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【翻訳】フロップヒューリスティクス①MTTにおけるBBディフェンス【MTT】GTOWブログ.47

GTOポーカーの分野は広範であるため、戦略を単純化するために、私達はしばしばヒューリスティクスやおおまかな経験則に頼る。この記事では、GTOウィザードの集合分析を利用して、トーナメントにおけるブラインドディフェンスの手助けとなるヒューリスティクスを作成していく。


ドンクベット

ドンクベッティングとは、前のストリートでアグレッサーでなかったOOPのプレイヤーからのベットを指す。例えば、BBのプレイヤーがプリフロップでBTNからのレイズをコールし、フロップでリードベットするのはドンクベッティングである。フロップをチェックして相手のベットにコールし、ターンにベットする場合も同様である。フロップがチェックスルーであった場合、OOPのプレイヤーがターンにベットしても、前のストリートにアグレッサーがいなかったので、ドンクベッティングにはならない。

ドンクベットは、ソルバーが登場したり、ゲーム理論がポーカーに厳密に適用されたりするずっと以前から、蔑称として使われていた。その時代でさえ、賢いポーカープレイヤーは「レイズした人までチェックする」のが一般的に正しいことを理解していた。今、私たちはGTOウィザードのフロップレポート集計の助けを借りて、それを証明することができる!これは40bbディープのBTN対BBのMTTのシナリオである。
ソルバーの全フロップにおける平均ドンクベット頻度は2%である。そのドンクベットは、ストレートの可能性があるコネクテッドフロップにほぼ集中しているが、それでも7%の確率でしかドンクベットすることはない:

さらに具体的に説明すると、ドンクベットは主にハイカードの数字が低いコネクトしたのフロップで発生する(ただし432では発生しない):

これはスタックサイズやポジションの偶然の産物ではない。BBのドンクベットの頻度は、アーリーポジションのレイズに対してさらに低くなり、どのスタックサイズでも頻度は極小のままである。

この現象の理由は簡単で、プリフロップレイザーのレンジはBBコーラーのレンジよりはるかに強いからである。次の図は、BBのドンクベッティング戦略を全てのフロップで表示し、各フロップでBBがどれだけのエクイティを持っているかをランク付けしたものである。一番左のボードはBBにとって最高のボードであるが、そこでもBBは50%のエクイティをクリアするのがやっとである。偶然ではないが、BBのドンクベッティングのほとんどは、エクイティが近いこの数少ないフロップで行われている:

ほとんどのフロップでBBのエクイティは45%以下であり、ひどい時には35%しかない。このようにエクイティが不利な場合、BBはポットに必要以上の資金を投入することにほとんど興味を持たないないため、チェックによってポットを小さく保つ必要がある。まれに強い手を持っているときでも、BTNがベットする意欲があることを当てにすることができ、その時点でBBはチェックレイズすることができる。
SBも同様の力学に悩まされる。彼らのコーリングレンジはBBのそれよりも強いが、プリフロップでコールした後では、まだかなりのキャップされたレンジを持つ。従って、彼らもフロップではエクイティ面で不利になり、レイズしたIPのプレイヤーに対しチェックすることが多い:

この集合分析によって得られたデータを利用することで、単純なヒューリスティクスを作ることができる。最も有利なフロップ以外では、ブラインドはアグレッサーに対してチェックすべきである。

ビッグブラインドでのCbetに対する対応

GTOウィザードのインターフェイスを使って、33%ポットサイズのCベットに対するBBの反応を調べることができる。このグラフでは、各フロップをハイカード別にまとめている。アグレッサーのレンジにヒットするブロードウェイのフロップでは、BBのディフェンスが少ないことが分かる:

このグループ分けの方法を使えば、異なるフロップのEVを可視化することもできる:

コンティニュエーションベットに対するBBの反応は、ボードテクチャーと同様にベットのサイズに左右される。次に、BTNのCbetサイズがディフェンスにどのような影響を与えるかを検証してみよう。
下のグラフは、これまで注目してきた40bbのBTN対BBのMTTシナリオにおける、様々なサイズのCベットに対するBBの平均的な反応を表している。

いくつかのパターンが浮かび上がる:

BTNが大きくベットすればするほど、BBは沢山フォールドする。ベット額が大きいとオッズが悪くなり、BTNにとってブラフがよりリスキーな提案になるため、これは当然のことのように思えるかもしれないが、大きなベットは「ブラフに見える」という一般的な考えとは矛盾する。実際、大きなベットはよりポラーになり、非常に強い手と非常に弱い手から構成され、薄いバリューベットやプロテクションベットは少なくなるはずである。これが2つ目の重要なポイントとなる。
BTNのベット額が大きければ大きいほど、BBのレイズ頻度は少なくなる。レイズはポラライズドレンジに対して有効ではない。強いハンドは喜んでコンティニューし、弱いハンドはフォールドしてもそれほど損をしない。BTNの小さなコンティニューベットレンジには中程度の強さのハンドが多いはずなので、BBはより頻繁にレイズする。
BTNが大きくベットすればするほど、BBのレイズサイズは小さくなる。小さなベットに対する小さなレイズは非常に良いポットオッズを提供する。また、ポットを大きくすることはほとんどない。BTNが100のポットに20をベットした場合、33%のポットレイズは46:186、およそ4:1のコールオッズとなる。BBはブラフでより多くのフォールドエクイティを得たり、バリューハンドでより多くの資金をポットに入れるために、より大きなレイズを好むことがほとんどである。BTNのベットが大きくなるにつれ、それに比例して小さなレイズでも同様のオッズが得られるようになり、リバーまでにスタックを入れるためには大きなレイズは必要でなくなる。

