新卒で入社した会社の話③

配属先へ出社し始めて、つまり本格的に仕事をし初めて1週間が経った。

酒井に限らず、どの先輩に挨拶しても皆目を見てくれることなく、ただ私だけ馬鹿みたいに挨拶を大事にしているような気がしてきて、もう挨拶しなくていんじゃねてなことを思い始めた。

この職場は大体始業から10時くらいまでに電話のラッシュが来る。

それが過ぎると、一息つくかのように、ティータイムみたいな感じで各々がコーヒー入れにいったりお菓子食べ始めたり、私以外の三人は話に花を咲かせている。

私だけ年齢が違うため、話に入っていくこともできないし、何言っても「若いからいいよねー」みたいなこと言われるため、もうめんどくなって入るのもやめた。

いわゆる女子女子した雰囲気のある職場、と言っても恐らくこの空気は椎村が作り出しているので、その他のメンバーがどう思っているかなんてよくわからない。

椎村はこの職場の中で、唯一経理業務ができる人。その為、この人を敵に回したら仕事が回りにくくなるというのがあるため、どれだけ愛想の悪い営業や課長も、この椎村にだけはお姫様を扱うような感じに接している。

椎村もそれをわかっているのか、割と好き放題している。

立場が一番下だからこそ見えてくることが最初の1週間で山ほど会った。特に、ドロドロした人間関係については。久々に感じるこの中学校みたいな空気。

偶然なのだろうが、この職場で働いているパートさんは、8割方バツイチ。1人で子供を養わないといけない立場の人たちだ。

そのため、まず正社員という立場である椎村、松井、そして私はその段階で嫉妬の対象となる。

休憩室での会話の内容も、今まで触れたことのなかったような、バツイチならではのお金の苦しみの会話も多かった。

今月が本当に苦しい・・。

お金がある人は心の余裕もあるというのは、本当のことなんだなというのを初めて実感した。

そんな状態でありながらも、正社員の椎村、松井は割と好き放題するから、パートの人達もきっと嫌なのではないかと思ったりはしていたが、こんなくだらないことに首を突っ込むと馬鹿を見るだけなので、私は基本みんなと距離を置こうと決めていた。

5月中旬、久しぶりの同期会が開催された。

みんな、それなりに大変なようだが、話を聞いていくうちに、人には恵まれているという話をしていた。先輩とのこんな出来事があったという話を楽しげにする同期。

なんだ、私だけじゃん、ハズレくじ引いたのは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?