観戦記者:八木⑳ #指す将順位戦7th B級2組 のののさんvsおちりすさん戦観戦記

 光陰矢の如し。
過ぎる時間は他に十分に使用されていると信じて10月6日(木)の対局風景を思い出していきたいところである。B級2組の1位2位の頂上決戦でありこれは来期の順位戦で関わってくる。現状では、順位がとても必要であること、皆々様に染み入るところと思うわけであり、それを決めるうえでも大事な戦いである。
 のののさんは、youtubeにも活動の幅を広げ、マルチな才能をいかんなく発揮されており将棋も好調であり当時全勝である。おちりすさんも、麻雀にも活動の幅を広げ、マルチな才能をいかんなく発揮されており将棋も好調であり当時7勝1敗でむかえるとこである。(テンプレート通り)
 言いたいこととしては両者将棋が強い、という点で共通認識をもっている人が多く、それこそ「矛盾」な戦いともいえる。対消滅してビックバンが起きる、というのが最近の通説であるけれども。
 昨期B級3組ではおちりすさんが勝ちを収めており、のののさんとしては「べつになんも気にしてないよ(イマジナリーのののさん)」気合十分であろう。

 戦型予想がとりあえずできない。両者器用であるのでなんでも指せるというのも認識の一つであるけれども、ここでは相居飛車、と考えておきたいところである。

ね、でしょ?

先手のののさん、後手おちりすさんであり、相居飛車の夢は儚く潰えた。
儚いという漢字に人の夢って書いてあるのなんだかエモくありませんか。
さて本局とても早く進んでいるので、そこまで飛ばさせていただく。ちなみに飛び先は先手消費時間1分30秒程度、後手消費時間2分20秒の局面である。

(速度が)超速である

美濃囲いの銀が動いて▲4七銀にするのは△3五銀からに▲6八角とするためか。そうなると後手が一歩をもつならば△8八歩から乱れるところであろう。さて一歩いずこより得られるか。後手は15分に対しての2分半の長考の後に歩をえいやと。△6四歩。

これを▲6八飛車とするとそれこそ△3五銀を受け入れるはめになる。単に同歩であると銀の進出をもってこれも嫌である。ホットケーキに相違ない。ほっておく。先手は▲3八金として陣形を引き締める。後手は△6五歩と入手して先手は▲5四歩とはずみをつけてから▲6五銀である。

先手は5三歩と叩いてからの銀出が気持ちいいので、後手はそれを避けねばならぬ。まずは△6二飛として一直線に殴り合うはこちらに勝機ありとする。▲6八飛車と対抗するのを見て懸念の5四歩を守りに△5三金。

これでいったん落ち着いて。先手も後手も陣形整備に移る。第二戦である。

お互いの準備良しとして先手からまたつっかけていく。戦闘民族である。△同歩はお手伝いとして、後手は△7三の銀を活用すれば勝ちだとこれはヤギのコメント。控室ではあまり評判がよろしくないところであったのだけれども、

変わる手もなかなか難しかったらしい。ただ先手も熟慮の上での攻めであるので、以下、▲5四歩△同金▲5五銀!が先手の言い分である。

金を上げると守りがよろしくなく、これを△同金と取られたならばそれこそ▲同金として押せるということであろう。後手もあばれられることなく、粛々と銀を活用するため、△5三銀としてこれはこれで満足であろう。▲5四銀△同銀とする。後手の銀が生きている。

 その後、後手は丁寧に先手の暴れるのを防ぐ。相手の攻めのするどさを知っているからである。進んで第10図。

 先手もそっちがその気ならば、と手厚く指していく。後手は角の活用とばかり中央に繰り出していったけれども、ここ数手がどちらかに形勢が傾いていった部分もある。この△5五角に対して▲6六銀打と手厚く。この次の先手の指し手が早かった。手元の時計では1秒。△8二角に▲7二金!である。

リアル対局であるならば指がしなって景気のいい音を鳴らしていただろう。ただ果たしてこの手は良かったのかどうかが振り返ってみれば悩ましく感じる。角を切っておけばそうでもないのでは?は控室のコメント。ヤギは、精神的なダメージは後手に、先手には油断が来ている、なんじゃそりゃ。
ただこのタイミングで、△3五歩は恐れ入った。両取り逃げるべからずとはいうものの。角の方を残すと鬼の小瓶攻めがくるので、角の方を取るのだけれども、大事なカツラの頭を攻撃されている。

今振り返ってみると、先手の方が実利が少ないのか。いやはや。
お互いになぐりあって第13図。

 △4九角に▲4八金打と受けたところ。後手陣も相当であるけれども、飛車の守りがとても強い。後手の決め手はあるものか、で、△3五銀が冷静な手であったように思う。以下▲4九金に△3六桂馬が痛い。

取るしかないのであるけれども、同銀がほどけそうもない詰めろ。その後、▲3四歩から王手をかけるも矢おれ尽き果てて投了図である。


 普段であれば渾身の金打ちもその後の冷静な△3五歩が勝っていたということなのだろう。両者の持ち味が存分に出ており、とても見ごたえのある将棋であった。
 10月28日現在で、両者ともB1級への昇級を決めており、来期も戦うことになり、のののさんのリベンジなるか、といったところである(来期あるかや参加するかどうかはさておくとして)(了)

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