なぜビットコインは筋が悪いのか、あるいは Ethereum や Monero の未来について

この記事は、技術にあまり詳しくない投資家向けになるべく平易に技術解説を行うための記事です。技術者目線で、なぜビットコインは筋が悪いのか、なぜ Ethereum や Monero の筋が良いのかを解説します。最後には、現在は仮想通貨界隈でほとんど注目されていないながらも、近いうちに破壊的なまでに高利益を得うる可能性のある企業について示します。

Bitcoin の PoW(Proof of Work) について

ビットコインはブロックチェーンという技術を柱として構成された仮想通貨です。ビットコインで使われているブロックチェーンは、ざっくり言えば「すべての取引情報を記録したデータ、あるいはそれを実現するための技術」です。ある程度の取引データの塊をブロックとして扱い、それがチェーンのように並んでいることからブロックチェーンと呼ばれています。

ブロックチェーンは当然ながら改ざんされるようなことがあってはなりません。そのため簡単には改ざんされないよう、ブロックチェーンに新規にブロックを追加する時には複雑な計算を行う必要があります。この複雑な計算を行う作業をマイニングと呼びます。多数の参加者でマイニングを行い、取引情報の正しさを担保するこの仕組は Proof of Work と呼ばれています。

マイニングでは、ハッシュ化と呼ばれる計算を何度も何度も繰り返しています。ハッシュ化とはデータの指紋を取るような作業で、得られた指紋データをハッシュ値と呼びます。

マイニングするユーザーは膨大な量のハッシュを計算してブロックチェーンの正しさを担保する代わりに、報酬を受け取ります。より高速なハッシュ計算を行えばより報酬も多くなり、ハッシュ計算のための競争が過熱していきました。通常用途でのハッシュの計算は CPU で行います。現代の CPU は非常に高速ですが、それでも満足できないユーザーは GPU でハッシュ計算を行いました。GPU とは主に画像処理に特化した CPU のようなもので、並列計算を得意とします。GPU をフル活用し、CPU の数十倍程度の計算速度を手に入れました。

それでも計算速度を求める競争は加熱し続けます。GPU より速いものを求めて、FPGA にたどり着きました。FPGA とは、簡単に言えば CPU を自作出来るキットのようなもので、ハッシュ計算を高速に行う FPGA が作成されました。FPGA は GPU の数倍から数十倍高速だと言われています。さらに ASIC も登場しました。ASIC は完全にハッシュのみの計算を行う専用のマシンで、圧倒的な計算速度を有しています。FPGA の百倍高速、とも言われています。

結果、ASIC を大量に購入できる大資本がビットコイン全体のハッシュパワーを占めるようになりました(写真は中国のマイニング工場です)。ブロックチェーンは参加者みんなでチェーンを構築するための技術ですが、過半数以上のハッシュパワーを占めるユーザーがいると取引情報を改ざんすることが出来てしまいます。これは 51% 攻撃と呼ばれており、対策はありません。攻撃されると取引情報が改ざんされるので、送金できなかったり取引に失敗してビットコインが消えたりします。当然そのような通貨は誰も使わなくなるので、価値は暴落します。

現在ビットコインはこの状況に陥っていると断定はできませんが、近い状況にあります。国別のハッシュ計算力で見た場合、中国がおよそ 70% 以上を占めていると考えられているからです(ただしこの数値は正確ではないし、誰も正確な状況を把握できていません)。

非中央集権化を目指したハッシュアルゴリズム

そのようなハッシュパワーの偏り、中央集権化は通貨の価値を暴落させる危険をもっているため、後発の仮想通貨では対策が取られました。

Ethereum を例に取ります。Ethereum ではハッシュアルゴリズムに ethash というアルゴリズムを用いています。このアルゴリズムは ASIC 耐性を持つよう設計されています。すなわち、ASIC を利用して超高速のハッシュ計算が困難になるようなアルゴリズムなので、ASIC を大量購入出来る資本がハッシュパワーを独占しにくい、という特徴があります。同様に FPGA にも耐性があり、GPU を使っても使用電力の割にはさほど高速化はしません。

同様の用途のためのアルゴリズムとして CryptoNight があります。このアルゴリズムを採用している通貨は Monero や Dashcoin 等があり、 他にも複数の通貨で採用されています。CryptoNight を採用した通貨だからといって今後成長するというわけでは無いですが、少なくとも現状では 51% 攻撃で価値が暴落するようなことは無いでしょう。

圧倒的な利益を得うる注目企業

非常に長い前置きでしたが、ここからが本題です。

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