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【翻訳】フロップヒューリスティクス②MTTにおけるIPCbet戦略について【MTT】GTOWブログ.48

ポーカーの世界では、フロップはその後のハンドの流れを決める重要な局面である。アグレッサーとしてCbetすることは、最も利益を上げやすい場面であり、成功するプレイヤーにとって習得すべき必須のスキルである。この記事では、フロップのヒューリスティクスの世界を掘り下げ、フロップの集合分析から得られる戦略的傾向を探る。具体的には、マルチテーブルトーナメントにおけるIP(インポジション)のコンティニュエーションベット(Cbet)に焦点を当てる。集合分析レポートには、あらゆる可能性のあるフロップのGTO戦略の情報が含まれている。これらのレポートを分析することで、このスポットをマスターするのに役立つヒューリスティクスを発見することができる!


レンジ分析はフロップ前から始まっている

ほとんどのコンティニュエーションベッティングの間違いは、間違った質問から始まる:

"私と相手、どちらがこのフロップをヒットする可能性が高いか?"

この質問はプリフロップのレンジダイナミクス、つまりプリフロップレイザーがブラインドからのコーラーに対してヘッズアップでフロップを見た時に持っているプリフロップのレンジアドバンテージを無視している。プリフロップレイザーはフロップをヒットする必要はなく、すでに強いレンジを持っている。より良い考え方はこうだ:

このフロップはプリフロップのコーラーの(弱い)レンジをどれだけ助けるだろうか?

どのポジションからでも、たとえBTNからでも、プリフロップのレイズはブラインドからコールするプレイヤーよりも強いレンジでフロップを見ることになる。これにはいくつかの理由がある:

  1. 割引きされたコールオッズ。既にポットに資金が投資されているため、ブラインドはフィールドのプレイヤーがレイズすべきよりも弱いハンドでポットを争うインセンティブが働く。

  2. リレイズのリスクが高い。フィールドからのオープンレイズはリレイズされると言う大きなリスクに直面する。40bbのスタックでは、たとえBTNからであっても、GTOウィザードはおよそ28%の確率で3ベットに直面すると予想される。そのため、3ベットに対してフォールドする弱いハンドのエクイティリアライゼーションとEVは大幅に減少する。SBはBTNのレイズをコールすると、20%の確率でBBのスクイーズに直面するが、BBはコールでアクションを閉じることができ、最も弱いコールでもフロップを見ることができる。

  3. キャップされていないレンジ。ほとんどのスタック深度では、ブラインドはベストハンドを3ベットするインセンティブが高い。つまり、彼らがコールするとき、多くのフロップで最もエクイティの高いハンドの一つであるビッグペアやブロードウェイカードを持っている可能性は低い。このようなハンドはプリフロップレイザーのレンジに多く含まれるため、プリフロップでのエクイティアドバンテージをほとんどのフロップに持ち越すことができる。

ブラインドは追い上げをしている。彼らは本来不利な立場でポットを争うため、弱いレンジをアウトポジションからプレイせざるを得ない。不利な状況を最大限に利用し、ポットの分け前を少しでも取り戻そうとしているのだ。もともと不利な状況であるため、ベストハンド以外では100%のエクイティは実現できないだろう。これは特にBBに当てはまり、BBはSBよりはるかに弱いハンドでプリフロップのレイズをコールできるが、両者にある程度当てはまる。

フロップの分析

ブラインドの弱いハンドがエクイティを実現するためにフロップが助けてくれる事は、主に3つの方法がある:

  1. ペアを作る。ペアはどんなに弱くても、通常はフロップベットに対してコンティニューするのに十分なエクイティを持っている。この事が例外となる場合は、プリフロップレイザーのレンジが特に強い場合や、フロップが特に彼らを助ける可能性が高い場合、ブラインドは特に不利になる。

  2. フラッシュドローになる。2枚のフラッシュドローはほとんどの場合、コンティニュエーションベットをコールするかレイズする候補となる。モノトーンボードでのローフラッシュのワンカードドローはそれほど信頼できないが、それでも思ったよりは役に立つ。

  3. ストレートドローになる。 ストレートのドローはフラッシュドローほどではないが強い。フロップでの一度のベットに対してガットショットでもフォールドすることを勧めるソルバーは稀である。

このことはプリフロップレイザーにとって何を意味するのだろうか?ブラインドからのコーラーにこのようなチャンスがないボードでは、コンティニュエーションベットに傾くはずである。具体的には、相手がベットレンジに対して20%以上のエクイティを持っているにもかかわらず、ボードとの調整不足のためにそのエクイティを実現するのに苦労するようなハンドを多く持っているようなボードでは、スモールベットがより効果的である。ヒットしにくいフロップでのスモールベットは、大きなエクイティを否定するローリスクの機会を提供する。

BTNvsBBエフェクティブスタック40BBの例

BTNのオープンレンジは、アーリーポジションのオープンレンジよりもはるかに広く、弱いはずである。それでも、この記事の冒頭で述べた理由により、BTNはエクイティアドバンテージの恩恵を受ける。以下に示す図は上記のポジションとスタックサイズに特化したものであるが、多くの原則は他のポジションとスタックサイズにも当てはまる。

ペアボードはBBに3枚のカードではなく2枚のカードしかコネクトさせないので、ベットしやすい。同じランクのカードが3枚揃ったフロップは稀であり、コネクトさせるカードが1枚しかないため、理想的なコンティニュエーションベットの候補となる(プリフロップレイザーがコネクトさせる可能性もまた低いが)。

