見出し画像

【翻訳】小さい3betへのディフェンス【MTT、エクスプロイト】GTOWブログ.122


トーナメントポーカーには精密さが求められる。キャッシュゲームでは、スタックが通常数百bbになるため、プリフロップのレイズサイズやコールレンジの多少の違いには寛容である。後で差を埋める余地があるからだ。

トーナメントでは、洗練された対戦相手はポジションとスタックサイズに適応し、最も厳しい決断を迫るために3betのサイズを正確に調整してくる。例えば、20bbから25bbのスタックの時に3betに直面した時、純粋にオールインかフォールドの戦略を取りたくなるだろう。手強い相手は小さな3betでこれに対抗し、あなたのフォールドから利益を得ながら、あなたのオールインに対しても最小限の損失に抑えるだろう。

このような小さな3betは新たなジレンマをもたらす。強力なレンジに対してOOPでプレイするという明らかに不利な状況なのに、魅力的なポットオッズを受け入れてコールするべきなのか?もしコールするのであれば、フロップ後にその状況からどう最大限の利益を引き出すべきか?

もちろん、その答えはフロップ次第である。この記事では、さまざまなフロップテクスチャを分析し、ポジションが不利で(比較的)弱いレンジを持ちながらも、その状況を乗り切るための戦略を探っていく。




プリフロップレンジ


レイザーがIPの場合、3ベットポットの戦略はインポジションのプリフロップレイザー(PFR)vs BBのシングルレイズポットと似ている。また、その理由も同じである。特にオリジナルレイザーがアーリーポジションの場合、3ベッターはプリフロップで大きなリスクを負うことになる。彼らは強力なオープニングレンジに対してレイズしているだけでなく、後ろにいるプレイヤー全員がモンスターハンドを持っていることも警戒しなければならない。3betするには強力なハンドが必要であり、幸運にもオリジナルレイザーとヘッズアップでフロップを見ることができれば、それはラッキーなことである。この報酬はポストフロップでのエクイティとナッツアドバンテージである。とくに浅いスタックでは、他の状況ではコーラーが有利になるような怖いフロップでも、自分のオーバーペアをナッツとして扱うことができる。

一方コーラーの役割はシングルレイズドポットでのBBと似ている。彼らはアーリーポジションからオープンしたので強いレンジでスタートするが、3ベッターのレンジに比べれば、コールするのに強いハンドは必要ない。彼らは、他の全員がフォールドしたことを知った上でアクションが出来、アクションをクローズ出来、相手がレイズするよりもはるかに良いオッズでコール出来る。

つまり、コーラー側はフロップ後に不利になることを想定しなければならない。頻繁にチェックフォールドをすることになる。フロップベットにコンティニュー出来るかどうか、コンティニューするならレイズするかコールするか、といった難しい決断を迫られることになる。レンジの不利なOOPでプレーする場合、そのようなことは当然のことである。彼らのゴールは不利な状況からベストを尽くすことであり、IPプレイヤーがするような超利益的なベットをすることではない。

ここでの例は25bbのMTTのシナリオで、フィールドの50%が残っている。
UTGが2bbにオープンし、UTG1が5bbに3ベットし、アクションはUTGまでフォールドされる。これはICMが影響するスポットであるが、UTGにはまだコールレンジがある。フィールドの25%が残っているシミュレーションでは、彼らはほとんどAoFで対応する。

ポストフロップの戦略は、上記の50%のフィールドのICMレンジを使用したCustom Solutionsによるものであるが、GTO Wizard AIは現在ポストフロップのICMをサポートしていないため、ポストフロップのシミュレーションはICMが加味されていないことに注意することが重要である。もしサポートされていれば、これらのソリューションよりもさらにタイトでアグレッシブなプレイが見られる可能性がある。

UTG1の3ベットのレンジは非常に強く、ほとんどが最高のブロードウェイハンドとポケットペアのみで構成されている:

UTGのコールレンジは控えめでキャップがある。オールインするほど強くないハンド、魅力的な(9.5:3)ポットオッズのためだけにコールするハンドでほとんどが構成されている:


