDを用いる事や、使用するグラフィックボードによって大きく画質が変わります。

VR VISION TEST LABというVRChatワールドを用いて、解像度や文字の読みやすさを比較検証していこうと思います。

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こんな具合の検証ワールドです

現実における視力、眼鏡の有無、PCスペックによって検証結果にブレが生じる可能性がありますので、あくまで参考程度にお願いします。

以下、検証に使うPCスペックと前提条件です。

CPU:AMD Ryzen 5 3600X
メモリ:DDR4-2133 32GB
グラフィックボード:RTX 2070 SUPER
ルーター:ELECOM WRC-1167GST2
回線:上り568.8 下り661.6
Steam VRレンダリング解像度設定:100%に固定
VDの設定:VR Bitrate 100Mbps、Increase video nominal range及びIncrease color vibranceのチェック無し
使用アバターは改造等を加えていないミーシェver1.03で統一
VRHMD用眼鏡、VRsatileによる視力矯正有り


valve index 2016×2240(4032×1660)
LV15まで視認、LV16は辛うじて視認

Quest2 Oculus Link接続 2352×2368×2(4704×2368)
LV16まで視認 LV17は辛うじて視認

Quest2 VD接続 VR Graphics Quality Low 1728x1824×2(3456×1824)
LV13まで視認 LV14は辛うじて視認

Quest2 VD接続 VR Graphics Quality  Medium 2016x2112×2(4032×2112)
LV16まで視認 LV17は辛うじて視認

Quest2 VD接続 VR Graphics Quality  High 2496x2592×2(4992×2592)
LV19まで視認 LV20は辛うじて視認


解像度の結果のみ見ると、順当にindexより画質が良いです。
VD接続のLow設定だと流石に解像度は低くなってしまいますが、スクリーンドア(※3)が目立つ訳でもなく綺麗に見えます、ロースペックで動かす際も安心かと。
解像度の真価はVD接続High設定時にあり、この時は文字通り、世界が違って見えます。

発色は標準ではindexの方が上のように思えます、特に黒表現はindexの液晶は凄いです。
ただし、Quest2はVD設定を弄って色域増加と彩度増加により好みの色調に変えられるので、良かれ悪かれ可変性は高いと思います。

ゴッドレイ(※4)に関してはindexの方が気にかかりますが、Quest2も無い訳ではないようです。

※3 スクリーンドア
ディスプレイに網目模様が見えてしまう効果の事、パネル構成により発生する現象。
※4 ゴッドレイ
レンズに光が反射する際に発生する現象。
黒背景に白い文字等を表示した場合に、放射線状に光の線が見えたりする。
Quest2の場合、起動時に黒背景に白いOculusマークが映るため、露骨に目立つ。

推奨スペックについての謎

こちらは確証が取れていないという前提で読んで頂きたいのですが、どういう訳だかLink、VD起動問わず、低スペックPCでも快適に遊べるという報告を数多く聞きます。

一例を挙げると

i7-7700
RAM16GB
GTX 1070
VD接続で概ね稼働に問題無し

CPU型番不明
GTX1060 6GB
RAM8GB
Quest2 Link接続、VRC標準HOMEにて72FPSで駆動

i5-4690k
RAM16GB
GTX1060 3GB
VD接続、Medium設定で概ね稼働に問題無し

更にはオンボードPCにて動いたという報告まで挙がっています。

PC:Dell Inspiron 15 5000 5575
CPU:AMD Ryzen 7 2700U with Radeon Vega Mobile Gfx (2.2 - 3.8 GHz)
RAM:16GB DDR4
GPU:AMD Radeon (TM) RX Vega 10 Graphics

SteamVRにて解像度を20%まで落とし、VDでの運用のようですが、にわかには信じがたい話です。

原理は分かりませんが、Quest2に搭載されているCPU件GPUのSnapdragon XR2が影響している可能性が高いです。
旧QuestからQuest2に乗り換えたら動作が軽くなったという報告も挙がっているので、根本的に動作原理が違うのかもしれません。

自動スリープ不具合について

自動スリープ時間(放置するとスリープ状態になる時間設定)を最大4時間まで設定できるのですが、どれだけ長く設定しても1分前後で強制スリープしてしまうという不具合があります。
VR睡眠が不可能な最大の理由です、1分で寝る事ができるのはのび太位なものです。

回避する方法は2つあり、1つはコントローラーをどこかにぶら下げて扇風機等で動かす、プラレール等に乗せて動かし続けるというポケモンGOの歩数換算の応用手段です。
もう1つは、片手コントローラーの電池を抜く事によって回避できます。

