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小説同人誌を出したい人のススメ ②スケジュールを立てよう


前回の記事はこちら。


というわけで今回はタイトルの通り、スケジュールを立てようの巻です。
正直、データの作成方法とかを先にやった方がいいかもしれない。
でもデータの作成自体は…金を出せばショートカットできる…!
というわけでスケジュールの立て方です。

スケジュールを立てる?そんなの簡単じゃん!
なわけはない。スケジュール決定はとても大事だし、ここに同人誌作成の肝があると言っても過言ではありません。
というわけでLet's Go!以下目次!

1.締め切りを決めるために必要なもの

というわけで締め切りを決めます。

前回の「2.同人誌を出すのに必要なもの」の項で軽く語りましたが、締め切りは主にイベント(発行日)を基準に決めると楽です。
そしてそのイベントで本を出すかを決めたら、次は印刷所探しです。
じゃあこの印刷所探しはどうすればいいの?という話。

2.印刷所の探し方

どの印刷所がいいかなんて…わかんないよ~!
そこの貴方!そりゃそうである。わからんわからん。

というわけで探し方をご紹介。

・自分で口コミを探す

まずどんな印刷所があるかわかんないよ!という人は以下のようなまとめを見るといいかもしれません。

あとはTwitterなどで「おすすめ 小説 印刷所」で調べてみたり。
結構出てくるので何を見ればいいんだ!?となるかもしれません。まあそれも選択です。インターネットは自分で探して取捨選択するのが大事なので。

へ~こんな印刷所さんがあるんだ~って気楽に目を通す程度で十分です。
その中で「へえ、ここ色んな人に安いって言われてるな」「印刷が綺麗って評判なんだ」と気になるところが見つかればよし。
気になる印刷所があったら調べてサイトに行ってみましょう。

・自分が持ってる本の奥付を見る

もし貴方が色んな同人誌を持っているとしたら、奥付を見るといいかもしれません。
奥付というのは最終ページ(大体最後の方にある。本によっては一番前だったり真ん中だったりとばらばら)にある、「タイトルや印刷所、発行者の連絡先が書いてあるページ」です。
そう、印刷所が載っている。コピー本でない限り載せなければなりません(書いていないと不備として原稿を受け取ってもらえないこともあります)。
人によっては装丁を載せていたりもします。

本文:淡クリームキンマリ70kg
表紙:ペルーラスノーホワイト
遊び紙:トレーシングペーパー星くずし白

みたいな…(この装丁例は適当に組み合わせたものです)
現物があるとイメージが湧きやすいと思います。
一度自分が持っている本の奥付を見返してみるといいかも。

・オフ経験者に聞く

本出したいんだけど印刷所わかんないな~!とツイートしたらシュバッと飛びかかってくるかもしれない。こないかもしれない。
スベりたくないなら自分から聞いてみるといいでしょう。当然ですが相手が忙しくなさそうな時を狙って。
経験者の意見は何よりも強いです。

そんなこんなで気になる印刷所を見てみたら、選ぶ条件を考えていくといいでしょう。

・値段
・締め切り
・使える用紙の種類
・特殊加工の数
・入稿手順の煩雑さ
・マイページがあるか否か

これらのどれを優先するかどうか考えてみるといいかもしれません。
因みに何故マイページがあるか否かを要素としてあげたかというと、
マイページ制の印刷所はマイページにログインすることで都度進捗が見られ、不備や発送の連絡がスムーズに受け取れるためです。
別になくても問題はないのですが、なかった場合直接電話がかかってくるなど心臓に悪い(私が電話嫌いなだけです)。

-   紙見本は請求すると楽しい

これは余談です。
色んな印刷所がありますが、多くの印刷所は「紙見本」というものを配布、または販売しております。
プリントキング、栄光、STARBOOKSあたりは無料、
グラフィック、プリントオンあたりは有料です。
これを入手しておくと捗ります。
特殊紙を使う予定がなくとも、「本文用紙はどれがいいのか?」などを考える参考になるのであった方が捗ります。
特に小説本は淡クリームキンマリ70kgか95kgのどちらにするか問題があったり…なかったりするので…

-   オンデマンド?オフセット?

ところでオンデマンドとオフセットってなんじゃらほい!な人向けの余談です。
オンデマンドとオフセットとは何ぞや、については以下のリンクがわかりやすいと思います。

で、小説同人誌はオンデマンドがいいの?オフセットがいいの?という話に関しますと、
小説はオンデマンドでもオフセットでも特に影響はないです。本文に限り。
というのもオンデマンドは黒ベタがテカりやすいため漫画だと気になるのですが…小説に黒ベタはあまりない。ので気にならない。
ただ、表紙の発色は変わってきます。もし表紙の発色が気になるならばオフセットや、表紙オフセット本文オンデマンドといったセットを探してみるといいかもしれません。
ただオフセットは製版をする関係上、最低部数が大きくなりがちです。
うーん、まずは20部くらいかなーという人はオンデマンドの方がいいと思います。