エクイティの実現と否定


スタックが浅い状況では、欺瞞的なプレーの余地はほとんどない。UTGがビッグハンドを持っている場合、基本的にプリフロップでオールインする事を望む。低いSPRはKKやAKsのようなモンスターハンドに、コールしてさらに多くの資金をポットに入れようとするよりも、UTG1のライト3betハンドの20-25%のエクイティを否定することに焦点を合わせる。AAでさえコールよりも4betの方が多い。トラップに最も近いのはAQsとKQsだが、これらはドミネイトされたハンドをフォールドさせることも、ドミネイトしているハンドからコールされることもないからである。

OOPからエクイティを実現するのは常に困難であり、これがUTGがベストハンドであっても4betを好むもう一つの理由である。UTGの戦略のわずかな欺瞞は、それはポケットペアとスーテッドブロードウェイハンドの間の相互作用から生まれる。低いカードがフロップすると、UTGはペアを強くプレイし、ブロードウェイの弱さを補う。ビッグカードがフロップしたとき、ポケットペアは最も悪いハンドの一つであり、ブロードウェイカードを強くプレイする一方で、ほとんどの場合ポケットペアはブラフするかフォールドする。

UTGは、特にダイナミックなボードでは、フロップ後のエクイティの否定と実現に重点を置く。スタックを全て投下するのに十分な強さのハンドがフロップでヒットした場合、ほとんどの場合チェックレイズする。SPRが非常に低いため、これにはUTG1の強いレンジに簡単にドミネイトされてしまうようなハンドも含まれる。キャップされたレンジでプレイするのは決して気持ちの良いことでは無いが、相手のレンジの一番上に対してペイオフするのを避ける方法は無い。あなたが達成できる唯一の望みは、相手のレンジのボトムの収益を制限することである。そのためには、自分のレンジのトップを認識し、それをフォールドしない事が重要である。


動的なフロップ


9♥5♦2♦の場合、UTGはエクイティ分布のナッツ部分のところでアドバンテージを持っており、ドンクベットは彼らの戦略において重要な役割を果たしている:

ベットするハンドの選択は見た目ほど恣意的なものではない。99の場合、UTGはダイアモンドがなければトップセットでベットするが、ダイアモンドがあればチェックする。フロップでセットにならなかった他のポケットペアでは、ダイヤを持っているときにベットすることを好む。上で説明したように、UTG1がドンクベットに対してオールインした場合、オーバーカード+フラッシュドローのハンドと同様に、ほとんどのペアはコールする:

これらのハンドはチェックレイズの候補でもあるが、セットは例外で、後のストリートで価値を失うリスクがポケットペアよりも少ないため、チェックされた場合はもっぱらスロープレーを選択する。

ソルバーの視点から見れば、相手のレンジにオーバーペアで多いのにもかかわらず、66でチェックレイズオールインかドンクベットをして相手のオールインにコールすることは完全に有効な選択肢である。これはSPRが非常に低いことと、このフロップが両プレイヤーのレンジにあるアンペアハンドのほとんどがヒットしていないことが要因である。ポケットペアは最高ではないが、このボードであなたが持っている最高クラスのハンドであり、もしあなたがそれをフォールドするつもりがないのであれば、早めに資金を投入することは大いに意味がある。カードがさらに配られることで、相手にドローされるか、ブラフされるリスクが増えるからである。


中程度に動的なフロップ


2をQに交換することで、ボードはややダイナミックさを失う。両プレイヤーともKQとAQを多く持っているが、これらは952の同じようなハンドに比べればオーバーカードへの脅威ははるかに少ない。また、両プレイヤーともブロードウェイストレートドローを多く持っており、これらは滅多に完成しないとはいえ、ポットの大きさゆえに現実的な脅威となる。自分のスタックと同じだけの価値のあるポットでドローされることは、無視できることではない。

Q♦9♥5♦の場合、エクイティの分布は952の場合とほぼ同じである。しかし、ボードがダイナミックでなくなり、UTG1のレンジにベストハンドが増えたことで、UTGにはもはやドンクベットをするインセンティブがなくなった。彼らはまだ積極的にチェックレイズするが、このボードでAQやAAなど、より明らかに強いハンドが中心である。UTGはビッグドロー、主にガットショット+フラッシュドロー(時々オーバーカードのアウツが生きている)でレイズレンジのバランスを取る。このような浅いスタックではピュアブラフの余地があまりないため、スモールペアがその役割を果たしている。ボードが彼らのレンジのブロードウェイ部分とうまく相互作用するようになった今、スモールペアは彼らにとって最悪のハンドの一つであり、バックドアフラッシュドローも持っていない場合、フォールドかブラフのどちらかを選ぶしかない。

