「FREE」を読んで、取り入れる戦略

■本レポートの抜粋

インターネット上では、なぜこんなにもフリー(無料)のサービスが急激に増加しているのだろうか。注意して考えてみても、どうやって儲けているのかすぐには理解できないものも多くあります。

グーグルがフリーで多くの充実したサービスを提供できる理由、ウィキペディアのコンテンツ作成者の動機、不正コピーの功罪など、整理がついていない多くの事例について、本書は明確な理解を与えてくれます。「タダより高いものはない」と育てられた世代にとっては、フリーのサービスに対して強い警戒心をもつ一方で、若い世代はフリーのインターネットサービスを当たり前のように活用します。これは環境が醸成した感覚の違いによるのだろうが、疑心暗鬼が解決すればその世代のギャップは超えられるかもしれません。

「フリー」のサービス形態は体系的に整理できます。全てのサービスは、どこからも資金を得ないことには継続できません。「フリー」のサービスは、内容・時間・付加サービスなどの要素を工夫し、消費者と費用を負担する者を分けてマネタイズを図っているのです。

本書を読まずしてネット業界で事業を行うことは、ビジネスモデル発想の源泉を放棄するに等しいといいます。フリーの裏には緻密に組み上げられたビジネスモデルが存在することを知らなければななりません。本書は、ネット企業で働く方や起業を目指す方はもとより、これからのビジネス界で生き残りをかけるビジネスパーソンの全ての方が読むべき必読の一冊と言えます。

ーーーーー著書情報ーーーーーーー

■著書名:FREE

■著者名:クリス・アンダーソン

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■はじめに

コロナの2派がきているのか、終息の兆しがなく多くの企業にダメージを与えている現状があります。そんな中、企業も顧客もよりしびやになります。よって、いままで売れていたものがうれない、サービスの解約など多く起きることも予想できることであります。

その中でも、企業が伸びていくには、新規獲得と既存顧客の囲い込みが絶対条件であります。では、どのように企業のサポートをしていくのかという視点で見たときに、しびやになっている分その商品やサービスの価値を体感してもらい選んでもらう必要があります。しかし、ただ無料にすればいいというものではないので、無料にした後のビジネスモデルをしっかりと組む必要があります。

そこでまずは、フリー戦略にはどのようなものがあるのかを本書でまなびそのレポートをまとめていきます。

■100万種類のフリー

商売で使われる<無料>には多くの意味があり、それを使ういろいろなビジネスモデルがあります。無料とうたいながら、本当はそうではないこともあります。たとえば、「ひとつ買えば、もうひとつはタダ」というセールス文句は、ふたつ買うと半額になりますという意味です。「フリー・ギフト(おまけ)つき」は、買った商品の値段におまけのコストも含まれているのです。

広告収入で運営されるメディアの世界があります。無料のラジオとテレビから、ほとんどのウェブまでがこれに含まれます。広告収入モデルは一世紀以上の歴史を持ちます。消費者がコンテンツを無料で得るために、第三者(広告主)が費用を払う三者間市場です。

また、新しいモデルを象徴する真の無料があります。その大部分は、限界費用がゼロに近いオンライン上のデジタル経済に存在します。写真共有サービスのフリッカーは、ほとんどのユーザーには無料であり、そこには広告すら掲載していません。グーグルが提供する大部分のサービスは無料であります。更に、素晴らしい贈与経済があるのです。それは、ウィキペディアやブロゴスフィアなど、評判や注目、自己表現など金銭以外のインセンティブによって成り立つ経済です。

■フリーのビジネスモデル

フリーのビジネスモデルは大きく四種類に分けられるといいます。

1)フリー① 直接的内部相互補助

【無料なもの】消費者の気を引いて、ほかのものも買ってみようと思わせる商品ならなんでも該当

【無料対象者】結局はみんなが、なんらかの方法で喜んで金を払う

直接的内部相互補助に該当するのは、「DVDを一枚買えば、二枚目はタダ」というキャンペーンや、携帯電話のお得プラン等が当てはまります。あるモノを無料かそれに近い値段にし、それで客を呼んで、健全な利益を出せる他の魅力的なモノを売ろうとするものを指します。

