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【翻訳】OOPからのCbet過多へ対するエクスプロイト【エクスプロイト、MTT】GTOWブログ.107


プリフロップでレイズをしてきてCbetを多用しすぎるプレイヤーは常にエクスプロイトの対象となりうるが、そのミスから利益を得る絶好のチャンスは、彼らがアウトオブポジション(OOP)にいる時である。OOPからプリフロップのコールドコーラーに対してフロップでCbetしすぎる事はやりすぎになりやすく、その代償も高くなる。もしあなたがインポジション(IP)のコーラーなら、このミスを最大限にエクスプロイトする方法を理解することは大いに役立つだろう。

ここでは、いくつかの競合するヒューリスティクスが存在する。一方では、OOPのプレイに関する実験では、相手の軽いベットに対するエクイティを否定するため、レイズが最良の手段であることが示唆されている。他方では、IPのプレイヤーは一般にフロップで勝負を終わらせるよりも、ポジションの優位性を生かし、後のストリートにハンドを進めた方が良いという結果もある。


この記事では、これらの競合するヒューリスティクスを調和させ、過剰なコンティニュエーションベッターから生まれるチャンスを最大限に活用するための実験をいくつか行う。




静的なフロップ


静的なフロップはOOPプレーヤーにとってそれほど悪いものではない。ポジションが無い事は常に不利な事だが、静的なフロップはその不快感を抑える。静的なボードでは、プレイヤーがリバーでのハンドの強さを予測しやすくし、それに応じてベットを行うことが出来る。

UTGとBTNの40bbのシングルレイズドポットにおいて、事前に計算されたシミュレーションでは、A♠J♥6♦のフロップでUTGのEVは3.95bbとなり、ポットの56%近くを占める。プリフロップレイザーは70%以上の確率でCbetを行い、小さなサイズを強く好む:

BTNはこのような小さなベットにはほとんどコールで応じる。稀にフォールドすることもあるが、どんな2枚のカードでベットしてもUTGにとって有益になるほどではない。以下はUTGが最もよく使う20%ポットベットに対するBTNの反応である:

UTGは28%の確率でチェックを好むにもかかわらず、全レンジで20%ポットをベットするようにノードロックした場合のEVロスはわずか2bb/100にしかならない。
その場合のBTNの反応も劇的な変化はない。よりバランスの取れたベットに対してレイズするハンドもあれば、フォールドするハンドもあり、コールの頻度はさらに高くなる:

OOPのプレイヤーにとって、スモールベットはチェックと大差ない。どちらもポットにはほとんどお金を入れず、相手がターンを見るために高い値段を選択するリスクは同じである。これは、IPのプレイヤーがチェックをすれば無料でターンが見られるのに対し、ベットをすれば相手にレイズの機会を与えるという大きな違いがある。

つまり、OOPのプレイヤーにとって、小さなベットを高い頻度で行うことは大きなミスではない。IPプレーヤーがあまりに頻繁にフォールドするようであれば、それは勝ちに繋がる戦略である可能性さえある。レイザーに有利に見えるボードでも、そのようなベットに対しては極めて頑固に対抗するべきである。


より大きなベットサイズの場合


UTGが83%のポットをベットするかチェックすることしか許されないシミュレーションでは、BTNはベットに対してさらに厳しいコールorフォールドの戦略をとる:

このノードロックはUTGのEVをそれほど損なわない。制限のないシミュレーションでは、UTGはほとんど常にもっと小さなベットサイズを使っていたが、この大きなベットサイズのみに制限された場合でも、UTGのEVロスは3bb/100handだけである。

しかし、チェックするという選択肢は、大きなベットという選択肢しか無い場合、彼らにとってより重要になる。UTGがベットするのは均衡時は3回に1回だけで、83%のポットサイズベットでレンジベットを強制されると、彼らは40bb/100hand近くを失う!BTNが正しくエクスプロイトすればの話だが。

BTNのフォールドの頻度は少し下がるが、彼らの戦略における大きな変化は、レイズへの関心が再び高まったことである:

チェックのオプションが与えられた場合、UTGのベッティングレンジはポラーになるが、これは、大きなベットサイズを与えられたときに良く起こることである。

レイズすれば、UTGのエクイティの低い最悪なハンドはフォールドし、強いハンドは継続するが、これらの継続するほど強いハンドに対しては、BTNの強いハンドでも厳しい状況に立たされることなるだけである。中程度の強さのハンドはレイズされたときに厳しい決断を迫られるが、UTGはそもそもそのようなハンドではベットしない。

しかし、もしUTGがそれらの中程度の強さのハンドをベットするなら、レイズはBTNにとって魅力的になる。『Compare EV』は、どのハンドがベットするのに最も不適切なのかを視覚化するのに役立つ:

