観戦記者:八木④  #指す将順位戦6th A級2組 面妖流さんvsメルモンさん戦観戦記

 日曜日の八木には自由があまりない。これはある意味リアルな生活のためであるのだけれども、この日ばかりは若干の焦りを持ちつついち早く観戦の体制を整えるべく準備していた。
 本日はどんなに小さいスマートフォンでもインターネッツさえあればつなげることができる将棋倶楽部24大阪道場にて7/18(日)21:00から対局の指す将順位戦 A級2組 面妖流さん vs メルモンさん 戦をお送りする。
 先手の面妖流さんは観戦記者八木の最近の観戦記によく登場する。心の師は松岡修造、心の友はただ一人、気合とヒャッハーの将棋指しである。一方で後手のメルモンさんはヤギが以前に対局しており、その時の様子が下記のurlから確認することができる。

思い出A2の初戦の相手で飛車を切り切れなかった相手である。この時の文章は硬い。鉛筆で言えば F くらいである。

そう、この両者は以前に指す将順位戦で対局があり、4thで面妖流さんに軍配が上がっており、今回はメルモンさんが返せるか、そういう意味で気合のこもった対局になりそうだ。
そういえば面妖流さんは結構長い間出場されておるのだな。
さて問題です。指す将順位戦1stから連続出場を続けている人は誰でしょう。答えは本人が反応してくれるはず(他力本願寺)

さて、ご存じのとおり記者が入室したのは対局開始からしばし遅れて下図である。先手▲面妖流さん、後手△メルモンさんである。

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ここで言いたいこととしては

あれ、普通じゃね?

いままでの面妖流さんの将棋を見る限りではこういう王道の将棋はなかなかなかったような。この進行はいつかのプロ棋士の形で出てきたような気がしており、いわば『形』となっているのである。
 ちなみに、この△6四歩に8分使っている。この歩を単純にとると銀が進出して△5五銀などから暴れてくる形になると先手は大忙しである。先手はゾーンで押しつぶす形を目指したいが後手の持ち角が不気味であり神経を使うところである。
 先手は▲2五歩から馬を作りに行き、持久戦の構えである。

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後手はなんとかして進出を目指すので、△6五歩とするも▲同銀ととられる手に△7四歩とし、先手のやりたいようにやらせる形に持ち込んでいく。カウンターをいかにくらわすかであるのか。進んで下図である。

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 記者としてはこの時の後手の対応があまりわからずちょっと受けづらいのではないのかという印象であった。改めてみれば確かに△5二金上の一手であるのだけれどもその時に馬を切って6三金とかで悲観していた。

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うーんと、悩んでいる記者の目の前では△5二金として、▲6五銀と援軍を呼んだ形となっていた。

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改めて見返すとここが岐路のような感じがある。それは後手の次の△7五銀のほうが価値が高いように見えたのである。バリゲードまたはダムに穴が開いたイメージが見えてしまったのである。
以下、▲6三歩成からばらばらにして▲5三金△同金▲同馬としたときに手裏剣が飛んでいく。寸止め手裏剣である。

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後手玉は見た目より耐久力が高いという経験があり、すなわち、△7二飛の存在が大きく、金一枚では足りない形となっており、一方で▲5四銀だと想像以上に防御力がなくなる印象である。後手の持ち駒としても角、金、銀と手裏剣の四枚で攻めており続くといえば続きそう。ただ先手も守護神飛車がいる。
 そして先手は攻め合う順を選んだ。▲5四銀である。

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控室ではことあるごとに△5六歩を進めていた記者大興奮である。この後、お互いに殴り合いに突入である。後手は△5六歩。これは詰めろか否か。それが問題である。先手の攻めが続く。

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このとき、▲2二金からばらばらにすると合いごまが悪いのではないか、という控室の指摘があった。

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いまならばゆるゆると駒を並べられる。観戦記だからね!

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銀相を考える。

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ざんねん! あたいの ぼうけんは ここで おわって しまった

控室でももちろん詰まないのではないかという指摘もありました。
優秀な控室は健在である。ということは直線的にはいけない、ただ先手の面妖流さんはまだあきらめていなかった。

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再度載せた上手より、先手の指がしなる。

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八木ならノータイムで同歩である。ただ、▲2一銀という手があっ…れー。詰みは、ないのか。もしかして。というわけで同歩でもよかったかもしれないのであるけれどもそれを60秒で読み切れるのは無理である。これは毒まんじゅうであるとして後手は攻めかかる。

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以下、後手が攻めて最後に冷静に飛車を外すとわかりやすくなってしまった。

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受けるのが難しいところであろうか。▲2二金から飛車をとりに行ったがその先が足りていない。以下進んで。

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この銀をみて先手の投了となった。以下同金は同馬から。逃げてもお尻に飛車を貼ることができる。止むを得ないというところだろう。途中の馬を切る手に落ち着いて飛車のほうをとるところなどでぎりぎりの戦いを制したメルモンさん。4thの借りを返した形となった。
興奮冷めやらぬまま記者は帰路に就く。(了)

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