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【翻訳】ポーカーにおけるポットオッズとは何か【CASH,MTT,セオリー】GTOWブログ.13

ポットオッズは、コールを正当化するためにポットのどの程度を獲得する必要があるかを教えてくれる。この指標は計算が簡単なので、全てのプレイヤーが道具箱に入れておくべきツールである。

この記事では、ポットオッズの基本、計算方法、この指標の限界についてレビューする。


なぜポットオッズについて学ぶべきなのか

ポットオッズはポーカーの基本的な計算である。簡単に言えば、ポットオッズは、例えば5ドルのベットをコールする場合、(長い目で見て)少なくとも5ドルはポットから回収した方が良いということを表している。

後で回収できないのであれば、ポットにお金を入れる意味は無い。私たちが言っているのは、目先の結果ではなく、コールの長期的な期待値のことである。コール額をすぐに回収できることもあれば、完全に負けることもある。しかし、平均的には投資を回収する必要がある。これが、ポーカー理論の基本であるポットオッズの主旨である。

ポットオッズは基本的にリスクとリワードの計算である。ポットに対するベットの大きさを検証することで、コールを正当化するためにどれくらいの頻度で勝つ必要があるかを正確に計算することが出来る。リスクとリワードを天秤にかけて、損益分岐点を見つけるのだ。

ポットオッズの計算

ポットオッズは、ベットをコールすることを正当化するために、ポットの何パーセントを獲得する必要があるかを示している。ポットオッズを計算するのに必要なのは、ポットに対する相手のベットの大きさだけである。

例えば、相手が$20のポットに$10をベットしたとしよう。コールした後、その新しいポットから少なくとも$10を回収する必要がある。では、その新しいポットの何パーセントを獲得すればいいのだろうか?

単純にするため、今後のストリートでのベットは発生せず、このベットはオールインだと想像してみよう。その場合、私たちが獲得するポットの一部、というのがそのまま私たちのエクイティとなる

エクイティについて詳しくはこちらの記事をどうぞ!

必要なエクイティをパーセンテージで計算する

コールに必要なエクイティ = (コール額) / (コール後のポットサイズ)
コールに必要なエクイティ = $10 / ($20 + $10 + $10) = 25%

コールした後の25%の確率で勝てば、$10の投資を回収できる。つまり、私たちがお金を取り戻すには、平均して少なくとも新しいポットの4分の1を勝ち取る必要がある。もちろん、それ以上の確率で勝ちたいところだが、25%以下の確率でしか勝てないのであれば、コールを正当化することはできない。

オッズとしての計算

パーセンテージではなくオッズを使って計算することを好むプレイヤーもいる:

ポットと相手のベット($30)を勝ち取るために$10のリスクを負っている。従って、私たちはコールで3:1のオッズを得ていることになる。つまり、コールで収支を合わせるには、少なくとも1/(3+1)=25%勝つ必要がある。

カンニングペーパー

数学にあまり詳しくないプレーヤーは、単にカンニングペーパーを使いたいと思うかもしれない。そのようなプレイヤー向けシートが以下の画像である。最初の列を見て、対戦相手のベットサイズを選択し、2番目の列を見て、勝つために必要な頻度を決定するだけである。

ポットオッズ計算機

テーブル外の分析には、単純にポットオッズ計算機を使うこともできる。これらの多くはオンライン上に存在するが、ここではシンプルなGoogle Sheetsアプリケーションを使用して独自のものを作ってみた。

ポッドオッズ計算機

プリフロップオールインの例

CO vs SB

100BBキャッシュゲーム。50NLレーキ

CO(ヒーロー)が2.3BBにオープン、SBが11.5BBに3ベット、COが25BBに4ベット、SBが合計100BBでオールイン。

GTOウィザードでこのスポットをチェックしてみよう。

COのレンジ:

CO4betレンジ vsSB3bet

どのような手でコールすべきだろうか?さて、正しいコールを見つけるために必要なことは、ポットオッズを計算し、少なくともそれだけのエクイティがあるハンドでコールすることだ。

コールする金額 75BB以上
コール後のポット総額 201BB - レーキ (4BB) = 197BB
コールに必要なエクイティ 75/197 = 最低38%

次に、SBのオールインレンジを見て、それに対するエクイティを計算する必要がある。

SB5betAIレンジ vsCO4bet

GTOウィザードでSBのレンジをコピーし(レンジタブを使う)、Flopzillaのようなエクイティ計算ツールに貼り付ける。

ここで、このオールインに対するエクイティを見ることができる:

さて、コールするには少なくとも38%のエクイティが必要であることを覚えておいてほしい。従って、少なくともそれだけのエクイティがあるハンドはコールすべきである。つまり、(TT+, AK)をコールする。

この仮定をGTOソリューションと照らし合わせてみよう。緑がコール、青がフォールド。

ご覧のように、ポットオッズに従って、適切なエクイティがあるハンドだけをコールする。

SBがニットだった場合

ポットオッズを理解することの素晴らしさは、相手の戦略に合わせることができることだ。例えば、SBがQQ+、AKsだけをオールインしたとしよう。

そのレンジに対する我々のエクイティどうなるだろう?