ここでもトラップはあまりない。AAはピュアレイズであり、AQも高頻度レイズである。純粋なトラップはセットだけで、これはUTGのレンジのごく一部である。KQはフロップでのオールインには弱く、KJやKTに逆転されにくいため、ブラフキャッチの機能を果たしている。


静的なフロップ


QをオフスーツのAに交換すると、UTG1にとって大きな恩恵となる。我々が見た最初の2フロップではUTG1はおよそ53%のエクイティを持っていたが、A♠9♥5♦では61%のエクイティに向上する。それでも、非常に優れたハンドクラス(90-100%のエクイティ)ではUTGの方が有利(6% > 0%)である。視覚的に確認するために、AA, 99, 55, A5sのような両レンジのツーペア以上のコンボを見てみよう。

彼らはまた、MDFよりもはるかに高い確率でフォールドする。ここにはブロッカー効果もあり、UTG1がAを持っていない場合、UTGがAを持っている可能性が高くなるため、ブラフは見た目ほど利益を生まないが、これは主にUTG1のレンジの強さによるものである。UTG1はこのボードでブラフ出来るハンドをあまり持っていないし、UTGもディフェンス出来るハンドをあまり持っていない。UTGのレンジの60%近くがエクイティ0~25%に収まっており、非常に弱い為、ブラフするかフォールドするしかない。

ポケットペアはUTGのレンジの文字通り最下位ではないが、UTG1のフォールドレンジを構成するブロードウェイハンドをブロックしないため、最高のブラフ候補になる。その上、ポケットペアは後のストリートではひどいプレイアビリティを持ち、ドローされるかブラフでフォールドさせられる可能性が高い。

UTGが行うコールは、ボードでペアを作ったハンドであるため、ポケットペアよりも後のストリートで改善する可能性が高い。トップペア、ボトムペア、ミドルペアが混在しているため、UTGが今後のストリートでコンティニューする為のか多少の迷彩をかけることが出来る。このことは、かなりのナッツアドバンテージを持つUTG1にとってダブルバレルを躊躇する程には影響を与えない、ダメージコントロールには有効である。比較的弱いレンジをアウトオブポジションからプレイする場合、ダメージを最小限に抑えることが勝負の分かれ目となる。


まとめ


スタックが浅くなればなるほど、エクイティの否定はより重要になる。スタックを全て投下しても十分な強さを持つハンドでコールすることは、基本的に、即座にレイズすることで否定できるエクイティよりも、今後のストリートで相手がポットに入れるかもしれないチップの方が価値が高いという事にベットするギャンブルである。

ポットが大きくスタックが少ない場合、これはクリアするのが難しい基準となる。わずかなエクイティでも否定することは、大きなポットでは大きな意味を持つ。これが、ベストハンドをプリフロップ4betすることがしばしば正しい理由の一部でもある。

確かにこれはゲームツリーのコールノードでプリフロップアグレッサーである対戦相手に大きなアドバンテージを持たせることを意味するが、それでいいのである。あなたのコールのほとんどは、ほとんどの場合フォールドするようなハンドであり(ICMがより大きな要素になるにつれて、実際にフォールドするようになる)、フロップ後に相手が勝ちとるものはほとんどおまけのような物である。重要なのは、このことを認識し、ポットの「公正なシェア」を求めたり、特に利益が出そうな機会を見つけようと期待しないことだ。

自分のレンジを認識し、エクイティの否定に焦点を当てることが、悪い状況を最大限に活用するための成功の鍵である。このような浅いスタックでは、あなたの強いハンドは十分に強いと感じないかもしれないが、あなたは自分のレンジを認識し、強くプレイしなければならない。レイズしないと、相手にドローの機会を与えるだけでなく、後のストリートであなたを出し抜く機会を与えてしまう。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事を読んで良いと感じて頂けましたら、noteのスキ、やSNSでの拡散、Xのフォロー、サポート等をして頂けますと、本当に執筆の励みになります!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?