-   私的おすすめ印刷所

因みに、個人的におすすめな印刷所を。
初心者さんにも色々なタイプがいらっしゃると思うので、タイプ別におすすめします。
ただあくまでも個人的な意見なので、そこはご容赦ください。あと使ったことのない印刷所もおすすめしてます(フォロワーが使ってる程度の知識です…)

手厚くサポートしてもらいたいなら…しまや出版

価格帯は比較的高めですが、その分小説本に対するサポートが手厚いです。
私は利用したことがないのですが、本当にサポートが手厚いとの声が多い。
表紙デザインを予めあるテンプレートに合わせて作ってもらえるプラン、完全オーダーメイドでお願いできるプランがあり、字書きあるある「表紙どうしよう問題」も解決できてしまいます。
あとTwitter見たら猫ちゃんがいる。かわいい。

・とにかく安く済ませたいなら…ちょ古っ都

小説本出すなら…という記事で絶対オススメされる印刷所です。私は初めての本はこちらにお世話になりました。
とても安いのですが、注意点がいくつか。
・10営業日、8営業日の予約が埋まりやすい
 と言っても4営業日でも安いですしページ数の変更は可能だったり。
・同人専門ではなく一般の印刷所なのでサポートは期待できない
 イベントへの直接搬入はできなかったり、書店への送付は難しかったり。
・表紙もPDFで作成する必要がある
・値段相応の製本もある
 糊の多さやずれなど、気になる人は気になる(気にならない人は気にならない)と思います。
とても安いのですが、サポートを受けられないかつ一般印刷所ということで他の同人印刷所とは少し扱いが違うのがネックだったり。

・安く済ませたいけど同人に詳しい印刷所がいいなら…ポプルス

よく名前を見ます。旬ジャンルにいた頃、小説本で使ってる人が多かった記憶。
案外加工も豊富だったりします。わかりやすい。

・早割に自信があって色んな加工をしてみたいなら…STARBOOKS

なんと1冊単位で発注できる。細かい。
また、早割が1日単位で設定できて最大7800円引き。細かい。
箔押しや特殊紙が豊富で、見積もりを作っているだけで楽しい。

・特殊加工がしたいなら…プリントオン

プリントオンにできないことはない(これは過言)。
特殊加工の王者です。なんとこの印刷所、「わくわくドキドキデザインセット」という表紙をデザインしてもらえるコースがあったりします。
その分お高めなのですが、超早割を使うとお安く済んだり。というかお高めだけど特殊加工の費用を考えたら安い。ので早割を使うとそれはもう価格破壊。
因みに早割でオプションがつけられるのですが、そこで得られるプリンちゃんキーホルダーは覇者の証だと思ってます。私は1個持ってる。印籠。

とまあこんな感じです。
勿論、ここに挙げた印刷所はあくまでも一部。
他にも色んな印刷所があります。自分だけの印刷所、探しに行こうぜ!

3.原稿スケジュールを立てよう

やっと今回のメインに来ました。

それでは原稿スケジュールを立ててみたいと思います。

まずは締切を確認してみましょう。
今回は11/8開催のイベントに向けて、しまや出版さんにお世話になるシミュレーションです。

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標準締め切りは11月3日のようですね。
ですがもう少し詳しく見てみたいので見積もりを出してみましょう。
しまや出版さんは無料会員登録することによって自動見積もりを作成することができるようになります。
スタンダードセットで…30部(最低部数)…60ページ…表紙はコートにクリアPP、遊び紙を前に追加して…イベント直接搬入…
出ました!

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おっと。先程締め切り一覧を見ただけではわからなかった早割なども見られるようになっていますね。
2週間早く原稿を出せば15%もお安くなります。

ではせっかくなので早割15%を狙ってみましょう。
締め切りは表紙も本文も10月20日の…?

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午前9時までですね。
なので10月19日には入稿できているようにスケジュールを組みましょう。

本文執筆、表紙作成にどれだけの時間がかかるか?
それについては人それぞれです。
以下のリンクとかを参考にするといいかもしれません。

A5サイズだと大抵1ページ=1000字になるので、
自分が10000字を書くのに5日かかる(1日2000字進む)のであれば、
今回は60p(60000字)の本を出すとして
最低限本文には5日×6=30日必要

とはいえ毎日書ける気はしないので、
3日に1日休憩をいれるとしたら
30÷2=15 30+15=45日を本文執筆に使うと計算

表紙作成は自作ならば7日使うと想定
その他細々とした付帯作業(校正とか本文レイアウト調整だとか)に7日を想定

45(本文)+7(本文)+7(付帯)=59日
約2ヶ月必要の試算(先程あげたリンクで新刊を出した人の平均が65日らしいのでいい感じだと思います)

という感じですね。なんか仕事でやってる見積もり作成みたいで嫌になってきた…
スケジュールは基本的に余裕を持って組んだ方がいいです。何があるかわからないので。

とまあ組んでみた日数を締切に合わせてみましょう。

というわけで合わせたのがこちらになります。

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とまあイベント開催2ヶ月以上前から作業を始めていることになりますね。
なおこれは一番早い早割に合わせたものなので、
通常締め切りだったりもっと遅めの早割にしたり、
はたまた締め切りが遅めの印刷所にすればスケジュールは後ろにずれ込みます。

