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【翻訳】フロップヒューリスティクス④MTTにおけるOOPからのCbet戦略【ICM】GTOWブログ.54

インポジションのコールドコーラーに対するプレイは、ブラインドからのコーラーに対するプレイとは劇的に異なり、劇的に難しい。ブラインドからのコーラーに対するようなレンジのアドバンテージは期待しない方がいい。自分のポジションとコーラーのポジションによっては、エクイティのアドバンテージが全くないこともあるし、ポジションが無いところからプレイすることはかなり不利になる。

オープン時、ほとんどのハンドはブラインド/アンティを奪うか、BBコーラーに対してヘッズアップポットをプレイすることでその価値の大半を得る。誰かがあなたのレイズをコールドコールしたとき、不幸な出来事が起こったといえる。コールはあなたをゲームツリーの最も収益性の低い枝の1つに引きずり下ろしたので、あなたはそれに応じて期待値と戦略を調整すべきである。あなたはもはやポットを獲得するのに有利ではなく、フロップが悪ければ諦めなければならないことも多いだろう。

これには「弱い」とか「エクスプロイト出来る」ということは何もない。コールドコールをしたプレイヤーは、あなたにコールするときに大きなリスクを負った。後ろで他のプレイヤーがコールしたりリレイズしたりするリスクも、あなたが強いハンドを持っているリスクも、あなたにとって良いフロップが出るリスクも。これらのリスクを全てフェードアウトすることに成功した場合、彼らの報酬は自分の大したことのないハンドでポットを獲得することである。あなたのプリフロップレイズはこのようなシナリオから多額のEVを得る必要はないし、期待すべきではない。

あなたの不利の程度は、コーラーのポジションに依存する。彼らのポジションが早ければ早いほど、彼らの後ろに多くのプレイヤーが残るリスクを補うために、彼らのレンジは強くなるはずである。次の図は、40bbの有効スタックを持つ各ポジションからのコールドコーラーに対するUTGのCbet戦略を示している。コーラーのポジションが後になるにつれて、UTGのエクイティが向上し、ベット回数が増えていることに注目しよう。しかし、BTNコーラーの比較的広いレンジとヘッズアップし、53%以上のエクイティを享受している最良のシナリオであっても、オリジナルレイザーは平均して自分のレンジの半分をベットするのがやっとであり、小さなサイズを好む。




ES40bbのとき、UTGのプレイヤーのコールドコーラーに対するCbet戦略



もう一つの興味深いパターンは、UTGがアーリーポジションのコーラーにベットする頻度が低い一方で、大きなベットを使う頻度が比例して高いことである。これは、彼らのベッティングレンジがよりポラライズドなものとなり、中途半端なハンドがより多くチェックされるからである。



有効スタックサイズの変更によるCbet戦略の変化


より浅い有効スタックへの適応

25bbのときのUTGのCbet戦略と40bbのときの戦略を比べてもあまり変化はないが、チェックがわずかに減り、より大きなベットサイズがわずかに多く使われるようになっている。ポジションから外れることはスタックが浅いほど不利にならず、SPRが低いほどポットコントロールよりもエクイティを守ることの重要性が増す。注:GTOウィザードは25bbのスタックでUTGオープンに直面したUTG1はコールドコールレンジを持たない。



より深い有効スタックへの適応

100bbのスタックでのUTGのCbet戦略を見ると、これらのパターンは続いている:彼らはより頻繁にチェックし、ベットするときはより一貫して小さいサイズを使う(このスタックの深さでGTOウィザードが考慮するベットサイズは、より浅いスタックで使用するものとは若干異なることに注意)。



これは直感に反するように思えるかもしれない。UTGのナッツハンドは、賭け金が多いほど積極的にポットを大きくした方が得だと思われるからだ。しかし、そうではない:

