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【翻訳】レンジの形態学【セオリー】GTOWブログ.8
レンジで考える能力は、初心者から上級者に変わっていく思考過程における、自然なプロセスである。これはしばしば困難な作業のように思えるかもしれないが、1326通りの手札の組み合わせをすべて頭の中でイメージするのではなく、レンジを構造として考えるようになれば、ずっと簡単になる。
Morphology=形態学とは、形や構造を研究する学問である。リニア、ポラライズド、マージド、コンデンスド、キャップされた、キャップされていない、といった言葉を耳にしたことがあるだろう。
キャップされた/キャップされていないレンジ
レンジを説明する最も簡単な方法は、「キャップされた」と「キャップされていない」で表すことである。これによって、誰が有利なのか(一般的にはプリフロップのアグレッシブなプレイヤー)、またそれに応じてどのようにプレイすべきかがわかる。
「キャップされた」とは、単に強いハンドを持たないレンジを指す。例えば、BBのコールレンジには通常QQ+やAKのようなプレミアムハンドは含まれない。これらのハンドは通常プリフロップでレイズするからである。これはレンジの強さに「キャップ」を設けることになる。
逆に、「キャップされていない」とは、単純に最も強いハンドを含むレンジを意味する。標準的なオープンレンジは最も強い手札をすべて含んでいるはずなので、キャップされていないことになる。
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注意しなければならないのは、あるレンジが”キャップされた”や”キャップされていない”で始まったからといって、そのレンジがフロップ以降もそのまま続くとは限らないということである。あなたのA♠A♦は7♣8♣9♣のフロップではそれほど印象的ではない。キャップされたプレイヤーが適切なボードでアンキャップされることもあれば、その逆もある。
レンジの形態学:ポラライズド、リニア、マージド、コンデンスド
プレイヤーとして上達するにつれ、ポラライズド、リニア、コンデンスド/デポラライズド、マージドなどレンジを表す、より高度な用語に出くわすだろう。
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リニア
リニア: トップダウンのバリューハンド群で、最も強いハンドから中程度のハンドを意味する。理論的には、継続するアクションが1つしかない場合、いつでもリニアなレンジを見ることができる。例えば、オープンのレンジは通常レイズかフォールド、EPの3ベットのレンジは通常レイズかフォールド、オールインに直面した場合はコールかフォールドしかない。したがって、継続するアクションが1つしかないときは、ベストハンドで継続し、残りはフォールドするのが論理的である。このようなスポットは定義上リニアである。
リニアレンジはポストフロップでも見られる。典型的な例は、大きなベットに直面していて、レイズレンジがあまりない場合である。例えば、このAK6rボードのBTN対BBのSRPで、BTNはフロップで125%のポットをオーバーベットした。BBのディフェンスにはチェックレイズがほとんどないので、最も強いハンドでトップダウンのリニアレンジでコールするだけである。ほとんどのセカンドペアとサードペアはほぼ同じ価値(インディファレント)であることに注意。ただし、ブロッカー効果により、6♣3♣のようなハンドはKQoのようなハンドよりも若干価値が高い。
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ポラライズド
「ポーラー」とは、正対するグループに分けるという意味である。ポーカーでは、ポラライズドレンジとは、非常に強い手と、非常に弱い手、ナッツ/ブラフで構成されるレンジのことである。
ポラライズドレンジを最もよく見かけるのは、IPのリバーだ。ここはポーカーで唯一、チェックバックレンジを守る心配がない場所なので、バリューハンドやブラフをベットし、ミドルをチェックバックするだけでいいからである。
例えば、このブラインド対ブラインドのA♠A♥A♦2♣3♦のボードでは、BBはクアッズ、フルハウスをバリューハンドに、弱いハンドをブラフとして、レンジの真ん中をチェックバックするというポラライズをしている。
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これはエクイティ分布に反映されていることがわかる。ベッティングレンジは「ベストハンド(エクイティが75%以上)」と「ゴミハンド(エクイティが33%以下)」で構成されている。この強弱の分布がポラライズの定義である!
