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介護支援ボランティア制度

 地域包括ケアシステムの事例実例として、介護支援ボランティアの制度(YouTube上では鹿児島県や島根県などの例が挙げられている、本科目教材中にも東京都稲城市の事例がある)を取り上げたい。ボランティアとは、その形態から第1セクター(政府)、第2セクター(企業)に次ぐ第3セクター(NGOやNPO)の意味があり、その市民性から意味づければ従来は「奉仕」がそれに当たっていたが、奉仕の含意する滅私奉公という意味から自発的な意味のある「ボランティア」のカタカナに移行した※1。本科目授業では、「自分が参加して元気になりその余裕をボランティアとして支える側に立ち、回すことで心身の健康面や医療費などの財政面での好循環が期待されかつ確認される」事例が挙げられている。同じ高齢者や認知症患者という意味では、精神科やがん腫瘍科当事者間でみられるピアサポートにも似ている面があるかも知れない。
 授業内では「まず現状を把握し、課題や困りごとをみつけ、すると自ずと施策は定まり、かつその時、地域に現存する存在するもの資源を使うと良い、それが地域の共感を得て力を借りる事が出来る」と紹介されている。幾つか視聴した各事例に共通のワードは愉しむ事、それを苦行には考えずせずに参加型で楽しめる形態を考える、高齢者の秘めた力を積極的に活用するという基本性格だと感じる。例えば筋肉トレーニングに参加して、慣れてきて余裕が出てきたら他の高齢者参加者のサポートを手伝う、希望者が料理したものを配膳をして手伝うなどである。授業内の事例ではポイント制で微額ではあるがお金も得られるなど、高齢者のやる気や能力を引き出し、気持ちの張り合いや健康などを支援する効果が得られるとしている。楽しみながら、困りごとの解決を図り、併せて介護の人材不足を補い、事業成果を生み出しつつ、もって地域づくり醸成を企図する試みが、地域包括ケアシステムの本質的な醍醐味であると考える。
 精神科の地域医療でも「にも包括」と俗称される様に※2、精神科にも地域包括ケアシステムを望むという流れが出てきている。地域包括ケアシステムの思考法、解決法はそういう意味で応用の効く普遍性を秘めている。介護支援ボランティア制度にみられる様に、高齢者が元気を回復促進し、逆に地域包括ケアシステムを支える担い手になるという試みは、不利な逆境を逆手にとった痛快な試みである。ピアサポーターやそのピアサポーター加算制度などにみられる様に、今後こうした当事者の参加への取り組みが盛んになり、研究や実践が進められてゆき、高齢者の増加や少子化などによる介護人材の不足や地域医療の財源不足・劣化が解消されることを願う。

※1:『ボランティア論―市民社会の創造』(大学図書出版)池田幸也、2018
※2:YouTube動画投稿サイト(ドクター藤田のメンタルゾーン)より参考。

以上をNOTE.COMにて掲載中。

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