  • このような高いSPRでスタックの全てを賭けてプレイするほど強いハンドはほとんどない。このようなハンドはUTGのレンジのごく一部であり、UTGの多くのギリギリのハンドと同じようにチェックから始めることで利益を得ることができる。その後、彼らはチェックレイズするか、ポットを大きくするために後のストリートまでスロープレイをして待つかもしれない。

  • フロップから、リバーでナッツがどうなるかを知るのは難しい。このような深いスタックでアウトオブポジションのUTGは、セットでポットを大きくしてリバーでフラッシュ完成カードを見たり、ナッツフラッシュドローでポットを大きくしてリバーでボードのペアを見たりするシナリオを避けたい。

  • UTGのナッツのアドバンテージはディープスタックでは低下する。プリフロップレイザーがコールドコーラーに対して持つ主なアドバンテージは、インポジションプレイヤーがプリフロップでコールするインセンティブが低いにビッグポケットペアである。スタックが深くなるにつれて、最高のワンペアハンドでさえ価値が下がり、プリフロップレイザーに有利なフロップでもナッツアドバンテージを享受しにくくなる。ナッツのアドバンテージとポジションのアドバンテージの両方がないため、強いハンドを持っていても大きなベットをするインセンティブはほとんどない。

ベットに適したハンドは何か?


どのような状況でベットすべきか、あるいはベットする頻度を減らすべきか理解したら、ベットやチェックに特に適したハンドはどのような性質なのかを考える価値がある。

アウトオブポジションのレイザーは、チェックが戦略の重要な一部となるため、良いチェック候補のハンドを見分けることがより重要となる。


ベットに適したハンド

  1. 改善しなくても大きなポットをプレイできるほど強いハンド。このようなハンドは、今後のストリートでボードテクスチャーが変化してバリューを失う恐れがある場合、特にベットする動機になる。しかし、ディープスタックの高SPRシナリオでは、これらのハンドはポットコントロールに戦略を移すかもしれない。

  2. ナッツハンドへのドロー。ここで言うナッティとは、文字通りナッツのことではなく、スタックを賭けてプレイするのに十分な強さのあるハンドのことである。このようなハンドはフォールドされることを好むが、運が良ければ後のストリートでバリューベットできるほど強くなる可能性があるため、ポットを大きくすることを気にしない。


チェックに適したハンド

  1. 僅かな、あるいは中程度の強さのハンド。これらはローペアやペアでは無い最高位のハイカードハンドであることが多く、小さなポットではそれなりのエクイティを持つが、コールされると不利になるハンドである。これらをベットすることで、相手はあなたが勝っていたハンドのほとんどをフォールドし、同時にあなたが勝つ見込みの少ないポットを大きくすることになる。

  2. マージナルハンドへのドロー。ボードテクスチャーにもよるが、これは低いストレートやフラッシュのドロー、あるいはツーオーバーカード2枚のドローを意味する。このようなハンドでポットを大きくすることは避けたい。このようなハンドはエクイティをアンダーリアライズしているため、ポットを大きくするメリットが少ない。

  3. エアー。改善の見込みがほとんどない弱い手。このようなハンドで相手がフォールドする事は素晴らしいが、コールされたときのエクイティのなさが仇となる。

これらのヒューリスティクスはブラインドに対するCbetにも当てはまる。異なるのは、アウトオブポジションのレイザーは、チェックが戦略の重要な一部となるため、良いチェック候補ハンドを見分けることがより重要となることである。インポジションレイザーは多くの場合、あまり良くないベット候補のハンドでもベットできるほど大きなレンジアドバンテージを享受している。しかし、アウトオブポジションのレイザーは、最悪なハンドをベットして利益を得るほどのレンジアドバンテージは一般的にない。また、ギリギリのハンドやドローでポットを大きくすることは、後でポットサイズをコントロールするために自分のポジションを使うことができないため、より危険である。

