「ターゲット」を読んで気づく点

■本レポートの抜粋

「正射必中」。弓道において、正しく射られた矢は必ず的に当たるという考え方です。

ゴディバ ジャパンの社長を務める著者は、長年続けてきた弓道を通じて、ビジネスにおける正しい姿勢を学んだといいます。顧客はターゲット、つまり「的」に、企業は「射手」に見立てることができる。ビジネスにおける「正射必中」を「お客様のことを本当に考えて良い商品を作れば、結果は必ずついてくる」ことだと説いています。その結果として、ゴディバ ジャパンは5年間で2倍の売上という驚異的な成果をあげることができたのだと語ります。

趣味として楽しむ以上に、弓道を自己の成長の糧とし、練達に励み本書は、著者が学んだ弓道の教えと照らし合わせながら、独自のビジネス論が展開されています。

利益や効率ばかりが論じられがちなビジネスの世界において、内面を磨く「道」の精神性を身につけた著者からの言葉はすがすがしく響く。本書から、ぜひ多くの知恵を得てほしい。

ーーーー書籍情報-----ーー

著書名 ターゲット

書署名 ジェローム・シュシャン

ーーーーーーーーーーーーーーー

■初めに

前回はリサーチに触れてのレポートを作成していきました。

今回は「ターゲット」について書いていきます。

まだまだ世の中の話題はコロナの話でいっぱいですね!いつ終息するのでしょうか?はたまた、終息しないのではないとの声もあがっていますね。

さて、このような状況で、各企業が自粛をせざる追えない状況になっていますが、当然売上は上がらなくても、固定費はかかってきます。そうなれば必然的に、中長期を耐えられる資金力がなければ資金ショートしてしまいます。

一番怖いのは、今現在ではなく今後の影響なのではないかと思います。

そんななか、今までも収入の2極化が進んでいましたが、より一層加速し、稼げる人間、稼げない人間へと別れていくのでしょう。

その中で、やはりマーケティング力を持っている人営業能力を持っている人は、どの分野にも適応することが出来ますので、今後もっと重宝されるのではないかと思います。

そこで、今回は適切に商品やサービスを届けるために必要なターゲットという分野に軸を置いてレポートしていきます。

■そもそもの考え方が当てるのではなく、当たる

「当てるのではなく、当たる」。弓道の教えのひとつであるこの言葉は、的に当てるのではなく、当たるように弓を射ることが重要だと説いています。

的を狙うのではなく、的と一体となるのだ。それは、的と自分との距離を意識の中で消滅させることともいえるでしょう。

この考え方は、ビジネスにおけるヒットの秘訣でもあるといいます。「的」、つまりターゲットである顧客を狙って当てようとするのではなく、当たるという現象を起こすのです。

たとえば、ゴディバは、高級チョコレートという認知はされていたものの、気軽に立ち寄りづらいと思われていることが課題でした。ただ、憧れの存在であることと、気軽に行ける立地であることは、対立する方向性であるかのように見え、社内でも意見が割れていたといいます。

しかし、ゴディバ ジャパン社長に就任した著者が、実際に客として店舗に行ってみたところ、自然に、この高級感のある店がもっと身近な場所にあったらいいのに、と思えたといいます。

アスピレーショナル(憧れ)アクセシブル(行きやすい)は両立できると確信したのだといいます。

そこから具体的には、テレビ広告で「憧れ」を強化し、製品ラインナップを増やしながら、コンビニエンスストアなど「行きやすい」場所を販路として拡充しました。

結果、戦略プランは顧客の心を掴み、店舗への動員数も増え、そして5年間で売り上げ2倍という成果につながったといいます。そして、狙わないからこそ、ターゲットを正しく射ることができたのだといいます。

■「当たる」ビジネスを生む、「純粋な心」

ビジネスにおいて「当たる」という現象を起こすためには、「純粋な心」で顧客と向き合うことも大切です。素直に顧客の声に耳を傾け、顧客にとってよいものを作ることに集中するのです。

多くの企業が自社のものが世の中で一番優れていると思いそもそも売れると思っています。もちろん、このように自信をもって作ることに関しては悪いことだとは思いません。

しかしながら、顧客が他と比較して商品やサービスを選ぶことも事実としてあります。したがって、顧客の声に目を向けて商品やサービスを考えて行かなければ、ギャンブル的な経営になってしますのです。

顧客の声を素直に聞くという点がとても重要です。特に、会社の上層部に身を置く人ほど、豊富な経験が裏目に出てしまい、顧客や部下の意見をくみ取れなくなることがあるといいます。すると、部下も意見を述べづらくなり、組織にそれが蔓延し、ひいては顧客との距離が広がっていく一方なのです。結果、マーケットから取り残されるといった事態に陥ってしまうことになります。