しかし、実際の所コントローラーが使えなくなるのは問題ですし、ポケGO方式は馬鹿馬鹿し過ぎてやる気が起きません。

※2020年12月20日追記
いつの間にか自動スリープの不具合は解消したらしく、現在は規定の時間でスリープするようになったようです。
同時に、Quest2を用いてのVR睡眠も可能になりました。

Facebookアカウントについて


Quest2を使う上で最大の問題かつ最悪の課題です。

前述した通り、Quest2はFacebookのアカウント登録が必須となり、既存のOculusアカウントと連携が必要になります、これができないと一切何もできない文陳と化します。
また、Facebookに正常な情報(現実世界における名前や顔写真)を載せたとしても、何年間使っているアカウントであろうとも、何かの切っ掛けでFacebook側のAIがBANをしてしまうという問題が発生しています。

これの何が問題かと言うと、Facebookのアカウントは1人につき1つのみ、つまり複数アカウントを持つ事が不可能なため、BANされてしまうと本当に何もできなくなってしまうのです。

Facebook側も問題として認識しているらしく、BANされたアカウントに対して個人情報を示唆すれば(免許証等)アカウントを復帰できるようですが、その後またBANされてしまうという笑えない事態が発生しています。

詳しいパターンはそにっくさん執筆の下記記事にまとまっています。

当記事では上記記事内から抜粋して、幾つかパターンを紹介するのみに留めておきます。

・Facebookアカウントを新規で作ったら0秒から3日程度でBANされた
・数年単位で利用していたFacebookアカウントもOculusと連携した瞬間にBANされた
・Oculusアカウント提携後、Oculusストアでアプリを購入した後にBANされた
・BANされた後、Oculuサポートに連絡して復帰したと思ったら再度BANされた


また、Oculusアカウントを既に持っている人(既にOculus製品を利用している人)は2023年1月1日まで既存のアカウントを利用する事が可能ですが、Quest2を利用するにはFacebookアカウントとの統合が必須となります。

この際注意してほしいのは、既存のOculusアカウントで統合せず、新規でOculusアカウントを作り、そちらでFacebookアカウントを統合するという事をしなければならない点です。
もしこれを怠ってしまい、既存のOculusアカウントを統合してしまうと、BANされた際にはQuest2のみならず、今まで使えていたOculus製品が全て使えなくなります、くれぐれもご注意を。

Oculusストア購入不可能問題について

OculusストアではクレジットカードかPaypal決算によりアプリの購入が可能なものの、何故かPaypal決算ができないという問題に直面しました。

人によりけりでPaypalなら大丈夫、クレジットカードなら大丈夫、両方不可等条件が異なるらしく、ストアの決算不具合があります。

これについてはOculus Japanサポートに連絡をした後、5日後に解決しましたが、その間VD含むアプリが一切購入できないという事態に陥っていました。
尚、公式からのメール文面には

「弊社米国本社から、お客様のアカウントを通常通りにお戻ししたとの連絡があり、現在は通常通りご購入ができる状態となっております」

と帰ってきています、通常通りにお戻ししたの意味がちょっと私には分かりかねます。

証拠1

証拠2

消費者センターに問い合わせてみた

スペック検証から脇道に外れてしまいますが、重要な事なのでこの場で語る事をご了承頂きたい。

上記、Oculusストアの購入不具合があったので商品を返品できないかと消費者センター及び販売代理店(今回の場合はヨドバシカメラのオンライン販売)に問い合わせてみました。

要点をまとめると、ハードウェアに問題が無いのであれば、ソフトウェアに問題があったとしても返品は不可能のようです。
こちらは未確認なので確証を持って言えないのですが、FacebookアカウントがBANされ、Quest2が使えなくなったとしても返品は恐らくできないと考えて良いと思います。

スクリーンショットのSNSアップロードについて

Quest2にはスクリーンショット撮影機能があり、右コントローラーのOculusボタンを押しながらトリガーを引くとスクリーンショットが撮れます。
しかしながら、撮ったスクショをSNSに共有しようとしても、Facebook関連にしかアップロードできないといった嫌がらせのような仕様があります。

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例えば、スタンドアロン起動のVRChatで上記のようなスクリーンショットを撮影しても。

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メニューに戻り、シェアボタンを押すと。

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共有できるのはFacebook News Feed、Facebook Group、Messengerのみです、TwitterやDiscode、LINEやSkypeには共有できず、Eメールやクラウドにもアップロードできません。

これを回避するにはPCにQuest2を有線接続し、デバイスからフォルダを開くしかありません。

無題

Quest2→内部共有ストレージ→Pictures→.thumbnails内にスクリーンショットがJPG方式で保存してあります、何故かPNGではありません。
恐らく、圧縮方式の問題でJPGなのかと思いますが、できればPNGで保存してほしかったです、写真は綺麗な事に越したことはありません。

