「言語化力」を読んでみて、大きな必用性を感じた!!

■本レポートの抜粋

著者は、言語化するには段取り、つまり型が必要だといいます。自分の意見を言いたいのに言えない人でも、その型を踏むことで、言語化できるようになるといいます。本書はその型の習得方法を教えてくれます。

何より本書は読みやく。類書の中には「国語の先生による学校の平々凡々とした授業」といった雰囲気のものもあるのに対して、本書は「大手予備校の人気講師による個別授業」のようなオーラがあります。類書なら流し読みしていたようなことでも、本書だとズイっと頭に入ってきて、読み進めるたびに立ち止まって考えさせられたのです。

学校の授業と予備校の人気講師の授業の面白さを比べると、多くの場合、予備校の人気講師の授業のほうに軍配が上がるでしょう。人気講師の授業は、生徒の食いつきが凄いのです。それは、説明がわかりやすいために、内容が頭に入ってきやすく、好奇心をかきたてられるからです。本書はそんな、読者を夢中にさせてくれる一冊です。

自分の意見を言いたいのにうまく言えない人。自分の言葉に影響力を持たせたい人。そんな人は、本書を読むと、間違いなく多くのヒントが得られるでしょう。

ーー書籍情報ーーーーーー

著書:言語化力

著者:三浦 崇宏

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■言葉で相手との関係を変える

言葉は「関係構築」のツールです。著者は、仕事を依頼してくれるクライアントのことを「パートナー」と呼ぶようにしています。この呼び名だけで、仕事を与える・受けるの関係ではなく、価値を生み出すために協力し合う関係になれる。

このように、相手との関係性は、言葉の使い方で変わります。使う言葉によって、相手をどう捉え、どんな関係をつくっていくつもりかが変わってくるからです。

昔、名前で呼びかけることの効果を検証した「Call Her Name」というプロジェクトがあったといいます。普段「おいお前」と呼びかけている人が奥さんの名前を呼ぶ。すると実際に夫婦の関係が良くなるだけでなく、奥さんの心拍数が上がることすらあったといいます。

言葉は時に身体的、物理的な力をも発揮して、相手との関係性に影響を及ぼすのです。

■言葉がもたらす影響力

言葉といっても、話しているときの言葉やインターネット上で送るチャット上での言葉、また一対多数で送ることのできるSNSなどの投稿。多くの言葉があり、それぞれがよくも悪くも多くの影響力を持ちます。

例えば、本書では2016年、Twitterの無名アカウントから発信された「保育園落ちた 日本死ね」というツイートが拡散され、国会での議論の対象にまでなった事例があります。有名人でも学者でもない普通の女性のツイートが国を動かすきっかけとなったのです。私たちは今、そんな奇跡が普通に起こる社会に生きているのです。

「保育園落ちた 日本死ね」は、シンプルだが強力なコピーです。「保育園落ちた」というファクト(事実)があり、「日本」という「建前だらけの大きい敵」を倒したいという意志が伝わってきます。

しかも「死ね」というインパクトある言葉との組み合わせが強烈であり、一般人の生活からあふれ出た魂の言葉として、強い力を持っていたのです。

言葉は大きな武器です。社会現象を起こし、世の中を変えることさえできるのです。

■言語化には「段取り」がある

仕事の現場や、日常生活でも問題や事象について語りたくても、うまく言語化できない人もいるでしょう。

そんな人は、次のことを意識するといいのです。

1)スタンスを決める

自分の社会における立ち位置と世の中の動きに対する好き嫌いを明確にしよう。社会がどう変われば自分が快適にストレスなく生きられるかを考えると、自然とクリアになるといいます。

毎日のように、新しい問題が起きそれに対して、SNSを中心に様々な意見が出てきます。

本書の例えでいえば、地方都市の市役所で働いているなら、日本のSNS炎上社会についてどう思うか。4人の子どもを育てるシングルファーザーなら、今の働き方改革についてどう思うか。自分のスタンスが見えてこない場合は、ニュースを幅広く見てみると、気になること、感じることが見えてくるはずです。

2)本質をつかむ

表面的な現象ではなく現象の構造をつかみ取ることです。そのためには、固有名詞を省いて時系列も無視して、行為と現象と関係性だけを抜き出すというプロセスを踏めばいいといいます。