だからこそ、部下、そして顧客の意見には耳を傾け、とりわけ顧客の意見は直接聞く努力をするべきなのです。「なぜですか?」「どう思いますか?」と、顧客のみならず他業種の人にも問いかけるのもいいでしょう。そうすれば、だんだんと顧客の心がわかってくるといいます。

自分の思い込みや狙いは捨てて、まずは「純粋な心」で顧客に向き合うことが、「当たる」ビジネスを生む第一歩なのです。

■「離れの心」これがセールスの鉄則

著者が、リヤドロというスペインの磁器会社の日本法人の代表を務めていた頃のことでした。展示会販売に立ち会っていた著者に、男性が話しかけてきた。その場にあった、『希望をのせて』という、オリエント急行の駅を再現した時価360万円ほどの作品について聞きたいというのです。著者は、その、特別お金持ちであるようにも見えない男性に、作品に込められたストーリーについて詳しく話し、二人は、蒸気機関車の黄金時代にタイムスリップしたかのような時間を過ごしたといいます。そして、「売る」ことすら忘れた瞬間に、男性はその作品を買いたいと申し出たのです。それは、「売る」ではなく「売れた」と感じられた瞬間だったといいます。

弓道では、矢が弓から離れる瞬間を「離れ」と呼びます。それまでの射法の手順を正しく行い、自分の意志を忘れた瞬間に、「自然に矢が出る」といいます。それが、正しい射を生む「離れ」です。

セールスでいえば、買ってもらえるように正しいことをすべて行い、あとは自然に売れ始める瞬間を目指すということです。特に嗜好品の場合、顧客にとっては、誰かにすすめられてではなく、自分が気に入って購入することが大切なポイントになります。したがって、セールスマンのほうでも、売りつけようとするのでなく、顧客に気持ちを集中し、購入を手伝うというポジションに徹するのがよいのです。

これは、いかなるセールスのばでも当てはまります。売ろうとすればするほど相手は、売られるという気持ちになり身構えてしまします。逆に一緒に共感しながらその過程やみらいの取り組みを話した方が相手から欲しいと言ってもらえるのです。

■犯人探しではなく、矢所を見る

大抵の場合、人は結果のみに注目する。が、弓道では「矢所を見る」という言葉があります。

矢所とは、矢が刺さった場所のことです。「矢所を見る」とは、矢の刺さり具合を細かく見て、原因を考えて技術を改善していくことをいいます。この考え方はビジネスの場でも大切です。

日本では、原因追及が、互いの立場に対しての「気遣い」や「配慮」に妨げられることもあるといいます。誰かを非難することを避けなければいけません。原因追及は犯人捜しとは異なります。適切な分析をして原因を見つけないと、問題は解決されません。

「矢所を見る」というアプローチでは、責任を問うよりも軌道修正することを重んじます。したがって、人員交代は安易な解決法だといえます。売上が伸び悩んでいたゴディバに移ったとき、著者は経営陣を入れ替えず、従来通りのメンバーで新たな戦略に取り組んだ。新たな戦略は会社に成功をもたらしたといいます。

会社が危機に陥った場合、実は現場の販売担当者はずっと前から問題の所在を理解しているものだといいます。経営トップは、そうした気づきを普段から活かせるように、次のようなことを努力しなければいけません。まず、社員が問題の原因追及をすることを推奨し、発言しやすい環境を整えることだ。そして、原因が判明したら、十分な時間と予算を確保し、解決のために組織の行動を集中させることであるといいます。

こうしたことも、ビジネスにとって「矢所をみる」ということであります。結果を見て原因を探ることを習慣づけるといいといいます。

■「見て学ぶ」能力

弓道の稽古の一つに「見取り稽古」というものがあります。ほかの人の射技や、先生の教えるさまを見て、自分で問題点を矯正していくやり方であります。ヨーロッパでは何かを学ぶときには理論から入るので、「見取り稽古」は不思議でユニークな練習法に見えるといいます。

日本人は、視覚から学ぶ能力に優れているといいます。しかし実際のところ、この能力に気づいている人は少ないともいいます。

この「見取り稽古」は、ぜひビジネスで活用すべきであると著者はたびたびいうのです。たとえば、競合他社の動きを見て学ぶ。あるいは、世の中にあるビジネスの成功例と失敗例を見る。そして、よい点は取り入れ実践に移すのです。

私は、セールスが主な仕事なりますが営業の仕事をしたとき全く売れなかった記憶があります。とにかく販売を行ってみるものの全く売れずよく見たら相手は怒っていることなんかもよくありました、、、

そこから、一番売れている人にべったりくっつき商談を録音して一言一句紙に書き同じような話をできるようになり、初めて気づいたのが売れる人には共通点が存在し、売れない人には売れない人の共通点が存在することで、

