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『宇宙からの帰還』感想

自分がこの本に出会ったのは本屋の立花隆特集の棚でありました。以前立花隆さんの著書『サピエンスの未来』、『知の旅は終わらない』を読んでこんなにも知識豊かで新しいものを求めて突き進む人がいるんだととても驚きました。(田中角栄研究とかの政治の闇を暴く系の本もあるけど今回は触れません。)

上記の2冊を経て今回選んだのがタイトルにもある『宇宙からの帰還』。内容はアメリカにおいて宇宙に飛び探索を行った宇宙飛行士たちと立花隆さんのインタビューをまとめ考察したものとなっています。

いやもうね、面白い。とてつもなく面白い。自分はエッセイを読むのが好きなんですけど、これは宇宙規模のエッセイという風にも括れるような宇宙飛行士たちの宇宙探索活動を経て変化した心の機微を細かく丁寧に記した素晴らしい本なのです。宇宙飛行士の人たちのエッセイってほとんど存在しないからね。いや俺が知らないだけでいっぱいあるのかもしれないけどね。あったら教えてください、助かります。

印象に残っている点はたくさんあるんですが、長くなりそうなんで今回はそのうちの2つだけにしたいと思います。まず一つ目は「人間は宇宙へ行くだけではなく宇宙空間に放り出されてこそ宇宙を知れる」ということです。宇宙へ行ってもロケットの中で過ごすだけでは本当の宇宙を知ることはできないということですね。これ、言われてみればそうだなって目から鱗でしたね。確かにロケットの中でも無重力の世界は体験できると思います、しかしそれは地球に近い環境を疑似的に作り出した世界の中だけの話。宇宙空間に放り出されることで自分以外には何も存在しない完全に「無」の状態を体験することができるのです。「無」って確かに生きていて体験することないですよね。臨死体験みたいな感覚でしょうか、それとも夢の中のような感覚でしょうか。こればかりは実際に体験してみないとわからないものですが近い将来簡単に体験できる世界線になったら嬉しいと思います。(うん千年後とっかかな?)

もう一つは宇宙での経験を通じて『神』という存在を信じる、キリスト教やイスラム教と言った宗教の範疇に入れることができない絶対的な『神』の存在を感じる宇宙飛行士が多かったというところです。これ最初は意外だなと思ったんですよね。宗教的な面もあると思いますが、宇宙飛行士は物理や化学といったデータ中心に物事を捉える人が多いという偏見が自分の中にあったのだろうと思います。でもこの本を読んで理由がわかりました。宇宙というもの自体が人間の想像を超える Beyond Desctiptionな世界なんですよね。宇宙はどうやって出来たのか、ビッグバンはどのようにして起きたのか、ビッグバンができる前はどんな場所だったのか、わかんないんですよね。いやもうわかりようがないんです。そこでは人間の手が及ばない『神』が動かしているとしか思えない何かが起きているんですよね。そう考えると宇宙って不思議なものだなと改めて感じるのであります。


こんなところでは到底まとめることができないくらい中身が濃い『宇宙からの帰還』。内容も宇宙のように想像を超えたものになってるのでみなさん是非読んでみてください!


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