2)フリー② 三者間市場

【無料なもの】コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど

【無料対象者】誰でも

これはフリーのまわりに築かれた経済でもっとも一般的な形です。二者が無料で交換することで市場を形成し、第三者があとからそこに参加するためにその費用を負担するというものです。

メディアが制作物をタダかそれに近い価格で消費者に提供し、そこに参加するために広告主がお金を払う。ラジオ、テレビの多くは無料であり、新聞や雑誌の発行者も実際の費用よりはるかに少ない料金しか読者に請求しません。彼らが売る相手は読者ではなく広告主だからです。メディア以外では、クレジットカード、OSツールの無料公開等が存在する。

3)フリー③ フリーミアム

【無料なもの】有料のプレミアム版に対する基本版

【無料対象者】基本版のユーザー

「フリーミアム」は、ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソンの造語で、ウェブにおけるビジネスモデルとしては一般的な戦略です。無料から高額のもののコンテンツの幅を持つこともあるし、無料版にいくつかの機能を加えてプロの有料版をそろえることもあります。

デジタル製品においては、無料と有料の割合は有形の製品の場合とまったく異なります。典型的なオンラインサイトには五パーセントルールがあるといいます。つまり、五パーセントの有料ユーザーが残りの無料ユーザーを支えているのです。それでもやっていけるのは、無料ユーザーにサービスを提供するコストが、無視できるほどゼロに近いからなのです。

4)フリー④ 非貨幣市場

【無料なもの】対価を期待せずに、人々があげるものすべて

【無料対象者】誰でも

これには、贈与経済、無償の労働、不正コピーの3つの形がある。

①贈与経済

オンラインの百科事典「ウィキペディア」には一二〇〇万項目が掲載され、不用品をあげたい人とモノを欲しい人を結びつける「フリーサイクル」には年間八〇〇万点もの中古品が提供されているのを見れば、金銭以外にも人を動機付けるものがあるのだとわかります。シェアをうながすものは、評判や関心であり、それよりは目立たないが、表現、喜び、善行、満足感、あるいはたんなる私利であります。

②無償の労働

私たちは、ソーシャル・ニュースサイトのディグのランキングに票を投じたり、アメリカ版ヤフー知恵袋のヤフー・アンサーズに答えを投稿します。サービスを利用する行為は、サービス自体を向上させる等の価値を生み出していて、知る知らないに関わらず、私たちは何か無料のものを手に入れる代償として労働力を提供しているのです。

③不正コピー

この例としてはオンラインで配信される音楽が最適です。デジタル複製とP2Pによるオンライン配信のあいだで発生するコストは、本当にゼロになったのです。不正コピーを妨げるどんな障害も役に立たないように思われるし、ミュージシャンの中には、コンサートやCD販売、著作権使用料などで正当な収入を得るために、オンラインをマーケティング手段として割り切り、無料で楽曲を配信する者も出てきているのです。

■無限とゼロ、潤沢な情報と稀少な情報

情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅というテクノロジーの三重の相乗効果はウェブという形で結びつき、潤沢さが生み出された。九〇年代後半のITバブルの時代にはやった冗談がある。「インターネットの世界にはふたつの数字しかない。無限とゼロだ」。無限については少なくともIT関連会社の株式の市場価値としては誤りだったことがわかった。しかし、ゼロについては今でもちゃんと生きている。ウェブの価格は限界費用まで下がり、オンラインにおける限界費用はすでに、ゼロに等しい端数になっているのだ。

かつて電気がそうだったように、ビットは産業のステロイドであり、あらゆるものを安くし、その性能を上げる。電気と違うのは、ビットが毎年、魔法のように向上しつづける点だ。電気のような一度限りの革新ではなく、ビットは革新を続け、世代を経るごとに価格が半分に、性能が二倍になって、まったく新しい可能性を切り開いている。

