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【翻訳】PKOのファイナルテーブルを極める【ICM、PKO】GTOWブログ.81


ファイナルテーブルはトーナメントで最もエキサイティングで実りの多い局面であり、ファイナルテーブルを勝利に導くことは、ポーカープレイヤーとしての総合的な成績を左右する。特にプログレッシブノックアウト(PKO)のファイナルテーブルでは、ビッグペイジャンプとビッグバウンティの両方が見られる。
では、どうすればPKOのファイナルテーブルで最大限のリターンを得ながら、不必要なリスクを避け、バウンティを獲得する最高のチャンスを得ることができるのだろうか?今日は、PKOファイナルテーブルとクラシックファイナルテーブルの比較と、この2つのフォーマットでどのように戦略が変わるかを見ていこう。



ペイアウトストラクチャーの違い




PKOとクラシックのファイナルテーブルの戦略的な違いを議論する前に、それぞれのフォーマットにおけるペイアウトストラクチャーがリスクプレミアムに与える影響を理解する必要がある。GTOウィザードでPKOとクラシックのペイアウトを比較してみよう:
PKOのペイアウトストラクチャーはフラットで、1位と2位には賞金プールから同額が支払われる。これは、PKOトーナメントの勝者が自分のバウンティと対戦相手のバウンティを獲得するためで、最終賞金に多額のバウンティが加算されることが多いからである。
PKOトーナメントのペイアウトストラクチャーはフラットであるため、それ単体では(バウンティを考慮しない場合)リスクプレミアムが高くなる。この高いバブルファクターは、バウンティパワーがレンジに与える影響によって軽減される。ファイナルテーブルで、この2つの要素がどのように影響しあうかを見てみよう。


PKOにおけるバブルファクター


以下は、PKOとクラシックのファイナルテーブルにおけるバブルファクターを、相対的なスタックの深さに基づいて比較した2つのグラフである。このグラフでは、ペイアウトが戦略に与える影響を強調するため、バウンティの影響を取り除いている。

先に述べたように、PKOにおけるペイアウトストラクチャーはよりフラットであるため、単体ではバブルファクターが高くなる。では、バウンティを加えてどうなるか見てみよう。


最後のドロップは、スタックが完全に投資され、賞金を獲得するチャンスがあるポイントを表し、その時点のバブルファクターは1を下回っている。このことからわかるのは、PKOのファイナルテーブルではリスクに晒すチップは、得られるチップよりもはるかに価値が高いということである。このことは、バウンティを賭けてプレーするまでは変わらない。

もちろん、これは純粋に仮定の話であり、現実のファイナルテーブルではスタックの分布が不均一である。それにもかかわらず、ファイナルテーブルにおけるバウンティの影響が限定的であることを認識することが重要である。次に考えるべきは、これらのバブルファクターがPKOファイナルテーブルのレンジ構築において全体的な戦略にどのように影響するかだ。いくつかの異なるスタック深度でのRFIレンジを見ていこう。


PKOとクラシックのレンジ比較


以下は、GTO Wizardにある同一のPKOとクラシックの残り7人のファイナルテーブル・ソリューションから取り出した3つのRFIレンジである。

最初の例では、平均スタック深度が60bbの場合、ポジションによるオープニングレンジの違いはほとんどない。主な違いはスモールブラインドのリンプファーストイン(LFI)とRFIのレンジである。

次に、スタックの深さが戦略にどのような影響を与えるかを探ってみよう。
この2つ目の例では、スタックの浅さが戦略に与える影響を見ることが出来る。平均スタックが30bbの場合、PKOではCO、BTN、SBでのレイズが多くなり、戦略が乖離し始める。この例での主な違いは、BBがカバーされているので、後のポジションのプレーヤーがバウンティにアクセス出来るようになったことである。それでも、スモールブラインドだけがリンプとオープンを交換することで、RFIレンジを大きく広げている。対照的に、COは残り全てのプレイヤーをカバーしているにも関わらず、オープンするハンドは3%しか増えない。
次のグラフは、プレイヤーのスタックが少ない場合のオープニング戦略の変化を示している:


最後に、テーブル全体が20bb以下のショートスタックの例を見てみよう。


この例で注目すべき点がいくつかある:
浅いスタックのPKOでは、オープンオールインがかなり少ない。
ショートスタックのHJはPKOでもクラシックFTでも同じような戦略で、PKOではややタイトにプレイしている。
チップリードしているにもかかわらず、PKOの例でSBのオープンハンドは少ない。

これら3つの例から得られることは
リスクプレミアムはファイナルテーブルの全体的なスタックの深さによって増減することはない。
PKOのバブルファクターは全てのプレイヤーで低いが、カバーしているプレイヤーは著しく低い。
バブルファクターが低いにもかかわらず、PKOとクラシックのファイナルテーブルのレイズレンジは似ている。


コールレンジ


さて、RFIのプレイを理解したところで、前のプレイヤーのアクションに反応する場合を見てみましょう。以下は、PKOとクラシックのシナリオの対比で、カバーされたプレイヤーのオープンをコールする例である:

