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『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』感想

オードリー若林3部作と勝手に呼んでいる作品群があります。『社会人大学人見知り学部卒業見込』『ナナメの夕暮れ』、そしてこのエッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』の3冊です。若林さんのエッセイは等身大といいますか飾ってないといいますか、とにかくいい意味で芸能人らしくないんですよね。エッセイの中で出てくる悩みごとも遠い世界の話ではなく身近なものばかりなので読んでいてとても共感が出来ます。



他の2冊が日常エッセイであるのに対して、今回紹介する『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』は旅行記になっています。表題にもなっているカバーニャ要塞があるキューバを始めモンゴル、アイスランドへの単独旅行を通して起こる若林さんの心境の変化が描かれています。一人旅、それも海外の一人旅はとても勇気が要りますよね。それも軍事政権だったり遊牧民族だったり生き方自体が違う国に単独で向かうことは本当に強い意志がいることだと思います。

コロナで気軽に海外旅行に行くことが出来なくなった現在、この若林さんの旅行記は普段は触れられない他国の文化に触れることが出来るとてもいい題材になっていると思います。特にキューバなんかはコロナ関係なく治安の面で行くのは躊躇われてしまいがちですよね。自分も行くかと言われたらちょっと考えるかと思います。でも治安が不安定な国だからこそ『自由』に対する違った考え方に触れることが出来るんですよね。若林さんのエッセイでは表題にもなっているカバーニャ要塞に住み着いている犬がその『自由』を考えるポイントになっています。人に飼われてきれいな街に住むのか町の中で自由にマイペースに暮らすのか、そのどちらが幸せなのか。是非みなさんも考えてみてください。

等身大で淡々と語るように進んでいく若林さんのエッセイは時間も忘れるほど没頭してしまいます。もちろんモンゴルとアイルランドの紀行エッセイもいろいろな感情が溢れていて面白いですので皆様是非読んでみてくださいませ!


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