この見取り稽古もそうですが、自分の目指すべきものに寄せていく行動は非常に重要なポイントとなります。

見て、学び、新たな発想を生み出すという、日本人が本来得意とするこの能力を、より積極的にビジネスに取り入れていくべきです。

■日本人に特に多い!完璧主義の罠

ビジネスに完璧は存在しません。もちろん、完璧を求めて邁進することは素晴らしいことであります。弓道でも、完璧な射を目指しながら、人間が行う以上は完璧がないと知り、理想を求めて精進する。そしてそれが弓道の神髄だと著者は考えます。

しかし、完璧を追求するあまり、スピード感を失ってしまったら、動き出す頃にはアイデアやプランが陳腐になったり、他の誰かに先取りされてしまったりしているかもしれないのです。

日本人は、完璧な英語を追求するあまり話せないという人に見られるように、完璧主義の人が多いです。企業が組織的に完璧主義に陥っていることも多いのです。

けれど、少子化でマーケットの縮小している日本において重要なのは、小さな市場でトライアル・アンド・エラーを繰り返すことだといいます。その中で、新しい顧客とニーズを見つけ出すのだといいます。エラーそのものに価値があり、新しい市場発見のための要素になり得るという考え方が大切です。今の時代、実際にビジネスを進める過程で市場調査もし、新たな市場を開拓していくという方針が主流です。

大切なのは、完璧を求めることよりも、失敗を恐れず少しでも前進するこです。

■ハッピーな職場

弓道の教えに、「矢を的に当てるためには、自分の内側を正しくして、外側を整え、丁寧に弓矢を持つという行為が先ず必要だ」というものがあります。これは、矢を的に当てるための心の在り方について説いた言葉です。会社に置き換えて考えると、外側にいる顧客に喜びを与えるためには、内側にいる社員が幸せでいなければならないということになります。

アメリカの企業の多くには、社員の成功を公認で表彰し祝福する習慣があります。これは日本企業が見習うべきことではないでしょうか。社員の育成では、欠点ばかりを指摘するのではなく、褒めて伸ばすことが重要だと著者はいいます。

ゴディバにおいては、社員は大切な資産だと考えており、「外資系は人を育てない」という定説に反して、積極的に人材教育に投資しているのです。数多くの研修が用意され、スタッフはチョコレートを食べながら楽しく取り組んでいるといいいます。

強い組織は、幸せな職場で社員が自発的に動くことから生まれる。そのためには、叱るのではなく、職場にいる人々が互いのよい点を見つけて褒め合うことです。これが、ハッピーマネージメントを掲げるゴディバの、明るい職場を作る秘訣であるといいます。

■すべては自分の責任である

弓道では「自分の射は、自分で作る」という言い回しがあります。矢をうまく射ることができないとすれば、それは自分に責任があるのだ。

著者が日本の弓道に出会ったのは、29歳のときだというが、自分自身の向上に集中するというヨーロッパにない考え方に強く惹かれたそうです。

人は原因を外に求めがちだ。ビジネスにおいても、失敗を環境のせいにしたり、市場や景気のせいにしたりします。しかし、この考え方は自分の上達や向上を自ら邪魔していることと同じであいます。重要なのは、自分自身の向上のみに集中することです。

日本では、会社が社員の面倒をみる、会社に所属さえしていれば安泰だという時代は終わりつつあります。したがって、これからは、会社員であれば、自分の望むスキルや経験が積むために会社に対して自ら積極的に働きかけていくべきなのです。そして、自分の目的が果たせないときには、いつでも他の場所に行けるよう準備をしておくことも必要なのです。「自分の射は、自分で作る」のであります。

自分の理想の未来を築く自由を楽しむためにも、何事も自分の責任だとする習慣を身につけておくとよいといいます。

■今後やるべきこと

1)純粋な心

現在、ある程度結果をだせるようになり挑戦する幅が少なくなった気もしています。支援している企業様のことをもっとかんがえれば新しいことにチャレンジすることもできると思います。

特にエンドユーザーはなにを求めているのか?例えばオフラインのサービスであれば、それをどのようにオンライン化でできれば満足度は下がらず行うことができるのか?この視点をもって新しいものを作り上げていきます。

2)見取り稽古

1)の内容にも入りますが、まずは競合他社が何を行っているのかをしっかりと見る必要があります。そこから、いいものは積極的に取り入れる必要があるともいます。これを一人でやっては到底時間が追い付かないのでとくにこの状況で大きな影響がある企業のかたとの打ち合わせの際には、他社でうまくいっていることは何かなど、企業側にも一緒に努力をしてもらう動きをしていきます。

特に思考停止状態になっていいことはありませんので、こういった部分も支援していきたいと思います。