特に、Quest2をスタンドアロン起動でVRChatを楽しもうと考えている人は注意が必要です。

実の所、VRChatはカメラ機能がPCVR版のみしか無く、スタンドアロン起動ではOculusの撮影機能に依存する他ありません。

その他問題や所感、疑惑

HMD本体やコントローラーの耐久性については長く使ってみないと何とも言えませんが、ヘッドストラップが1ヵ月と経たずに壊れてしまう報告が多数挙がっているので、疑ってかかっています。

GPSが本体に搭載されており、ガーディアン(現実世界の壁等にぶつかる事を防止するシステム)に活用されているようです。
GPSは旧Questにもあったらしいのですが、位置情報がFacebookに発信されている疑いもあります。

OculusIDでフレンドになった人同士で本名が公開されてしまうという前代未聞の事態が発生しています。

フレンドに本名等を公開しないよう設定できるのですが、不具合により公開されてしまった様子です。
尚、この問題が発生する以前にOculus japan公式は「本名ではないユーザー名でプレイすることができます」と呟いており、ユーザーへの約束を裏切った形となります。

Oculus Japan Twitter公式アカウントは業務委託に加えbot返信疑惑が挙がっており、頓珍漢な返答や呟きを繰り返し、ユーザーの神経を逆撫でしているようにしか思えません。
もしかしたら炎上商法に切り替えたのではないかと思っております。
あまりにも公式が無能なためか、非公式Oculus Japanアカウントなるものが登場する始末です。

尚、非公式アカウントは非常に有能かつ懇切丁寧であり、開発者モードからのやり方を知っている等、正体は不明ですが、中の人は只者ではありません。

入手経路や販売経路が非常に多く、家電量販店にも普通に売っています。
Oculus曰く、日本は米国に次いで顧客が多い国らしく、重要なターゲットとなっているようです。
それ故か、Amazonを始めとしたネットショッピング、ウェブブラウザ、Youtube等にも数多く広告を掲載しています。

余談になりますが、Facebookではタマネギの写真がセンシティブであると判断され、広告の掲載中止を余儀なくされたという冗談のような事件がありました。
恐らく、AIの自動チェックによるせいかと思われますが、現実世界の個人情報を扱うアカウントにも同様のAIチェックを行っている可能性があります。

総評

この記事を読んでいる人が一番気になっているであろう質問に答えておきましょう、Quest2は結局買いなのか?

Facebookの諸問題さえ無ければ間違いなく買いでした

性能は間違いなく、価格も熟れており安く、更にはPCが無くても遊べるスタンドアロン仕様、PCが低スペックでも問題無く起動ができるかもしれないという可能性を秘めており、Facebookの諸問題さえ無ければ、indexやPimaxを既に所有しているユーザーにもオススメできるだけのポテンシャルはあったと思います。
VR上級者から初めて手に取る初心者まで、幅広くカバーできたかと思うと残念でなりません。

現在、私はQuest2をメイン機として使っておりますが、記事を書いている今か、明日か、いつBANをされて使えなくなってしまっても不思議ではありません。
ここまで来てしまうと悪魔の証明に陥ってしまっているのですが、如何せん前例が多く報告されているので油断ならない状況です。
おかげでindexHMDとコントローラーを売り払うという計画が全て水泡に帰しました、怖くて手放せません。

Quest2を買うとなると、BANされてしまうリスク、バグや不具合を承知の上で買うか、どうしてもスタンドアロン起動をしなければならないといった方になると思います。
もしくは、既に別のHMDを持っていて、BANをされてQuest2が文鎮化したとしても、替えが効く人であれば買ってもいいかと思えます、値段もVRHMDとしては破格ですし。

その上で買うとなると、本体とLinkケーブル以外は正直必要無いかなと私は思っております。
ストラップはすぐに破損してしまう様子ですし、キャリングケースもサードパーティ製品が既に発売されているので、無理に公式から買う必要は無いように思います。

結論をまとめると、高性能・低価格・高リスクなVRHMDであると言えるでしょう。

終わりに

長い記事となってしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございます。

OculusはDevelopment Kit 2、通称DK2の時代から注目しており、Rift Sにて感動を十二分私に与えてくれたHMDなだけに、ここまでの没落ぶりはあまりにも嘆かわしく、悲しいというのが率直な感想です。
読んでいて不快に感じた方が居るかもしれません、この場を借りてお詫び申し上げます。
しかし、事実は事実として受け取り、前へ進んでいかなければならないと私は思っております。

最後に、この最高に不愉快な状況を生み出したFacebookのCEOである、マーク・ザッカーバーグの名言を借りてこの記事を締めたいと思います。


「完璧であることより、終わらせることが重要だ」
"Done is better than perfect"


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物売るっていうレベルじゃねぇぞ!

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