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ヘルスプロモーション

 YouTube上の動画で医師会のホームページ上に介護福祉士や看護師の医療職の採用の情報を載せるという川崎市(神奈川県)の取り組みが紹介されている。採用の情報や基準を知り易くなったことが成果としてある。ここでは地域包括ケアシステムにおけるナッジの考え方を具体例にヘルスプロモーション全般について行政の在り方を考えてみたい。
 まずヘルスプロモーションとは何か、ナッジとは何か、考えてみたい。例えば仲間内の中で健康に関する知識や意識を高め共有したり、活動する現地の住民の理解や同意を得たり、健康の知識を周知し普及、高めたりする役割や活動をヘルスプロモーションと言うと考える。放送大学テキストでは、ヘルスプロモーションとは、健康教育や環境支援を目的とした公衆衛生上の戦略として、健康意識を高める役割を持つとされる。現在居住の地域の地域包括支援センターで、母の件で相談に伺った際、帰り際に地域包括支援センターの存在自体の周知が遅れ、認知度が低いという言葉を担当の方が漏らされた。まず知って貰わないと利用もして貰えないという事実があると思われる。また宮前区民館での地域包括支援センターによるプロモーションの催しがあり、それに参加させて頂いた。認知度の広がりにもなり、楽しい和やかな雰囲気での催しだったので、良い印象を地域包括ケアシステムに持って貰う機会になっていたと思われる。ナッジというのは、そっとその行動が喚起されるべく後押しする行動経済学の方法手法である。例えば広告の仕方でその行動のリスクや効果を予め知らせるなどである。また歩数を計測できるアプリ開発などもその例である。
 ヘルスプロモーションにおいても、健康行動のヘルスリテラシーの普及やナッジやフレーミングの考え方に移行しつつあると思われる※1。自己決定の要素に働きかけ、行動の変容を促しそれを持続させるには、限界もある。どうやったら持続した変容を維持できるのか、1つには非合理的なバイアスを把握した上で働きかけるなど※1、リスクコミュニケーションの立場から危機管理を図るなどの方向性が考えられる。新型コロナ感染症の危機から感染症分野のリスクコミュニケーションも近年研究が進んでいる※2。介護と医療の連携の周知や、人材採用の情報の公開、地域包括支援センターの存在を知って貰うなどにおいても、例えば理屈ではなく直観的なヒューリスティックスに働きかけ本質を知らせるなど、ヒトの非合理的なバイアスを把握して知らせる応用が考えられる。財源や権限を握る行政が、その発信やプロモーションの仕方を工夫し市民・住民の意識を啓発・高める事は、重要な施策である(本授業動画より)。付け加えて能や狂言の役者さんの様に、徹底して動きを削ぎ落していって、自分を追い込んで、その時に取る演技や行動が、その時のその人にとって治療的な効果がある、意味のある行動となる、そういう療法があってもいいのではないか。その時に最も最適だと自ら思う感じる、身体や心が命ずる行動を取ってみる療法(松岡)。

※1:『ナッジ×ヘルスリテラシー』(大修館書店)
※2:『公衆衛生の緊急事態にまちの医療者が知っておきたいリスクコミュニケーション』(医学書院)
以上をLUCANUST-ANGLE、NOTE.COMにて掲載中。

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