繰り返すがコールには38%のエクイティが必要である。KKとAAだけでこのニットのオールインに直面してコールするのが得策である。AKはブレークイーブンに近いが、ラインぎりぎりである。QQのようなハンドは、このニッティなオールインに直面するとかなりのアンダードッグになる。

のちのストリートにおけるベットが可能な場合のポットオッズ

将来のベットが可能な場合、ポットオッズはそれほど明確ではなくなる。将来のベッティングラウンドが存在する場合、私たちが獲得するポットのパーセンテージは、必ずしも私たちのエクイティと同じである必要はない。しかし、エクイティを実際の期待値÷ポットで測れば、ポットオッズは常に正しいことになる。私たちはこの指標を「ポットシェア」と呼んでいる。

基本を思い出して欲しい。相手が$5ベットした場合、コールを正当化するためには(長期的に)少なくとも$5を回収する必要がある。しかし、将来のベッティングラウンドがあるため、エクイティはオーバーリアライズしたりアンダーリアライズすることもある。

原始的なポットオッズ計算では、BBは2.5BBのBTNオープンを2枚のカードでコールする。例えば、72oは標準的なBTNのオープンレンジに対して約30%のエクイティがあるので、コールするのが「直接的な」ポットオッズとなる。しかし、このハンドは十分なエクイティが得られないため、1.5BBの投資は回収できない。

ここで、インプライドオッズ、リバースインプライドオッズ、エクイティリアライゼーションの概念が登場する。「原始的な」ポットオッズ計算では、エクイティ=ポットシェアと仮定する。実際には、エクイティがポットシェアと等しくなるのは、コール後にベッティングが起こらない場合だけである。

ポットオッズの限界の例

8MAX MTT、有効スタック40BB、12.5%アンティ
BTNが2.3BBオープン、BBがコール。
フロップ: KsQh3d
BBはチェック、BTNは2BBをベットしポットは6BBになる。

「原始的な」ポットオッズ計算では、少なくとも次のようなエクイティがあるハンドであればコンティニューすることになる:
2 / 10 = 20% エクイティ。

GTOウィザードを使ってこのベットに対するBBのエクイティを見てみよう:

では、最適なGTO戦略と比較してみよう:

ソルバーがA7oのような40%以上のエクイティを持つハンドをフォールドし、42sのような18%しかエクイティを持たないハンドをコールしているのがわかる。ここで何が起こっているのか?

エクイティが40%だからといって、ポットの40%を勝てるわけでは無い!A7oはエースが出なければのちのストリートのベットに対してフォールドしなければならない可能性が高い。A7oはこのベットに対して0EVである。42ddのエクイティはもっと低いが、多くのバックドア・フラッシュ/ストレート・ドローを引き当てる確率は高い。42sも0EVである。

最後に、「ブレイクダウン」タブにあるこのマンハッタングラフは、BB戦略全体をエクイティ順に並べたものである。下に20%EQの閾値を示した:

ポットオッズとEV

ポットオッズは、オールインをコールするのに必要なエクイティの損益分岐点を計算するためのショートカットである。先に概説したショートカット(コールした後のコール/ポット)は、EVの方程式から導き出すことができる。

コールEVの例

コールEVの計算方法を学ぶことは、損益分岐点以上のことがわかるため重要です。EVは、コールがどの程度利益を生むかを正確に示してくれる!

EVを計算するには、方程式を次のように設定します:

コールEV = (Win% x Win$) - (Lose% x Lose$)

Win%は私たちのエクイティ
Lose%は1-私たちのエクイティ

Win$は、コールして勝ったときに(フォールドに比べて)どれだけ得をするか。
Lose$は、コールして負けたときに、(フォールドに比べて)どれだけ損をしたかを示す。
Win$/Lose$についての注意: これらは、決定時点でフォールドした場合の相対的なものである。
最初のCO対SBのオールインの例で、AKでコールした場合の勝率は?

Win$ = コールした時に勝つ金額(197BB)からコールした金額(75BB)を引く = 122BB
Lose$ = コールする金額 = 75BB
勝率 = 48.4%
負ける確率 = 51.6%

コールEV=(48%×122BB)-(51%×75BB)=21BB

EVからポットオッズの公式を導く

コールEV=(勝率×Win$)-(敗率×Lose$)
Win/Lose%をQ(エクイティを表す)と1-Qに置き換えてみよう。また、Win$をWに、Lose$をLに置き換えてみる。

コールEV=(Q×W)-((1-Q)×L)
損益分岐点を求めるためにEVを0に設定し、必要エクイティ(Q)について解く:

コールEV= 0 = (Q x W) - ((1-Q) x L)
0 = (Q x W) - ((1-Q) x L)
QW = (1-Q)L
QW = L - LQ
QW + LQ = L
Q(W+L) = L
Q = L / (W+L)

Lは負ける額で、コールした額と等しい。
Wは、勝った額からコールを引いた額である。

したがって、最終的な式は以下のようになる:

必要エクイティ(Q) = コール / (コール後のポット - コール + コール)
必要エクイティ(Q) = コール / (コール後のポット)

まとめ

ポットオッズはポーカーの基本的なツールである。この重要なリスクとリターンの計算は、コール後にポットの何%を獲得すれば投資を回収できるかを教えてくれる。したがって、ポットオッズを計算することはポーカー戦略の基本である。
おさらいしよう:

  • ポットオッズはリスクとリターンの計算であり、投資を回収するためにポットのどの程度を獲得する必要があるかを教えてくれる。

  • 5ドルコールした場合、長期的には5ドルを回収する必要がある。

  • のちのストリートのベットが許可されている場合、「原始的な」エクイティを使うことは必ずしも有効では無い。

  • ポットオッズはEV方程式から導き出すことが出来る。


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