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早いストリートでは「ブラフ」と「バリュー」の定義が難しくなる。リバーに近づくにつれ、エクイティが明確になるため、レンジは二極化する傾向がある。プリフロップのレンジが二極化する最も一般的な例は、SBのオープンに対するBBの3ベットであり、これはプリフロップとポストフロップの両方でポジションがあり、アクションをクローズするオプションがある稀なケースである。
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素人目には、これらの手札のどれが「バリュー」なのか「ブラフ」なのかわからないかもしれない。このことは、3ベットレンジのEVを見ることで視覚化できる。
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なぜポラライズドが存在するのか?リニアなレンジでベットするだけではいけないのか
これは簡単な質問のように思えるかもしれないが、理解することが非常に重要である。多くの初心者プレイヤーは(そしてコーリングステーションとの対戦に慣れている強いプレイヤーでさえも)、リニアにベットすることに慣れてしまっている。しかし、これは相手があまりに広くコールし過ぎない限り、エクイティを整理する効果的な方法ではない。
ベットの価値は常にチェックに対する相対的なものである。
リバーのIPで、リニアにオールインしたとしよう。ブラフなしで、最も強いハンドから中程度のハンドをすべてベットする。これは相手がオーバーコールした場合には有効だが、相手がオーバーフォールドした場合には簡単にエクスプロイトされてしまう。私たちの弱いチェックバックのレンジが勝つことはほとんどなく、私たちの中途半端なハンドはより悪いハンドにはフォールドされ、より良いハンドにコールされ、私たちのナッツハンドはあまりコールされない。この戦略は穴だらけである!
以下のリニアな戦略は、エクイティを整理する方法としては非効率的である。バリューハンドをペイオフするためにはブラフが必要であり、(リバーでは)最も効率的なブラフはチェックでは勝てないハンドでのブラフである。これがリバーにおいてベットするハンドがポラライズされる理由である。
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この問題は、以下のようなポラライズドレンジを使うことで解決できる。こうすることで、相手はブラフされて自分の強いハンドをフォールドさせられすぎる事を避けるために、より広いレンジでコールするようになる。さらに、ナッツハンドでより多くのバリューを引き出し、中途半端な手札で価値を失うのを防ぐことができる。
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IPでの最適なリバーベット戦略は、ほとんどの場合ポラライズドである。これはポーカーで唯一、中途半端な手札でショーダウンを保証するオプションがある場所だからである。
完璧なポラライゼーションとベットサイズ
ポラライズドレンジは一般的にベットサイズが大きくなる。しかし、これはなぜでだろうか?単純化した答えは、自分のバリューレンジがナッツ化するにつれて、スタックの全てを賭けてプレイしたくなるから、である。
すべてのバリューハンドが相手のレンジに対して100%のエクイティを持ち、すべてのブラフが相手のレンジに対して0%のエクイティを持つとき、レンジは「完全にポラライズ」されていると言えるが、実際にはこのようなことはめったに起こらない。
完全にポラライズされたレンジは常に「ジオメトリックベットサイズ」を使用する。これは簡単に言うと、リバーまでにすべてのチップを入れるために、各ストリートで同じポット%をベットするということである。このベッティングパターンはディフェンス側のレンジの幅を最大化させる(MDF参照)。
ジオメトリックサイジングのコンセプトについては別の記事で詳しく触れるとしよう。
完全にポラライズされたレンジは理論上の概念であり、実際にはほとんど当てはまらない。あなたのレンジに対して、相手がブラフキャッチャーしか持っていないというのは、かなり珍しいことだからだ。フロップ/ターン時に、ドローのエクイティを早い段階で打ち消すために、不完全なポラライズドレンジでジオメトリックサイズよりも大きくベットしたい状況はある。相手がトラップや強いバリューのレンジを持っている場合、小さくベットしたい状況はたくさんある。ポーカーは複雑だが、走る前に歩くことを学ぶ必要がある。
コンデンスド/ディポラライズド
コンデンスド(ディポラライズドと呼ばれることもある)構造とは、中程度のハンドが多く、ナッツハンドや弱いハンドが少ないレンジを指す。
一般的な例はSBのコールレンジで、ポケットペア、Axs、中程度の強さのブロードウェイが多い。このようなレンジは、キャップされているにもかかわらず、多くのボードで実際にかなり強いことがある。エアーがない分、このレンジに対するプレイの仕方は変わってくる。
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このレンジが "コンデンスド"であるのは、超強力な手も超弱い手もあまりないからである。レンジは中程度のハンドに"凝縮されている"。HJのポストフロップ戦略は、より強い手と少ないエアーをターゲットにするように変わるべきであり、その結果、彼らはより慎重にプレイする必要がある。
マージド
これまでのところ、私たちが見てきたものは、とてもシンプルでクリーンだった。定義は単純に見える。しかし、ポーカーは複雑なゲームである。レンジの形態は、明確に定義された構造というよりも、スペクトルのようなものだ。
マージドレンジはポラライズドレンジとリニアレンジの中間に存在する。典型的には、ブラフ、ナッツ級のハンド、妥当なインプライドオッズを持つミディアムハンドが含まれる。
以下は、992rのBTNvsBBにおけるマージドレンジの例である。BTNは33%のCbetを行い、BBのアクション。ご覧のように、BBはかなりの頻度でチェックレイズしており、ナッツハンド、ミディアムハンド、トラッシュからなるマージドレンジを持っている。
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これはエクイティ分布に見てとれる。レイズレンジには、中位のポケットペアなど、中程度の「弱い」手と「良い」手(エクイティ33~75%)が多く含まれている。この分布と、先に見たようなポラライズドレンジのエクイティ分布とを比べてみよう。
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なぜマージするのか(混ぜ込むのか)?
