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好きなアルバムその5 『革命』

 今回選んだのは、2011年発表のandymoriの3rdアルバム『革命』。

 最近、tiktokで少し(かなり?)知名度を上げたバンド、andymori。ブームに乗っかるために取り上げるのではなく、シンプルに自分の中で超大切なバンドなので、tiktokなんか知らん、こちとらファン歴4年じゃい!と、古参ぶった顔でandymoriの話をしたい。

  まず、andymoriとの出会いについて。高校時代、スピッツにハマっていて、今思えばマジで徒労の極みだが、毎日Youtubeでスピッツの曲の検索を一曲一曲かけるのが自分のルーティーンだった。数週間で削除されるようなライブ動画、インディーズ時代の音源をいち早く、一回でも多く聴くことを生きる喜びとしていた。ある日、名曲「恋のうた」を検索したとき、若いバンドがカバーしている動画を見つけた。ボーカルの声が魅力的なそのバンドこそ、andymoriだった。とりあえずおすすめに出てきた「革命」のMVも見た。声はいいし、楽器に色がついていく映像の演出は印象に残ったけれど、曲はそこまでハマらず。他の曲も聴こうとしたけど、なんだか聴く気が起きず、曲短ければいいと思ってんだろ!という小さな怒りさえ湧いてきた。

 俺はアホだった。

 高3の秋、「ベンガルトラとウイスキー」「FOLLOW ME」の動画をふとYoutubeで見かけて、こんなにカッコいいバンドがいるのか、と衝撃を覚えた。あの"曲の短いバンド"だと気づかずに、、、(数分後「革命」のMVを見て思い出す)。受験勉強そっちのけで聴き漁った。当時、月一回なら曲を無料でフル再生できるキャンペーンがLINE MUSICで行われていて、それはつまり一度再生するとその曲やアルバムは次の月まで聴けないということで、だから、その月一回のチャンスに全神経を注ぎながらandymoriの5枚のアルバムを聴いた記憶がある。

 その後大学に入学して最初に買ったのが『革命』だった。"曲が短い"でお馴染みのandymoriのアルバムにおいて一番収録時間が短いだけあって、疾走感がすごい、本当にあっという間に終わる。一方で、一番暗いアルバムにも思える。この暗さはなんだろう、声に覇気がなくて、とにかく陰を感じる。だから結論から言えば、自分の中で一番順位が低いアルバム。最下位というよりは5位という感じだけど。でもあの2011年に出たアルバムということで、時代の空気が反映されているような気もするし、何より最初に買った紙ジャケのアルバムということもあって思い入れは十分強い!!いいアルバム!!
ということで、一曲ずつ見ていく。


M1. 革命 ★★★★☆

 上で述べたように、自分とandymoriとの出会いの曲。今では普通に好きな曲。革命を起こすんだ、の後に続く主語を一人称ではなく「誰もが」としていることで、革命を起こしたい人々に寄り添っている。し、そうでない人を引っ張ってくれるような力強さもある。単純な性格なので、試験の前とか重要な局面の時によく聴く。これとブルーハーツの「未来は僕らの手の中」。


M2. 楽園 ★★★☆☆

 この曲自体は別に悪くないんだけれど、この曲が2曲目にくる感じが『革命』というアルバムに対する暗い印象を決定づけていると思う。サウンドがそもそも褪せた感じだし、サビは「潜って」「南へ」の連呼。ついさっきまで革命を歌っていたのに、諦念がこの曲には纏わりついている。"死神と天使と手をつないでいこう"という歌詞からも、小山田壮平自身が進むべき方向を見失っている印象を受ける。道がわからないから、とりあえず南へ、みたいな。それが苦しい。ので、結論あまり好きな曲ではない。


M3. Weapons of mass destruction ★★★★☆

 続いて暗い曲。ギターのリフレインが美しく、とにかく胸を締めつける。文明とその中に生きる人々、そして自分。静かな怒りと無力感の中で、ぼんやり電車に揺られる。このけだるさを、歌詞・歌声・サウンドでこうもズバリ表現してみせる小山田壮平はやはり天才である。つまりは暗いので好き度は少し低いが、曲としては間違いなく名曲、唯一無二だと思う。


M4. ユートピア ★★★☆☆

 2曲前に楽園という曲があるのにこのタイトルはないだろ、と思うし、正直心の底から「このバンド最高!」と思っているんじゃなくて、「いいバンドだから大丈夫だ、大丈夫だ…」と自らに言い聞かせているような感じがどうもしてしまって、苦しくて、これもそこまで好きではない。ただし「ぬけがらの~」のところのメロディーと歌詞の合わせ方は素晴らしい。ふと歌いたくなってしまう。


