仮想通貨 Lisk にまつわる技術情報について

Lisk という仮想通貨があります。Lisk はこの記事を書いている時点(2017/12/30) では時価総額ランキング 17 位で、メジャーな仮想通貨とはちょっと言い難い位置にいます。

この Lisk に関する技術情報で誤謬と思われる情報が流れています。それは「Lisk は JavaScript で開発されているから良い通貨だ」「JavaScript の開発者はたくさんいるから Lisk の未来は明るい」といった情報です。ツイート例を示します。

これらの情報は明確に誤りです。この記事で正しい技術情報をお伝えしようと思います。

私はプログラマとして 10 年以上のキャリアがあります。少なくとも一般的な投資家に比べて技術には明るいと思うので、ここでは技術にさほど詳しくない Lisk 投資家に対して説明しようと思います。

プログラミング言語に関する勘違い

そもそも JavaScript とはなんでしょうか。これは、プログラミング言語の一種です。プログラミング言語とはソフトウェアを実装するための言語のことで、この言語を用いてコンピューターに命令をします。有名なプログラミング言語は C 言語や Java が有名です。例えば Windows は C 言語やその派生である C++ で作られていますし、Twitter は Java で作られています。プログラミング言語の種類は膨大にあり、1000 種類以上あります。JavaScript もそれらのプログラミング言語のうちのひとつです。

プログラミング言語に関して世間のイメージで一つ誤解があります。それは、「プログラミング言語は習得が困難で、自然言語(日本語や英語)と同程度に習得に時間がかかるものである」というものです。これは全くの誤解であり、自然言語ほど難しいものではありません。言語が異なっても似た構文の言語は結構たくさんありますし、自然言語に比べれば構文も少ないので実は結構楽なのです。その為、JavaScript で作られているからといって特に強みと言えるほどの利点には成り得ません。言語以上に、通貨の設計や提携企業などの魅力度で左右されるでしょう。

言語はあくまで道具です。家を作る時の金槌や釘のようなものです。日光東照宮を作る時に使用した金槌を他の人が使ったからといって素晴らしい建築物が作れるようになるわけではありません。それと同じように、 Google Map が JavaScript で構築されているからといって Lisk が JavaScript で作られているから素晴らしいということにはならないのです。

JavaScript の立ち位置について

各種プログラミング言語のうち、JavaScript の特徴について示します。JavaScript とは主にブラウザ上で動く言語で、各種 Web サービスでのアニメーションや、ボタンを押した時の処理など様々な箇所で使われています。例えば Twitter に投稿する時に文字数が多すぎるとツイートするボタンが灰色になりツイートできなくなりますが、それも JavaScript によって実装されています。

さて、実は JavaScript はある程度メジャーに使われているプログラミング言語の中では筋が悪い言語です。というのも、そもそもの設計思想が独特ということと、もう一つは歴史的な問題があります。一つ目について、JavaScript はプロトタイプベースという設計であり、メジャーな言語の中ではこのプロトタイプベースを採用しているのは JavaScript だけです(このあたりは雰囲気の理解で大丈夫です)。

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