3)感情を見つめる

問題の本質をつかんだ後は思いっきり自分に目を向けましょう。人の心を動かすのはいつだって感情であるといいます。

問題の本質をつかんだら、自分のスタンスと照らして、どんな感情を抱いたか冷静に観察することが重要です。喜怒哀楽の4パターンだけではない。ワクワクした、ムカついた、誰かに伝えたくなったなど、様々なグラデーションがあるでしょう。

4)言葉を整える

ここまでのステップで生み出された言葉を、相手やその場の雰囲気に合わせて調整します。相手に残したい印象によって言い方を丁寧にしたり、ネガティブをポジティブにしたりして、整えていきます。

■言葉の優先順位をつける

言いたいことがありすぎて、言葉が出てこない。

こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。大切なものを聞かれても、「もちろん仕事も大事だし、家族も大事にしてるし……」と優先順位をつけることができない人です。そういう人は、「言葉で順位づけ」をする必要があります。

まず、思いついたことを言葉にして紙に書き出してみるといいます。

一つひとつの要素を書き出して、言葉の因数分解をしていくと、思考の輪郭が明確になるといいます。それを言葉にし、具体的に検討していけば、自分にとって本当に重要なこととそうでないことが見えてきます。

また、すべてを話そうとしてはいけない。優先順位をつけたり、割り切ったりすることも大事です。映画の感想を聞かれたとき、「あのシーンもよかったし、CGもきれいだったし、テーマにも共感できたし」と並べると印象は薄くなる。それなら1つだけに絞って「あのシーンはよかったです。なぜかというと~」と掘り下げて話すほうが、相手の関心を引きやすいでしょう。

営業シーンにおいても、これはとても重要なことです。自分が営業を受けるときもそうですが、あれもこれも話されても相手に関心を持つことはできないですし、逆にもういいやとなってしまいます。

したがって、伝えることを1つに絞ると、インパクトが増すのです。

人間は、そんなにたくさんのことを覚えてはいられないというのも事実なのです。

■「印象に残る言葉」を生み出すポイント

著者は、ネットの記事やツイッターでバズらせるために、言葉選びにおいて気を付けているポイントが4つあるといいます。

(1)「短くシンプル」

(2)「意外性」

(3)「学び」

(4)明日から「すぐにやれる」

たとえば人脈についてインタビューされたとき、著者は「会いたい人こそ、自分から会いに行ってはいけない」と答えたといいます。短くシンプルな回答ですが、著者にはこの1行が見出しになり、その記事が多くの人に読まれるであろうということが予想できていたといいます。

この言葉は、意外性がある。SNSでどんな大物とも簡単につながれる時代なのだから、自分から積極的に会いに行こう――そう言われることが多い。一方、著者は、まずは相手にとってメリットのある人物になって、先方から会いたいと言われるようにならなくてはならないと考え、この表現を選んだといいます。

短くシンプルで、意外性と学びがあり、明日から実行できるフレーズであること。加えて、わかりやすい言葉でリズムよく。著者は、このあたりまで計算して発言しているのだといいます。

Twitter界隈でも、同じような投稿をしている方が多い気がします。簡単に繋がれますが、その分自分自身に魅力がないと簡単に切られてしまいます。

礼儀作法もそうですし、普段何を考え何をおこなっているのかを整理して自分のレベルを生み上げていくことが最も重要です。

■「強い言葉」を使えるようになるポイント

講演や会議、打ち合わせでは、「強い言葉」が効果的だ。「強い言葉」を使えるようになるために意識すべきポイントは4つあります。

1)「視点を上げる」

あなたが「社員」なら「部長」の視点で、「部長」なら「社長」の視点でものごとを見てみましょう。

たとえば、一般社員のあなたが「会社に行きたくない」と考えているとします。これを社長の視点に上げると「我が社の問題は、社員が会社に行くことを楽しくないと思っていることだ」となります。さらに主語を会社にすると「この会社は行きたいと思われる場所になっていない」と、もっと大きな話に聞こえてくるのです。