トップセットとミドルセットはセカンドベストハンドを強力にブロックするため、実はUTGがベットするには最悪のハンドである。ボトムセットの66は相手のコールレンジをブロックしないので、最適のバリューベットハンドである。それ以外で
最もベットを嫌うハンドは中程度の強さのハンド、すなわちミドルペア、ポケットペア、弱いキッカーのトップペアなどである。これらのハンドはすべてレイズされるのを嫌う。

一部の人間はEVを最大化することよりもポットを獲得することを重視する。

UTGにいる人間が大きなサイズでこれらのハンドをベットすると考えるのは現実的だろうか?どんなエクスプロイトでもそうだが、それはプレイヤーに次第である。ミディアムペアを持っているときに「エースを主張するため」や「今すぐポットを獲得するため」にベットするプレイヤーは確かに存在する。基本的に、彼らはEVを最大化することよりも、目の前のポットを獲得することに関心がある。

その事が今目の前にいる相手にも当てはまるかどうかは、あなたが判断しなければならないが、このような具体的な疑問について考慮することは重要である。「このプレイヤーはここでKKのような中程度の強さのハンドをベットするだろうか」という疑問は、「このプレイヤーはベットしすぎているだろうか」よりも具体的で有用な疑問である。なぜなら、すべてのハンドが高頻度でベットしたり、レイズされたりしても大きなEVを失うわけではないからである。

BTNのエクスプロイトレイズレンジは主にリニアである。純粋なブラフに最も近いのは54sで、これはバックドアドローに加え(5♣4♣は決してレイズしない)、T9sのような他のバックドアドローハンドなどとは違い、UTGの弱いハンドをブロックしない。それ以外の軽めのレイズハンドは、ミドルペア、良いキッカーのボトムペア、KQのようなビッグハンド+ガットショットで、KやQはミドルペアに対するオーバーカードとしても機能する。

OOPレイザーのレンジに有利な静的なボードでは、たとえ均衡戦略から大きく逸脱していたとしても、頻繁にベットし過ぎるすることは必ずしも大きな間違いではない。相手にとって最も重要なことは、彼らの小さなベットに対して頑固にコールし、後のストリートをOOPでプレイさせることである。もし相手が頻繁にベットしすぎれば、チェックすることで節約できたかもしれないEVを、そのベットのほんの一部のEVを失うことになる。

ベットの回数が多すぎ、ベット額も大きすぎれば、大きなエクスプロイトが可能になる。レイザーには多くのエクイティがあるため、頻繁にフォールドすることはまだ正しい。しかし、相手がそれを続ける場合は、レイズを検討すべきであり、そうすれば、ベッターの中程度のハンド(本当は最初からベットすべきではなかったハンド)を厳しい状況に追い込むことができる。


動的なフロップ


動的なフロップはCbet過多が大きく不利になる場面である。UTGとBTNの40bbシングルレイズドポットにおいて、GTOソリューションはUTGに9♥8♦6♦で3.36bbのEVを与えるが、これはポットの半分以下である。彼らは約35%の頻度でベットを続け、主にポットの33%か55%のサイズでベットをする:

すでに見たように、プレイヤーがCbetを頻繁に行う場合、スモールベットが最も安全な方法である。このことは、他の選択肢があるときに20%ポットがあまり使われなくても同じである。チェックは最もよく使われるオプションなので、それが許されないのであれば、20%ポットが次善の策となる。

UTGがチェックか20%ポットのベットするかに制限されること自体は、大きな負担にはならない。UTGのEVを3bb/100hand減る事になるが、重要なのはベット頻度が増加しない事だ。彼らは依然として、ベットの約2倍の頻度でチェックする事を好む。

BTNはこの小さなベットにフォールドすることはほぼない。このボードでエクイティを持たないハンドを持つ事の方が難しいし、彼らはポジションの優位性のおかげで後のストリートで非常に高いEQRが期待できる。

UTGに全レンジで20%のポットをベットさせると、EVはさらに7bb/100hand減り、一番最初のソリューションより10bb/100hand減る。この広いベッティングレンジに対して、BTNは決してフォールドしない。彼らはかなりのレイズレンジを持っているが、依然としてコールが主流である:

レイズレンジにはシンバリューとプロテクションもあるが、UTGが頻繁にベットする場合、均衡状態で稀にフォールドをするような最悪のハンドもここに入る。このボードに完全にヒットしないハンドはIPにはほとんどないが、A♠3♠のようなハンドでも、すぐにブラフをかけるか、フロートをしてターンでチェックされたときにブラフをかけることもできる。UTGは単にこのボードで弱いハンドを持ちすぎているのだ。


