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【翻訳】ルースなコールドコーラーに対するOOPのCbet戦略【MTT、セオリー】GTOWブログ.91


以前のGTO Wizardの記事で、私は「IPのコールドコーラーに対するプレイは、ブラインドからのコーラーに対するプレイとは劇的に異なり、劇的に難しい」と主張した。 ブラインドからのコーラーに対するようなレンジアドバンテージは期待しない方がいい。 自分のポジションとコーラーのポジションによっては、エクイティアドバンテージが全くないこともあるし、OOPでプレイを強いられると言う時点でディスアドバンテージを背負っている、と言える。



プリフロップのカスタムレンジで解くことができる新機能のおかげで、このシナリオをより微妙なニュアンスで考察できるようになった。 特に、コールドコーラーのレンジがソルバーのレンジよりも広くて弱い場合を見てみよう。このような過度にルーズな相手は、ライブや低いレートのオンラインMTTではいるので、このミスを利用するために自分のプレイをどのようにアジャストさせることができるかを考えることは価値がある。

以下の実験では、元の記事で例となった2つのフロップ(AJ6rと986tt)を再検討し、過度にルーズなコーラーを相手にしたときに戦略がどのように変わるかを見ていく。 これらのエクスプロイト戦略は、相手がフロップ後にどのようなプレイをするかについてのさらなる仮定には言及しない。 例えば、相手がポストフロップでもルーズすぎるプレイをすることがわかっていれば、さらに攻略のチャンスがあるだろうが、今はプリフロップのレンジが広すぎることをエクスプロイトすることだけに焦点を当てる。




誰が利益を得るのか


まず、あなたの左側にいる過度にルーズなプレイヤーが必ずしもあなたにとって良いとは限らないことに注意することが重要である。 彼らのルーズなコールは均衡戦略に対してEVを失う可能性のあるミスではあるが、そのミスの主な受益者はあなたではない。 実際、このようなルーズなコールは結果としてRFIしたプレイヤーとコールしたプレイヤーの両方にとってEVの損失になることもある。

このミスの主な受益者は、ポットに残っている他のプレイヤーである。彼らがレイズするのに十分な強さの手札を持っている場合、コーラーが3betに耐えられるほど強いハンドを持っていることはめったにないため、彼らは平均してより多くのチップを獲得することになる(また、頑なにコールしたとしても、彼らは弱すぎるレンジでポットに大金を投入することになる)。基本的に、ルーズなコールドコーラーはレイズしたプレイヤーからEVを奪うが、後ろのプレイヤーにはさらに大きなEVを失うことになる。

今はこれ以上掘り下げないが、ここで言及する価値のある最も重要なエクスプロイトの1つは、そのようなプレイヤーが後ろにいるときに自分のオープニングレンジを狭くすることである。これは、そのプレイヤーがコールする可能性の高いBTNにいる場合に特に重要である。

これは、そのプレイヤーがあなたに対してポジションを持っている場合に限る。もしそのプレイヤーがブラインドの中にいるのなら、彼らのルーズコールはそれほど気にする必要はない。実際、あなたは彼らから利益を得る可能性が高い。 しかし、相手がポジションを持っている場合、自分のポジションからぎりぎりレイズするような弱いハンドはフォールドすべきである。このような弱いハンドは、あなたの後ろにルーズなプレイヤーがいるとパフォーマンスが落ちる。その代わりに、あなたのハンドレンジの最も強い部分でより多く勝つことが出来、ルーズなコールから利益を得ることができる。比較のために、以下の実験では元のオープンレイズのレンジに変更は加えていない。しかし、このようなプレイヤーが後ろに控えている場合、一般的に少しタイトにオープンするべきだということは、覚えておく価値がある。


投機家


この実験では、「投機家」と呼ばれる仮想の相手に対してどのようにプレイするかを調べる。投機家はポーカーをスロットマシンのようにプレイする。彼らは強いハンドを作り、大きなポットを獲得するスリルを楽しみ、そのために少々高いお金を払うことも厭わない。

まず、BTNで40bbのスタックを持っている時にUTGから2.3bbのレイズをコールするGTO WizardのChipEV戦略を見てみよう。 ビッグカード、ポケットペア、スーテッドエース、スーテッドコネクターが多く、少し弱いスーテッドハンドも混ざっている:

では投機家はどうだろう? 私はこのレンジを約40%まで広げ、ストレートやフラッシュの可能性のある弱い手(例えばT7sや43s)と残りのオフスーツのブロードウェイの手を追加した。 また、均衡時にコールとレイズが混在するような、より投機的な手(例えばQ9sやK7s)をピュアコールに変えた:


投機家を相手にした静的(Static)なフロップにおける戦略


有効スタック40bbのUTG対BTNのシナリオを見てみよう。まず、AJ6rのフロップで投機家を攻略する方法を見ていく。

GTO Wizardの均衡戦略は、チェックと小さなCbetの混合であり、チェックレンジは主に中程度の強さのハンドとフロップを完全にミスしたハンドから構築されている。

投機家に対して、GTO Wizardは決してチェックせず、均衡時にはあまり使われなかった83%ポットのベットサイズを高頻度で使用するようになる。

下の比較に見られるように、投機家のプリフロップの緩いコールは、多くの低いエクイティのハンドで、フロップでのレンジを薄めている。多くのロースーテッドのハンドは完全にミスし、フロップに絡んだとしてもセカンドペアやサードペアになる可能性が高い。