ポーカーの複雑さによる自然な結果として、マージドレンジが存在する。完全なポラライズドレンジはしばしばエクスプロイト可能であり、現実の世界では複数のストリートにまたがって有効でも強固でもない。
例えば、BBが単純にトリップスをチェックレイズし、最悪のトラッシュでもレイズをしたとする。この超極端な戦略の問題点は、2/9/Aのターンカードによってブロッカーの弱点が目立つことだけでなく、BBが十分な頻度で改善しないため、ターン、リバーにおいてより多くの頻度で諦めなければならない(またはオーバーブラフを始める)ことである。これらのブラフは見通しが悪い。
さらに、行き過ぎたポラライズドレンジは非常に小さなプローブベットやミニマムレイズの影響を受けやすい。この種の攻撃は、自分のレンジに自然なコールハンドがある限り問題にはならないが、XRのラインを取るレンジが極端すぎると、それらの攻撃は非常に強いバリューハンドをブラフの一部から切り離す事を要求してくるため、ディフェンスが難しくなる。
最後に、マージドレンジはポラライズドレンジに比べて相手に悪いエクイティを与え、あなたはより多くのバレルをすることができ、相手は広くコールすることが出来なくなる。適切な状況下ではより効率的な構成となり、より広くレイズする事が出来るようになる。つまり、マージドレンジはポラライズドレンジとリニアレンジの両方の長所を取り入れているのである。
チェックレイズに対してBTNがどのように継続するかを見てみよう:
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BTNは、オーバーカード、Ax、ダブルバックドアドローなど、こちらの中程度の強さのハンドに勝てるハンドでフロートする必要がある。BBはBTNのレンジのEVを上回り、後のストリートでブラフを続け、相手のエクイティの大部分をナッツハンド無しでフォールドさせることができる。
プリフロップレンジにおけるリニア〜ポラライズド間のスペクトラムの視覚化
マージドレンジは、リニアレンジとポラライズドレンジの中間と考えることができる。BBのBTNに対する3ベットレンジを観察することで、この変化のパターンを見ることができる。
通常、3ベットサイズが小さかったり、レーキが低いほど、リニアレンジに近くなり、3ベットサイズが大きかったり、レーキが高いほど、ポラライズドレンジに傾く。これはBTNのコールレンジ(やBB3betされた場合の4betレンジ)に関係している
BTNのコールが多く、レイズの頻度が低い場合、私たちは相手のコールを誘発させるため、よりリニアなレンジを使いたい。これはまさに、レーキが少なかったり、3ベットサイズを小さくした場合に起こることだ。
逆に、相手がレイズすることが多く、あまりコールしない場合は、コールされた時のEVの高い中程度の手札が相手のレイズによって吹き飛ばされるよりも、レイズに直面しても満足できるようなバリューとスナップフォールド出来るようなポラライズドレンジを使う方がいい。
何が「バリュー」や「ブラフ」レイズにあたるかについては人によって考え方が異なるので、ここでは単純に3ベットレンジのEVを見ることにする。
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これらの3つのレンジはすべて "マージ "されているが、変数を変えることでリニアにもポラライズドにも傾く。
総括
要約してみよう:
キャップド-レンジ内にベストハンドがない(例えばBBのプリフロップのコールレンジにはAAがない)
アンキャップド - レンジ内にベストハンドがある(例:BTNのオープンレンジにはAAがある)。
リニア - トップダウンのバリューのあるハンドから中程度のハンド(フォールドかコンティニューするか以外の第三のアクションの選択肢が無い時や、コーリングステーションに対するエクスプロイトとして使われる。)
ポラライズド- 強い手と弱い手(ナッツかナッシングを表すときに、しばしばとても大きなベットサイズとともに、使う。)
コンデンスド - 中程度のハンドで構成され、弱いハンドやナッツ級のハンドがあまりないレンジ(例えば、BTNフラットレンジ対EPオープン)。
マージド - 強い手、弱い手、中程度の手(より強固で、エクスプロイトされにくく、小さいベットやレイズでよく使われる)。
リニアとポラライズはスペクトル上に存在する。
ポーカーを研究する上で、このような使い分けはレンジ分析をする上で欠かすことが出来ない。レンジを構造として考えることで、様々なプレイの長所、短所、インセンティブを特定することが出来る。これで、あなたの分析を次のレベルに進める準備が整ったことでしょう!
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