オールインしたプレイヤーをカバーしていて、他にアクションを残しているプレイヤーが1人いる場合、ボタンはほぼ同じ割合のハンドをレイズオールインしているが、より頻繁にコールしていることがわかる。PKOの例では、より多くのポケットペアがリレイズオールインされ、レンジにATを加えている。これは、ボタンがミドルペアでSBのオーバーカードをフォールドアウトしたい一方で、より広いレンジでHJのバウンティを回収する機会を狙っているためである。BTNはこの例で、SBがリレイズオールインをした場合でも、自分のレンジの一番下(例えば77、ATo、AJo)でポットを諦めることができ、同時にプレミアムポケットペアでそれらのハンドを守ることができる。

PKOにおいて、カバープレイヤーが残っている状態でオールインをコールする場合の一般的なルールは、ミドルペアと強いAxハンドでフォールドエクイティを最大化しながら、自分のレンジの上と下でコールレンジのバランスを取ることである。

PKO対クラシックのファイナルテーブルで、スタックの深いテーブルで3ベットに直面したとき、チップリードがどの程度ハンドレンジを広がるか見てみよう。


ここで、戦略の違いがより明確になった!どちらの例でも、私たちはベストハンドをファストプレイしているが、PKOではチップリードしているため、ポストフロップでプレイしやすいハンドでポストフロップをプレイすることを気にしない。ポケット4や3は、ビッグスタックのフォールドエクイティから利益を得ると同時に、彼らの4ベットレンジのバランスを取るのに役立つ。どちらの例でも以下の点が確認できる:

  • カバーしているプレイヤーとして、オールインとノンオールイン(NAI)の3ベットの両方をフラットコールすることができる。

  • NAI3ベットをコールするときは、自分のレンジのうちポストフロップのプレーに適した部分を使う。

  • 3ベッターがポットコミットしたときに、レンジの一番上を使ってトラップすることはない。


少人数のプレイ


最後に、ファイナルテーブルのプレイヤーが少なくなった場合を見てみよう。下の例では、平均スタックが30bbで、互いに近いスタックを持った4人のプレイヤーが残っている。


スタックが拮抗しているショートハンドでは、スモールブラインドを除いて残りのプレイヤーをカバーする場合、より広いレンジでプレイしていることがわかる。バブルファクターを比較すると、その理由がわかる。

この例では、BBと対戦したSBのバブルファクターの差は0.3と比較的小さい。

比較のために、ダントツのチップリーダーがいる場合の平均スタック30bbの例を示す。

PKOの例でチップリーダーのレンジが非常に広い理由を説明するために、チップリーダーのバブルファクターを見てみよう。

予想通り、チップリーダーはここで広いレンジでプレイする大きな動機があるが、興味深いのはクラシックのソリューションではさらに広いレンジでプレイしていることである。チップリーダーは、ポットを失っても全体のトーナメントの順位に影響がないため、ショートスタックに対して莫大なプレッシャーをかけることが出来る。

PKOソリューションでは、他のポジションと対戦するとき、バブルファクターが1を下回っていることに気づくかもしれない。このような負のリスクプレミアムが、他のテーブルからのアクションに対するスモールブラインドの反応にどのような影響を与えるかを見てみる価値がある:
次の図は、PKOの4人のファイナルテーブルで、SBが他のプレイヤーのアクションに対してどのように反応するかを示している:


上の表について少し書いておく:

  • リスクプレミアムがマイナスであるにもかかわらず、チップリーダーはCOやBTNのオープンに対して大半のハンドをフォールドしている。

  • BTNやBBにオールインされた場合、SBは依然としてそれなりにフォールドしている。BTNからのオールインの場合、AT以下のAx、KQs以外のAなしのアンペアハンド、66以下のポケットペアをすべてフォールドしている。

  • SBはCOとBTNに対してオールインでない3ベットのレンジを持ち、そのレンジの下限は4ベットにフォールドする。

  • SBはBBに対してトラッシュハンドの一部をレイズ/フォールドし、プレミアムハンドとのバランスをとる。

少人数のPKOファイナルテーブルでビッグスタックであっても、オールインに直面したときはショートスタックの相手に対して比較的タイトなレンジでプレイする。


まとめ


どのファイナルテーブルも、他のトーナメントのステージと比較すると、最高のリスクとリワードを表す。ファイナルテーブルでの決断を迫られたとき、重要なのは、リスクを軽減しながら、どのようにすればこの報酬を最大化できるかということである。
PKOトーナメントでは、オープニングレンジとコールレンジの選択において、クラシックのファイナルテーブルでのアプローチと密接に一致している。カバーしているプレイヤーのバウンティで追加のエクイティが得られる場合でも、アグレッションに直面した時は規律あるアプローチを適用する。


キーポイント

  • カバーしているプレイヤーがアクションを残している場合に、オールインにコールする際には、レンジの上位と下位でコールレンジをバランスさせ、中間のペアや強いAxハンドでフォールドエクイティを最大化させる。

  • ショートハンドのPKOファイナルテーブルで大きなスタックを持っている場合でも、オールインに直面するとショートスタックの相手に対して比較的タイトなレンジでプレイをする。

  • ファイナルテーブルでのPKOのフラットなペイアウトストラクチャーに伴う高いリスクプレミアムは、バウンティによって補われるが、標準的な非PKOのレンジと比較してレンジを大きく変えるほどではない。


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