左はUTG対均衡BTNのコールレンジ。
右はUTGと投機家のBTNのコールレンジを比較したものである。


これにより、UTGは自分の弱いハンドをブラフし、中程度の強さのハンドでより薄いバリュー/プロテクションベットをするインセンティブが高まる。それによって均衡戦略から3つの大きな変化が起こる:

  1. 均衡時にUTGが最も頻繁にチェックしていたK9や98のような弱い手がベットし始める。これらのハンドは大きいベットサイズを好む。どんな額をベットしてもコールされたときのエクイティは低いので、フォールドエクイティを最大にするためである。

  2. UTGは最も強いハンドでより大きなベットをする:AK、AQ、66である(JJはBTNのレイズレンジをブロックしないため、トラップとして小さくベットし続ける)。より広いレンジでフロップを見ると、BTNはより広いレンジで大きなベットに対してもコンティニューしようとするので、UTGの最も強いハンドがより多くのバリューを得ることができるようになる。

  3. UTGは99、TT、弱いAxなどの中程度の強さのハンドでより多くのブロッキング/プロテクションベットを行う。これらの小さなベットはKxやQxのエクイティを否定し、ポケットペアや6x、ガットショットドローにコールされる。UTGはまた、BTNがレイズするインセンティブから利益を得るために、このスモールベットのレンジにいくつかのトラップ、特にJJやAA、そして弱いAxも含んでいる。


投機家を相手にした動的(Dynamic)なフロップにおける戦略


9♥8♦6♦は、インポジションのプレイヤーがあなたのオープンをコールドコールしたときに望ましいフロップではない。UTGの均衡戦略では、多くの場合フォールドするつもりでチェックを行う。ベットする場合は、強いが脆弱なオーバーペアや様々なドロー、バックドアドローがほとんどである。

投機家に対しては、UTGのエクイティは少し高い:51.4%であるのに対し、均衡コーラーのレンジに対しては50.5%である。しかし、GTOWizardはこのプレイヤーに対して、均衡コーラーに対する68.3%ではなく82.5%という高いチェック頻度を勧めている:

GTOウィザードはまた、タイトなBTNコーラーに対してよりも、UTGの勝ちが平均して約10%少ないと予想している。どういう事だろう?

投機家達にとって非常に良いフロップだからだ。彼らの思惑は、このフロップによって多くのモンスターと高いエクイティのドローという形で実を結んだ。

AJ6rのときと同じように、多くの弱いハンドがこのレンジを薄めているにもかかわらず、彼らはナッツアドバンテージを享受している。 確かにUTGは投機家に対して、より多くのエクイティを持っているが、そのエクイティは、このように動的なボードでは実現するのが困難な、goodだがgreatでは無いようなハンドが多く含まれる。 彼らがベットするときは、均衡時と同じタイプのハンド、つまり脆弱なペアやナッツクラスのドローである。


Whale(鯨、とてつもなくルースなプレイヤー)が相手だとどうなるのか


この戦略は、とんでもなく広いコールレンジを相手にしても、ほぼ変わらない。 The Whaleはプリフロップで、全てのスーテッドハンドや、9以上のカード2枚、全てのAでコールする:

ダイナミックなフロップにおいて、UTGは依然としてほとんどチェックし、ベットをするハンドの内容も変わらない。

均衡戦略との大きな違いは、ベットの頻度が高い事ではなく、ベットサイズが大きいことである。 AJ6rのフロップでも似たようなことが起こる。UTGは83%ポットベットのサイズをより高頻度使うが、20%のポットサイズもより高頻度で使う

頻度が減るのは33%のサイズである。Whaleのレンジは価値のないハンドが沢山あり、小さなベットに対してでさえコンテニューする動機がほとんどない。UTGはここで2つの異なる戦略を持っている。 ポラーレンジ(強いAxとバリューのための66、主なブラフとしてJのアンダーカード)で大きくベットし、 薄いバリューハンドと高いエクイティのブラフ(KQは単なるガットショットではなく、しばしばThe Whaleのペアに対して2枚のオーバーカード)からなるリニアレンジで小さくベットするのである。


まとめ


相手のミスが必ずしもあなたの利益になるとは限らない。マルチウェイポット(プリフロップではすべてのポットがマルチウェイポットである)では、相手がミスをしても、それが他のプレイヤーの利益となり、あなた達2人の損失になることもある。これは、相手が広いレンジであなたのオープンにIPからコールドコールした場合に起こる。例えば「投機家」の場合、彼らのコールの多くは均衡コールの範囲からそれほど外れてはいない。ブラインドにオーバーコールされたり3betされたりするリスクを回避すれば、彼らはあなたに対してIPでHUをかなり有利にプレイできる。

彼らのルーズなコールから利益を得られるかどうかは、フロップに大きく左右される。AJ6rのようなあなたに有利なフロップでは、あなたはより大きく、より頻繁にベットして、相手の多くの弱いハンドにエクイティを与えないようにすることができる。あまり有利でないフロップでは、タイトなプレイヤーに対してするよりもさらに頻繁にギブアップしなければならないかもしれない。

これは極端な場合には当てはまらない。「鯨」のようにルーズすぎるプレイヤーは、フロップに関係なく弱いハンドをたくさん持っている。それでも有利なフロップもあるが、最悪なフロップでも、タイトな相手よりも大きく、あるいは頻繁にベットして、ポットの分け前を多く得ることができる。

もちろん、プリフロップでルーズすぎるプレイヤーは、フロップ後にもミスを犯す可能性がある。そのようなミスを予測し、エクスプロイトすることが出来れば、最悪のフロップでOOPであっても、そのような相手と対戦することでより多くの利益を得ることができるだろう。



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