M5. スーパーマンになりたい ★★★☆☆

 初めて聴いたときは結構好きだったけど、今は普通かな。歌詞にひねりがないというか、人によってはSEXするスーパーマン像に意外性を感じるかもしれないけど、所詮そこまでというか、あまり深みがないなと思ってしまうかな、、、我ながら辛口で引いている。軽快なので別に嫌いでもないです。


M6. ダンス ★★★★☆

 この曲、ゆるくて好きです。なんてことないっちゃないけど、メロディーもいいし、この曲がここらへんに入ってくることでいいクッションになっている気がする。まあ、ゆるいからいいって感想に尽きる。


M7. ボディーランゲージ ★★★☆☆

 申し訳ないけど、andymoriの曲の中で一番印象が薄いかもしれない。サビの部分なんかはandymoriのが曲においては斬新やけど、なんでやろうなあ、地味やわ。関西弁使って感想ごまかさなあかんくらい地味やわ。


M8. Peace ★★★★☆

 これもいい曲。家族や友人に愛を伝えるような歌詞で、最初聴いたときにお姉さんへのパートが悲しそうな声色に感じて、後で調べたら小山田壮平のお姉さんのことを知った。それを知ってから聴くとまた違う印象というか、本当の意味でもう二度と戻らない風景を歌っているんだなと感じる。明るいけど切ない歌。
 個人的にめっちゃ好きとかではないけど、この曲がベストって人も多い印象。最近大学で知り合った女の子もLINE MUSICをこの曲に設定していたし。ところで、その女の子もそうだったけど、スピッツとカネコアヤノとandymoriの三アーティストが好きな人多いよな。三角形の二つの角の角度が分かれば残りの角の角度も分かるように、スピッツとandymoriを好きな人は基本カネコアヤノ好きだし、andymoriとカネコアヤノ好きな人はスピッツを、スピッツとカネコアヤノを好きな人はandymoriを好きな傾向にあると思う。この三アーティストに共通するものが何か、鬼ファンの俺がいつか検証してやる。


M9. 無までの三十分 ★★★☆☆

 この「無」が、「三十分」が何を指すのかよくわかっていないけど、とにかくきれいなメロディと歌声でゴリ押ししてくる。andymoriの曲にはよく電車が登場するけど、だからなのか電車で聴くandymoriは本当に染みるよな。


M10. Sunrise&Sunset ★★★★☆

 この曲は感想が難しいというか、曲は明るいのに歌詞が暗い、一筋縄ではいかない魅力がある。サビの歌詞は絶望でしかないけど、こうさらっと歌われると大丈夫な気持ちになれるし、でもその絶望が前面に出て辛くなる日もある。まあでもこれは小山田壮平がたどり着いた一つの結論なのかもしれない。散々考えて悲しみや悩みは消えず、でもそれをどう歌うか、っていう音楽の原初的な部分にタッチして、それでこの明るいカントリー風の曲調に行き着いたのだと思う。とりあえず僕は軽やかに歌ってみせるよ、という、メッセージなのか決意なのかわからないけど、そんな声が聞こえてくる。


M11. 投げKISSをあげるよ ★★★★★

 このアルバムで一番好きな曲。音楽的な部分でいえばそりゃ1stや2ndの時の感じが好きなんだけど、ここまでandymori、ひいては小山田壮平という男に精神的に依存してしまうのは、寄り添ってくれるからで、その最たる例がこの曲だと思う。いつもの自販機でコーラを買ってきてくれるような、投げキッスをふらっとくれるような優しさが好きなのだ。自分はこの曲にとてつもなく救われている。そして自分もこの曲のように、身の回りの、大切な愛すべき人たちの孤独や不安に寄り添いたい。ふらっと現れて、嘘でもいいから大丈夫だと、心配ないよと言ってあげたい。そう思って生きているので、思想的な部分でのこの曲の影響は本当に大きい。正直、すごい速さなんかよりこの曲の方が流行ってほしいな。たくさんの人に届いてほしい曲。




 ということで、時々辛辣だったり適当だったりする瞬間もありつつ書き終えた。五本の指に入るぐらい自分にとって大事なバンドで、作品数も少ないし、また後々ほかのアルバムについても書きたい。でも次回は一度映画についての記事も書いてみようと思う。


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