静的なフロップでの例

静的なフロップはポジションが無い場所からプレイする負荷を下げる為、コールドコーラーを相手にするのに適している。この例で使うフロップ、A♠ J♥ 6♦は特に良いフロップで、レイズする側はエクイティでかなり有利であり、ナッツクラスのハンドを持っている可能性が少し高い。


このため、レイザー側は高い頻度でCbetをすることになり、先ほど述べた私たちの基準ではチェックに適しているハンドでもベットレンジに入ることがある。それでも、レイザーはレンジの28%をチェックし、そのチェックは主に2つの場所から来る。中程度の強さのハンドと完全にフロップをミスしたハンドだ。このレイザーの戦略チャートでは、2つの大きな緑色の斑点が見られる。チェック頻度が最も高いレンジの1つは最も低いエクイティのハンドで、もう1つはレンジの真ん中、エクイティ50%付近に集まっている。


UTGが最もチェックするハンドは99、88、K♣9♣である。中位のポケットペアはチェックされたポットで勝つことができるが、ベットしてコールされると不利になる良い例であり、K♣9♣はストレートドローとバックドアフラッシュドローの両方を持たない最高のアンペアハンドである(K9sのコンボは全てチェックの頻度があるが、K♣9♣はUTGのレンジで唯一の純粋なチェックである)。


動的なフロップの例

数字だけを見ると、9♥ 8♦ 6♦ はUTGにとってそれほど悪いフロップではないように見える。このボードではレンジは基本的に対称的で、エクイティはほぼ均等に分かれている。


しかし、ボードのダイナミックな性質上、アウトオブポジションからプレイするのは難しく、UTGはエクイティの93.67%しか実現できなかった。それに比べて、AJ6rでは99%以上のエクイティを実現し、大きなエクイティのアドバンテージを享受している。
フロップでポットを大きくすることはUTGにとって危険である。なぜなら、彼らのハンドが今どんなに良くても、ターンとリバーでその価値が急落し、ポジションが無い故に、厳しい状況に置かれる可能性があるからである。従って、UTGは最も弱いハンドの多くを含むレンジの65%をチェックする。


BTNがベットすることを保証しているわけではないので、チェックすることは正確にはあきらめではないが、多くのハンドはポットをほとんど諦めている。プリフロップのレイザーとして単にフロップをチェックしフォールドすると、「弱すぎる」、あるいは「簡単に諦めている」と感じることがある。しかし、これはしばしば正しい。アウトオブポジションからのプレイは難しく、インポジションのプレイヤーにコールドコールされた瞬間に多くのEVを失ってしまう。その事実を直視しようとしないことは、その事実を消し去ることにはならない。事実から目を逸らして悪いプレイをした後で失ったチップの事を嘆くことになる。

UTGがベットするときは、強いが脆弱なエクイティを持つオーバーペアや様々なドロー、バックドアドローがほとんどである。例えば、ダイアモンドを持っていてバックドアドロー(BTNのドローに対するブロッカーでもある)をするときだけKJoをベットする。


UTGの戦略は2枚のオーバーカードのコンボが多い場合も同様で、バックドアドローの時だけベットする。例外はガットショットもあるATとKTである。これらの全てのコンビネーションはすべてベット候補である。



結論


アウトオブポジションでプレイするのは難しい。986ttのようなソルバーの戦略を見ると、どの手も混ざっているように見える、 ソルバーでさえ素晴らしい選択肢を見つけられないということだ。すべての混合戦略は、トレードオフ、ジレンマ、2つの競合する目的の間で揺れ動くハンド自身を表している。コストのかからない選択肢は存在しない。フリーカードを渡す、ブラフにフォールドする、バリューベットをにペイオフする、など、私たちがやりたくないことはすべて、リスクを冒してでもやるしかないのだ。自分のエクイティをアンダーリアライズし、期待される以上のポットを失うことになる。IPコールドコールがあなたを不利な状況に追い込み、いくつかの「ミス」が避けられないことを受け入れれば、あなたは悪い状況をどう生かすかに集中できる。



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