VRはコスモポリタニズムをもたらすか

最近、X上で「インプレゾンビが日本語で文化を発信している」ことが話題になっている。かつてはインプレッション(X上の投稿の既読数)を稼ぐためにスパム活動を行っていたアカウント(これを「インプレゾンビ」と呼ぶ)に対し、日本人が彼らに対し、スパム活動の代わりに日本語で現地の文化を発信するとインプレッションを稼げるとアドバイスしたところ、彼らは日本語で投稿を始めたのだ。

全く異国の地におり、全くの赤の他人がX上で交流し、新しい運動を生み出したのである。インターネットはこうした、国境を超えた交流を可能にした。そして、VRはこのような交流をより容易にする

VR上のコミュニケーションの特異性

これまでのSNS(X, Instagram, Facebook etc.)上におけるコミュニケーションとVR上のコミュニケーションとの大きな違いがある。それは、身体を用いた表現を行うことが可能であるということである。VR上では自らはアバターとして表現されている。言葉を発さなくとも、グッドをする、変なポーズをする、シュワッチするなど、腕と手を用いたコミュニケーションを取ることが出来る。VR上で初めて会った相手に対して、特に掛ける言葉がなかったとしても、変なポーズを取れば「こいつなんかおもろ」という気持ちになるのは万国共通である。こうした、VR特有の非言語コミュニケーションが、国境を超えて赤の他人と仲良くなることを容易にする

VR上では、ボディランゲージを用いたコミュニケーションが可能である (引用: Meta Horizon World)

VRはコスモポリタニズムをもたらすか

世界中の人々がVR上の空間に集まり、自由に交流する空間を想像してみよう。2万キロ離れた場所にいる相手と、好きな姿で、言語は一瞬で翻訳され、自分のあらゆるジェスチャーや表情がアバターに反映され、コミュニケーションを取ることが出来る。そうした世界線において、世界中の人々が地政学的な一切の障壁を乗り越えて交流し、80億人が一堂に会する。それが実現した時、すべての人間はひとつとなり、敵も味方も無くなるのではなかろうか。あらゆるメディア・プロパガンダ・バイアスを乗り越え、対等に全人類が対話出来る環境が実現する時、共感やユーモアといった人類にプリインストールされた特性に従い、結束が促進されると考えている。


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