■非収益化―グーグルと二一世紀型経済モデルの誕生

今やそこは観光地になっている。カリフォルニア州マウンテンヴュー、アンフィシアター・パークウェイ一六〇〇番地にあるフリーの要塞だ。ここは「グーグルプレックス」と呼ばれる、無料を利用した企業としては史上最大になったグーグルの本社です。グーグルは、画像編集ソフトからワープロ、スプレッドシートまで一〇〇近いサービスのほとんどを無料で提供しています。これこそ現代のデジタル企業がするべきことだといいます。多くのものをタダで与えて、ひとにぎりのコアプロダクトの広告料から大金を稼いでいるのです。そのほとんどは検索結果の表示画面や、提携したウェブサイト上に広告を載せることによるものです。

グーグルは他の検索エンジンとは異なり、ますます磨かれていく検索エンジンを提供しています。その後、広告主が自分たちでキーワードやコンテンツにマッチする広告をつくるようにしむけ、もっとも目立つ広告位置をめぐって広告主同士を競り合わせました。現在ではさまざまなサービスを生み出し、グーグルと消費者の結びつきを強くしており、広告モデルを他のサービスにも適用しています。

グーグルはフリーを利用した最大手の起業といえるが、今日ではそのようなウェブ企業が大小とりまぜて無数にあります。昔と異なり今はオープンソースのツールや安価なホスティング・サービスを利用することができます。起業家は大きな金銭的リスクを負うことなく、また、どのようにお金を稼ぐのかはっきりわかっていなくても、大きな望みを抱いて小さく始められるのです。新しいサービスは「これは儲かるか?」という平凡な質問から始めたりはせず、「これはクールだろうか?」「みんなはほしがるかな?」という問いかけから生まれているのです。

■フリーミアムの戦術

フリーミアムのモデルにはさまざまな種類があります。ここではある会社がビジネス用ソフトウェアを売る例で、どのモデルを選べばいいか検討してみましょう。この会社は全ユーザーから年間九九ドル~数万ドルを課金していたが、フリーを使ってより多くの人にアピールしたい。

①時間制限(三〇日間無料、その後は有料。業務アプリケーションを提供するセールスフォースが実践しているモデル)

②機能制限(基本機能版は無料、機能拡張版は有料。オープンソースのブログソフト<ワードプレス>がその例。オートマティック社がそれの企業用強化版を有料で売っている)

③ 人数制限(一定数の人は無料で使えるが、それ以上の利用者は有料。インテュイット社の小規模事業向け会計ソフトのクイックブックがその例)

④ 顧客のタイプによる制限(小規模で創業まもない企業は無料で、それ以外は有料。マイクロソフトのビズスパークがその例。創業三年未満で年商一〇〇万ドル未満の企業に対し、ビジネス用ソフトを無料で提供する)

結局、その企業は実行がもっとも簡単だという理由から、時間制限を採用したといいます。時間制限のモデルは有料版に移行する割合が比較的高い可能性があるが、試行する人が少ない恐れがあります。無料ユーザーにもっと有益な経験をさせられるバージョンがあれば、その製品を試す人の数を増やすことができるでしょう。たとえ有料版に移行する人の割合は下がっても、それを補えるほど分母を大きくできれば良いといいます。

デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になります。だが、フリーからもお金儲けはできるのです。創造的にも破壊的にもなり得る、このフリーという過激な価格を味方につけることができるかどうかが問われる時代になったと言えるのです。

■今後やるべきこと

1)クライアントのビジネスモデルから、体感しやすいコンテンツを提案

クライントの中にも、上手くいっている企業と苦戦している企業がいます。このコロナの状況で何もしないであれば当然厳しい状況になりますので、広告代行だけのサービスだけではなく、ビジネスモデルの提案などコストがかからず、マネタイズしやすいものを見つけ、課題解決をしていく。

2)すでにフリー戦略を作っている企業支援

こちらに関しては、フリー戦略を行っているかといって上手くいっているかは別問題なので、どこがネックになっているのかを明確にし不足点を支援する提案を行う。

3)ビジネスモデルの教育

社内全体で、代行だけではなくビジネスモデルの支援ができることでさらに満足度があがりますのでこちらの教育体制をととのえていく。