スモールブラインドでのCbetに対する対応

BTNのCbetに対するSBの反応にも、次の図に示すような同じパターンが現れる:

SBはBBほど多くの弱いハンドでフロップを見ることがないため、同サイズのベットに対してフォールドする頻度はやや低い。
ビッグブラインドのプリフロップのコーリングレンジは、より良い値段でプリフロップのアクションを閉じることが出来る為、スモールブラインドよりもはるかに広い。SBのコーリングレンジはBBに比べてトラッシュが少なく、凝縮されている傾向がある。従って、SBはフロップのCbetに対してより多くの回数をコンティニューする傾向がある。
しかし、SBはBBよりもチェックレイズをしないが、これはBBのレンジの広さを考えると意外かもしれない。これはBTNがSBのコーラーにベットする頻度がBBのコーラーにベットする頻度より低いことが主な理由である。BBコーラーに対するBTNの平均Cbet頻度(サイズに関係なく)は約75%であるのに対し、SBコーラーに対しては約50%である。基本的に、BTNは最初のベット回数を減らすことで、SBの(BBコールに比べて)強いレンジに対応している。

エクスプロイト的な対応

理論的には、「私のSBのコーリングレンジは強いので、チェックレイズの回数を増やすことができる」とか、「これは私にとって良いフロップなので、チェックレイズの回数を増やすことができる」というような議論は、プリフロップレイザーのCbet戦略に組み込まれるべきであるので、あまり役に立たない。つまり、コーラーのレンジが強いときはベット回数を減らすべきである。もし相手がそうしていないと疑われる場合、つまり、相手が大きなレンジアドバンテージを享受していないときでも、自分のレンジのほとんど、あるいはすべてをベットしていると疑われる場合、最善の策は通常、ソルバーが提案するよりも頻繁にレイズすることである。

このようなチャンスを見極める最善の方法は、プリフロップレイザーのベット頻度を低くするようなボードやシチュエーションに注目してCbet戦略を研究することである。これらは一般的に、ベット回数が多すぎるプレイヤーに対してエクスプロイト的にチェックレイズを増やすのに最適なスポットである。
ドンクベットは、コンティニュエーションベットが十分でないプレイヤー(ベット頻度が高すぎるプレイヤーより少ないタイプ)に対するエクスプロイトとして最も価値がある。この攻略法を利用するには、均衡時に最もアグレッシブにチェックレイズできるフロップのスポットを研究し、あなたにチェックレイズの機会を与えにくい相手に対しては、あなた自身がイニシアチブを取ってベットするインセンティブが高まる。

アーリーポジションのレイザーに対する適応

上記の例の詳細は、調査したポジションとスタックサイズに特有のものであるが、他のポジションとスタックサイズに対応することは難しくない。UTGレイズに対するBBの反応は、BTNレイズからのCbetに対する反応と驚くほど似ている。
次の図は、BTNとUTGのCbetに対するビッグブラインドのディフェンス頻度を比較したものである:

スタックの深さの違いによる比較

ショートスタックのプレイを検討する場合、BBのコーリングレンジが弱くなるという、もう一つの交絡変数がある。20bbのスタックでは、BBはプリフロップで最も強いハンドをより多くプッシュし、BTNのレイズ額が僅かに安くなりポジションの不利が少なくなることにより、40bbのスタックではコールするには弱すぎるハンドでもコールするからである。その結果、より小さなベットに対して、より多くのフォールドと同程度のレイズ頻度が見られる。より大きなコンティニュエーションベットに直面した場合、BBは40bbの時よりも多くフォールドするが、そのようなベットが有効スタックに占める割合がはるかに大きいため、レイズの頻度も高くなる。
次の表は、有効スタック40bbと20bbにおけるビッグブラインドのディフェンス頻度を比較したものである:

まとめ

ブラインドでレイズをコールした後は、BBであろうとSBであろうと、プリフロップのレイザーに対してほとんど常にチェックすべきである。主な例外は、非常に特殊なフロップの時か、あまりベットしないプレイヤーに対するエクスプロイトである。
ベットに直面したときは、自分がかなり不利なレンジを持っていることを認識すべきである。そのベットが有効なスタックの大部分を占めていない限り、あなたの選択肢のほとんどはコールかフォールドのどちらかであるが、小さなコンティニュエーションベットに対してはやや頻繁にレイズするべきある。しかし、レイズの大きさを相手のベットの倍額に固定する「ジェダイ•マインド•トリック」には気をつけよう。非常に小さなベットに対しては、極端に良いオッズを提供するのを避けるため、大きなポットパーセンテージのレイズをするのが一般的に正しい。


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