個人の感情にとどまっている話だと、他人から関心を持ってもらいづらく、会社や社会など、より上の話に変えてみるのが効果的です。

2)「領域を広げて、一般化して考える」

たとえば読者モデルの友だちから、インスタグラムのDMでセクハラされたという話を聞いたとします。この事象を、領域を広げて一般化してみましょう。

「友達の女の子」から「女性全体」、「インスタグラム」を「人生」、「DMのセクハラ」を「悪意」と広げます。すると「世の中の女性は、生きているだけで悪意にさらされている」と、ぐっと強い言葉に変換できます。

3)「逆張りをする」

たとえば「人脈が大事だ」とみんなが言っている中で「人脈なんて言葉を使っている奴はクソだ」と言ってみます。あえて世間とは逆の立場を取ることで、記憶に残る言葉が生まれるのです。もちろんなんでもかんでも逆張りすればいいわけではないので、使う際には最新の注意が必要です。

4)「ゴールから逆算する」

著者はWEBメディア「新R25」において「お酒は飲めないのですが、広告業界で活躍したい。どうしたらいいでしょうか?」と聞かれたとき、以下のように回答したといいます。

「酒が飲めないなら、別の面白さを見せればいいだけ。お酒が飲めないことも武器にして、『お酒飲めるってうらやましいです!』とか、『お酒飲むの憧れます~』って開き直って話せばいい」

世の中の思い込みについて考えるときは、ゴールから逆算して本質を見つけましょう。「お酒を飲んでほしい」と言う人々の欲求の本質は、「無理をしてほしい」といいます。つまり「無理をし合える関係かどうか」を証明したいわけだと著者はいいます。本当の目的はお酒ではないのです。

そうして常に「この場合の本当のゴールは何か?」を考えると、問題の本質が見えてくるのです。

■変化が起きるのが「いい言葉」

「いい言葉」とは、その言葉によって何かが動いたり、変わったりする言葉だ。どれだけ美しい言葉でも、誰にも届かず、何も動かせなければ意味がないのです。

たとえば、相手が自分に関心のないときに「ご飯に行きませんか?」と誘ってみたとします。おそらく「嫌です」と言われてしまい、ご飯には行けないままでしょう。

では、「すき焼き、お好きでしたよね?」「今日○○さんが誕生日なんですよ。寿司屋、予約してるので一緒にどうですか?」と言ったらどうでしょう

来てくれるかもしれません。「芝にあるトマトすき焼きのお店、ご存じですか?」もいいでしょう。何かしらの変化を起こせる言葉が、著者の定義する「いい言葉」であります。

自分にとっていい言葉では、まったく意味がなく相手にとっていい言葉を見つけていくことが重要なのです。

■言葉で人を動かしたいときのポイント

言葉で人を動かすというと難しく聞こえるかもしれないが、意外と簡単と本書では言います。

1)目的を明確にすること

2)目的に向かうプロセスを明確にすること

3)主語を複数にすること

「目的を明確にすること」は、文字通りの意味です。ただ「動け」というよりも「鬼を退治しに行こう」と言うほうが、人は動きやすく、本気になりやすいのです。

2つめは「プロセスを明確にすること」。著者が外資系の広告代理店に勤めていたとき、ある先輩のチームは毎年のようにカンヌ国際広告祭で賞を獲っていた。一方、著者はメンバーの本気を引き出せず、なかなかうまくいかないのです。

著者とその先輩の違いは、目的に到達するための「プロセス」を明確化できているかどうかでした。著者は「みんなで頑張ってカンヌ獲ろうぜ!」と言っていたのに対して、その先輩は「ここまで頑張ればカンヌ獲れるぞ」という言い方をしていたといいます。目的にたどり着くための条件、プロセスを明確にすることで、チームメンバーのやる気を引き出していたのです。

3つめは「主語を複数にすること」

本の執筆者と編集者の関係なら、編集者から「これ書いておいてください、頑張ってください」と言われるよりも「これ、一緒に盛り上げていきましょう!」と言われたほうが、モチベーションが上がるものです。

■本書のまとめとやるべきこと

①言葉の優先順位をつくる

ただ、言葉を発するのではなくこの言葉がもたらす影響力は何なのかであったり相手にとってのいい言葉であるのかを考えて話す

※感情的に一人称で話すのではなく主語を複数にして話してみる。

②結果だけの指示にならない

プロセスを意識した上での支持を出せるように行動する

※特に、営業目標であれば売上なのでその売上を達成するためには具体的にどのような動きをするべきかを明確にすることと。モチベーションが上がるような言葉を選定する。