大きいベットサイズの場合


UTGがチェックするか50%ポットをベットするかのどちらかに制限しても、これは彼らが元々好んで使っていたベットサイズとほぼ同じなので、彼らのEVは損なわれない。BTNはこの大きなベットに対してレイズすることは少なく、もちろんフォールドすることも多い:

しかし、UTGが50%のポットをレンジベットせざるを得なくなった場合、彼らは大幅にEVを損失する。3.12bbまで下がり、均衡戦略に対して24bb/100handの損失となる。以前と同様、BTNはレイズを導入することで、BTNのベッティングレンジの真ん中、すなわち強いドローがないオーバーカードに対して攻撃する:

BTNにとって、この大きなベットに対して最悪のハンドをフローティングやブラフレイズをするにはコストが高すぎるが、彼らの基準は低い。バックドアフラッシュドローを持つ2枚のオーバーカードはポットをコンティニューするには十分である:

最も重要なレイズはブラフではなく、薄いバリュー/プロテクションハンド、特にオーバーペアである。これらのハンドにとって、レイズはウィンウィンの提案である。レイズは悪いハンドからバリューを取るのに十分な強さを持っているが、アウツが残っているオーバーカードをフォールドアウトすることによっても利益を得ることができる。


他のエクスプロイト


BBにいるとき、Cbetを頻繁にすると予想されるプレイヤーに対しては、そうでないときよりもプリフロップで広くコールすることを検討して欲しい。そのミスは、あなたのレンジにあるすべてのハンドのEVを増加させるので、通常ならフォールドやレイズとして少し有利にプレーされるいくつかのハンドが、コールすることが、より有益になるようになる場合がある。

技術的には、あなたがレイザーに対してポジションを持っているときにも同じことが言える。相手がCbetし過ぎるのであれば、あなたのEVは上がるので、通常フォールドやレイズになるようなハンドも、コールがより良いプレイになることもある。ただしBBと違ってあなたがアクションを締める訳ではない。他のプレイヤーはあなたの後ろでもコールやレイズをする可能性があり、あなたが通常より広くコールしていると疑われれば、後ろのプレイヤーは追加のインセンティブを持つことになる。

まさにBTNでない限り、インポジションのコールレンジを広げることはお勧めしない。BTNであっても、パッシブで観察力のないブラインドが相手の場合がベストである。


まとめ


プリフロップレイザーにとってボードが悪ければ悪いほど、彼らが高い頻度でCbetをするのはより大きな間違いになる。特に、ベットサイズも大きい場合はなおさらである。ここで言うボードが悪いということは、次の2つのうちのどちらか、あるいは両方を意味する:

  1. 彼らのレンジのエクイティが低い。

  2. ボードが非常にダイナミックで、彼らのポジションの不利を増幅させる。

これらの要素はそれぞれ、レイザー側がポットを獲得する可能性を低くし、ポットを大きくすることを望ましくなくする。

追加のレイズに最適なハンドの候補は、最悪のトラッシュではなく、自レンジの中間のハンドであり、あまりアグレッシブでない相手に対してコールしていたかもしれないハンドである。フロップ前のAKのように、このようなハンドはフォールドの恩恵を受けながら、コールに対してはそれなりのパフォーマンスを発揮する。ブラフレイズも利益を上げやすいが、相手にオーバーフォールドという追加のミスを犯させる必要があるが、これは相手が弱過ぎるハンドでベットしすぎている場合、容易に達成出来る。

最後に、相手がCbet過多であれば、ドンクベットがミスになる理論について理解することが重要である。これは一般的なエクスプロイトのポイントと関係している。ゲームツリーの将来のノードで相手がミスを犯すと予想するのであれば、相手があなたの意図するミスを犯す可能性の高い状況に陥る可能性を高めるために、より早い判断ポイントで自分のプレイを適応させる動機がある。

ミディアムカードのフロップはこの2つのボックスを満たす傾向があり、コールドコーラーのレンジとより多くコネクトする一方で、ターンやリバーのカードを気にせずに強さを確信できるほど強いハンドはほとんどなくなる。このようなボードでCbetを多用するプレイヤーは、何もエクスプロイトしなくてもかなりのEVを失うことになる。単に、彼らが勝つ確率に対してポットに多くの資金を投入しすぎているからである。通常よりもフォールドを減らすことでプレッシャーをかけることができ、特にエクイティを持ついかなるハンドでもフロートすることがこのようなボードでは効果的である。また、相手が中程度の強さのハンドを多くベットしていると疑われる場合は、レイズレンジを開発するのも良いだろう。

このようなレイズは、相手があまりに頻繁にフォールドすると疑わない限り、一般的に利益を生まないブラフハンドではなく、シンバリュー、プロテクション、セミブラフとして考えるのがベストである。





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