レインボーボードにはバックドアフラッシュドローしかなく、それだけでBBがベットに対してコンティニューすることはできない。バックドアフラッシュドローはEVをナッジする(少し底上げする)ようなもので、オーバーカードやバックドアストレートドローのような他の可能性のあるハンドがベットに対してコンティニューするかどうかの分かれ目となる、役に立つ小さなおまけのようなものだと思えば良い。モノトーンのボードは、たとえその一部が弱いものであったとしても、最も多くのフラッシュドローを提供する。また、BBが非常に強いハンドをフロップするのも比較的簡単で、チェックレイズのリスクが高くなる。

同様に、オープンエンドストレートドローが少ないボードの方が、多いボードよりもベットしやすい。ストレートの可能性が既にあるボードは、オープンエンドストレートドローの可能性が高く(例えば987のフロップでは、プレイヤーは8アウトのドローをするのに1枚のTか6があればよい)、チェックレイズのリスクも高いため、ベットには不向きである。同様に、オープンエンドストレートドローが少ないボードの方が、多いボードよりもベットしやすい。ストレートの可能性が既にあるボードは、オープンエンドストレートドローの可能性が高く(例えば987のフロップでは、プレイヤーは8アウトのドローをするのに1枚のTか6があればよい)、チェックレイズのリスクも高いため、ベットには不向きである。プリフロップレイザーがこれらのフロップにベットする場合、彼らはよりポラライズされているため、より大きなサイズを使う傾向がある。

ミディアムカードのフロップはコンティニュエーションベットに最も不利な傾向がある:

  • BBはミディアムカードを多くプレイする。プリフロップのレイズのレンジは、BTNからであってもビッグカードに集中している。BBはプリフロップでビッグカードを3ベットし、ミディアムカードでコールするインセンティブがあるため、ミディアムカードのフロップにコネクトする可能性が比較的高い。どちらのプレイヤーもスモールカードはあまりプレイしないので、これらのフロップはプリフロップレイサーのレンジアドバンテージを維持する。

  • ミディアムカードのボードはよりつながりやすい。ストレートやストレートドローのフロップはBBに有利であることは既に見た通りである。フロップのハイカードが大きければ大きいほど、ボードがコネクトしない余地がある。

  • ローカードのボードはペアになりやすい。唯一の2ハイフロップは222である。3ハイのフロップはペアかトリプスでなければならない。

アーリーポジションからのCbet戦略

BTN対BBのシナリオとの大きな違いは、アーリーポジションのレイザーのレンジが強いことである。そのため、早いポジションのレイズザーの方がCbet頻度が多くなる、しかし、BTNレイズよりもナッツハンドを持っている可能性が低く、より慎重にならなければならない特定のボードもいくつかある。

以下のグラフは、40bbでBBコーラーとHUした場合のBTNレイザーの戦略を、HJやUTGレイザーと比較したものである。

もう1つの興味深いケースはトリプスフロップで、BTNは他のポジションよりもかなり多くのビッグベットを行う。これはUTGレイズのレンジが非常に強く、ナッツのアドバンテージを活かすにはスモールベットで十分なレバレッジを効かせられるケースである。スモールベットに直面しても、BBはすでにドローイングデッドになっている可能性のあるアンペアハンドを守るのに苦労し、後のストリートではより多くのベットに直面することが多い。しかし、BTNのレンジは弱いハンドも遥かに多く、BBの同じようなハンドからフォールドを引き出すために大きなベットをする動機付けになる。

プリフロップのレイザーのポジションが早ければ早いほど、そのレンジは強くなる。その結果、アーリーポジションのレ イザーがビッグブラインドのコーラーとフロップでヘッズアップした場合、ベット頻度が高くなり、ベットサイズも大きくなる。この傾向の主な例外は、ストレートがすでに完成可能なモノトーンボードとコネクテッドボードである。UTGレイザーの狭いレンジにストレートやフラッシュが含まれる可能性は低く、より大きなベットを容易にするナッツアドバンテージを否定することになる。通常BBコーラーに対する最大のアドバンテージであるビッグペアは、このようなボードでは最も弱いハンドになりがちである。

SBのプレイヤーに対するCbet戦略

SBのコーリングレンジは、プリフロップのレイザーよりは弱いが、BBのコーラーよりかなり強いはずである。このため、たとえ最高のフロップであっても、コンティニュエーションベットが自動的に行われることは少ない。以前と同様、主な例外はモノトーンボードとコネクテッドボードであり、そこではオーバーペアが最も弱く、レイズする側はビッグベットのレバレッジをかけられるようなナッツアドバンテージを持たないのが一般的である。

次のチャートは、40bbのSBとBBに対するシングルレイズポットでのBTNのCbet戦略を比較したものである。

まとめ

ボードテクスチャーではなく、プリフロップのレンジダイナミクスがCbet戦略の主な動力である。プリフロップレイザーのレンジがブラインドからのコーラーのレンジに比べて強ければ強いほど、特に有利でないフロップでもベットする助けになる。実際、ペアボード、ディスコネクトボード、レインボーボードといった最も絡みにくいフロップはコンティニュエーションベットに最適である。なぜなら、それらはプリフロップのコーラーを助ける可能性が低く、むしろプリフロップコーラーの方が助けを必要としているからである。

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