同人誌を出すのには時間がかかります。紙で出来た狂気の結晶ですね。

4.実際どうなの?~筆者の場合~

因みに先程出したのはゆる~い理想的なスケジュールです。

実際お前はどうなのよ?という一例も出してみます。
ただこれは本当に人によるものです。
ふーん、こんな奴もいるんだー程度に流してください。

私の例の前提条件として。

・イベント開催日は7/14
・↑を知ったのは半年前(おそらく年明け)
・当時社会人1年目
・ホワイト職場なので土日祝休み、基本定時上がり
・平日の本文執筆は主に通勤電車内でスマホ使用
・実際に出たのはA5/160pとA5/96pの2冊
・使用印刷所はブロス、それぞれ早割20%と早割10%で入稿

それでは実際のスケジュールです。
なお確実な日程はメモしておらず、ファイルの保存日時などからの推測になっています。雑だね!

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こんな感じです。
ちょっと画像に載せてないもの含め整理してみますね。

・1冊目

5/17~5/21 プロット作成、印刷所決定
 特にコメントなし。
5/13~6/15 本文執筆(約13~14万字)
 何気にプロットより先に本文書いてんじゃねーか!
6/14 デザイナーに表紙依頼(納期2週間、6/30)
 デザイナーさんに依頼しました。
 本文がどれだけ膨らむか(背幅がどれだけになるか)わからなかったため、本文をほぼ完成させた状態で依頼を出しました。
6/30 表紙データ受け取り
 受け取りです。基本的に入稿よりも早めを納期としておくことで余裕が出ます。
7/1~7/2 校正
 した。
7/3 入稿
 締め切り3日前入稿です。いい子。

・2冊目

6/15~6/16 プロット作成、印刷所決定
 1冊目が終わったら即座にです。締め切りまで1ヶ月ないので焦ってました。
6/17~7/3 本文執筆(約9万字)
 ようやったわ。なお本来は7/1に終わらせていた予定だったので、
 間に合わないと判断し早割20から早割10に遅らせています。
6/19 デザイナーに表紙依頼(納期2週間、7/3)
 本文完成後だと間に合わないので余裕をもった背幅で依頼。
 絶対このページ数付近にするという強い目標が生まれます。
7/3 表紙データ受け取り
 受け取りです。本文が終わったのでハッピー。
7/4~7/6 校正
 した。
7/6 入稿
 締め切り前日入稿です。
 カレンダーの表記を見たらまあ1冊目と同じ締め切りでいけそうなんですが、たぶんデータが整ったのが午後だったんだと思います。

簡単に見ると
1冊目 5/17(イベント2ヶ月前)~6/15(イベント1ヶ月前)の1ヶ月
2冊目 6/15(イベント1ヶ月前)~7/6(イベント1週間前)の3週間
を費やしていることになります。

この時は
・最初から2冊出すという前提で組んでいたこと
・1ヶ月で100pの本を発行できる事実があったためスケジュールの想定は容易だった(160pになった事実からは目を背け)
・表紙作成を他者に依頼することで表紙作成期間をまるっと短縮
という特徴があります。3つ目大事。

そう、スケジュールを立てる時に
・本文執筆
・表紙作成
・付帯作業(校正など)
の3つがあるとお話ししたじゃないですか。

2つ目の「表紙作成」、依頼すれば勘定しなくていいんですよ!
勿論いつ依頼するか、いつ受け取るかの管理は必要ですが、
パソコンやスマホの前でうんうん唸ったり、自分のセンスの無さに苦しむ必要がなくなるんです!ヤッター!

表紙の依頼はどうするの?という話はまた別記事でお話しする予定なのですが、大体は以下の2つになります。
・知り合いに頼む
・仕事として受けているデザイナーに頼む

私は基本的にデザイナーさんに依頼しています。
知り合いに頼める度胸があったら壁打ちアカウントしてないやい!あと知り合いもおらんわい!悲しきコミュ障

もしデザイナーさんに依頼したいなと思ったらは、
スキマやココナラで検索したり、以下のリンクを見るといいと思います。

それに校正も、ぶっちゃけ金を出せばショートカットできます。
これも人に依頼することができちゃいます。

ココナラ、スキマあたりでやってくださる人がいたりします。

あと本文の段組も、依頼すれば有償でやってくれる人もいます。
ぶっちゃけ、Wordなくても人に依頼するなら本は出せてしまう。ただ細かいレイアウト調整なんかは自分ではできないので、その辺りどう折り合いをつけるかが大事になってきますね。

大事なことは…一部の作業は…金を出して人に任せることができる!

これを知っておくと楽になるかもしれません。
金を出して楽を得るか、
時間をかけて出費を抑えるか。これは自由なのです。
私は割と天井厭わない方なので(恒常だとわかっててもエモさに負けて課金してしまう…)すぐ金で楽を買います。その代わり早割を必死に狙います。

と今回はスケジュールのお話でした。

次回は本文作成についてお話したいと思います。

つづく。

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