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はだかで空の馬を見たこと

いきつけの温泉には外でねっころがれるスペースがある。温泉でぬくまった体をたたみにあずけると、風がそよいで気持ちいい。

安らぎのポーズ(しかばねのポーズとも言う、大の字を小さくしたあおむけ)でぼんやり空を見る。青い空、白い雲、手前に緑。雲がぎゅっとなっているところは馬がいるように見えた。

むかしむかし、流刑にされた人や若くして病床にふせっている人もこういう景色を見ていたのかなぁと思う。うつで仕事をせず休養している身だから病床にふせっている人に近いけど死ぬわけではないのでなんとも。私は、このまま隕石や核が降ってきて死んだとしても満足だなと思うが、今よりはるかに寿命が短い時代に生きた人はもっと生きたいと願ったかしら。

考えながらからだを崩し、そのうちにまどろんでいた。

目を開けると馬はいなくなっていて、絹の布をさらさら流したようになっていた。

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