#指す将順位戦7th A級2組③ vsにっし~さん戦(自戦記)

戦型予想およびリハーサル対局についてはこちらから。

また、対局者のにっし~さんの対局振り返りはこちらのツイートから。

 振り返りについては詳細に書いていただいておるので、内容についてはこちらを参照するべしとして、こちらサイドの意識のほうを重点に書いていきたいと思う。
 リハーサル対局から察するにっし~さんの棋風としては①自玉は可能な限り形を決めず、危なくなったらまとめていき空中要塞を作る。②もしかしたらたまに見過ごしがあるかもしれないけれどもまぁいいや、と気分を切り替える。③とりあえずこちらの読んでいるところは大体読んでいるのでなんら驚くことはない。というところである。また上述のツイートには、『大学時代の自身の棋風にヤギが似ているので読みがあう』『とりあえず無理攻めを誘発させて受けていればよし』というところは答え合わせとしては納得しているところである。
 有段者で強い人の弱みだと思っているところは『たまに対局者ではなく自分自身の読みとの戦い』にあると思っており、読みを深める中で相手の棋力というよりかはベストを尽くしてしまうがため自分自身の読みの力で相手の手を読まざるを得ないところである。こちらが読み切れていないときに相手が悲観してその手をあきらめる、という一点に賭けたといっていい。これはリハーサルの時に肌で感じたことである。

 先手ヤギで、後手にっし~さん。とりあえず持てる力をぶつけていく。

 この形を好む人は△4三銀と△3一角として引いて角を活用していくこととなり、2二角の形をいかに早く解消するのかというのを念頭にしているイメージである。

 角を交換する可能性があるのであれば銀は動かさないほうがよく、一手で形を作るならば▲3八銀。引き角から角交換の流れになっているのであれば▲3八金も視野に入れる。こちらとしては△8五歩をむしり取りに行ければだけれども、こういう考えもとりあえず入っているのだろうと見送り。

 もうだめだ、位とられて攻め味がなくなってしまった。金と銀だけで圧殺されてしまう。と悲観に暮れていた。ここで反発するならばいきなり▲4六歩と指すところ。ただ角交換をしに来てしまうし、何なら△1四角まで見えてしまったし、以前の指す将で似たような形で負けている。とりあえず▲4六歩の前に、王様を安全な方に逃げていくこととする。

 ここで前々回のミスターとの対局が頭をよぎったのは内緒。△2四歩△2三金あたりからヒャッハーされる未来が見えてしまっている。にっし~さんの棋風でないことを祈りつつ、とりあえず気分は劣勢である。

 飛車先の歩の交換はこちらとしては▲8六飛車とすぐさまぶつけに行ける分、悪い気はしていない。とりあえずここしかないところを突っついていく。取ると▲同銀の形が次に▲4五銀があるけれども、支えに行くとするも角を切っていくだろう。

 とりあえず銀はさばけた。けれども圧殺されるわけにはいかない。長めの考えで▲5五飛車と切るが、この時には△6四銀と打ってくるだろうな、という予感はある。相手はこちらの無理攻めをいなしてくるのだろうから。ただ、▲5五同飛車に△同金▲同角△6四銀▲7七角はいいとして、ここでどうか。

 先手からの▲4四歩が残っているので、角道を止めない手はないのか。もしくは▲4四歩は甘んじて単に飛車を下されて、△5八銀からダメだったかもしれない。後手からは△7五歩などもあるわけで。先手からの攻め手のきっかけがない状態である。後手は△5五歩と圧殺を狙ってくる。

 こちらの切り札は拠点を生かして▲4五桂馬と跳べるということ。この桂馬は同銀と取ると▲4三の利きが一枚足りなくなるという点である。これは覚えておいた。角を活用しないといけないところだったけれども、とりあえず飛車をいじめる▲7一銀を思いついたのだけれども△7二飛車に▲6二金は△9二飛車としてこれだけだと切れてしまうだろう。ここで相手の駒が飛車と歩だけであることに気が付いた。とりあえず相手の角道がすぐ通ることはないだろうから▲9五角として。

 飛車が上がるとどうしてよいかわからないけれども、▲8二金とここまできたら打ってしまえばいいのだろう。△7二飛車としてもすぐさま銀は取れないだろう、▲6二角成が残るので。▲7三銀はとっておいて▲5三に何かを投げ込んでしまえばよかろう。という読み。ここでうまくいかなかったら負ける将棋である。

 読みになかった手が飛んできたものの、これは角の危機感はなくなっておるので、でもそうか、後手は△5三の利きがなくなるのが嫌だということを思い出した。▲6二金△9二飛車▲5三歩の、この歩は取れない。

 まさかやってこないだろうと思っていて一番やられたら嫌な手は△4二金である。本譜もそうであった。

 清算したとして▲5二飛車の形に▲6二金と再度打ったとしても△5三飛車と浮けるので駒が一枚足りない、という認識である。

 あーでもそうか、▲5三歩からなんとかなるのかな。読み切れてない部分がある。本譜は同玉であったので、飛車をとりに行く。

 ただここでまた読んでいない手をさされる。△7二金。ちょっとした悪夢である。

 これは飛車をやるから、そのタイミングで銀をとるし、なんなら駒の打ち場所ないからな?という意味である。これを同金と取るも、相手に金と銀を持たせてこちらは飛車一枚で結局受けきられる形。ただ、▲9二金に△7一金なら▲9一金として香車をとればいいかと思っていた。(にっし~さんは△7一金に▲9三角成を読んでいたようで『アカン』と切り捨てたようで、これは読んでいなかったことをここに記しておく)
 本譜は▲9二金に△同香車としてこちらとしてはチャンスが来たと(具体的には手番なのだけれども)思って攻めることを考える。▲3二飛車△4二飛車。飛車には飛車である。

 この飛車をとりかえすのは王様の守備力のおかげで隙がなくなってしまう。▲5三歩は…同玉同銀ともによくわからない。ただ、6二飛車を自由に打てるのであれば良いので、△7三金の形にはならないので、▲7三角成は同銀しかない。その時に先に▲4五桂馬はホットケーキされる。つまり銀を動かして5三歩を叩く。ただぎりぎりまで▲4五桂馬か▲7三角成か▲5三歩か整理がつかないまま。本譜は▲7三角成。これに同銀をずっと考えていた。本譜は△3二飛車。これは…これは…何か通った音がした。

 そして進んで下記の図が最後の粘りどころ。

ここで気が付けたのは、いざとなったら▲4五馬と引けること。桂馬がこのタイミングで生きてきたことに気が付けたのが心の支え。とりあえずなにも考えずに歩を叩くところから。同金はあらためて何か考えればいいし、同玉は▲3六桂馬で。という所でとりあえず歩を叩いて3六桂馬を打てばいいことに気が付く。

これは…これは読んでいなかったけれども、▲4四歩または4四銀であるけれども、▲4四歩に上に上がれないことを確認。以下そのまま進んで。

91手まで先手の勝ちとなった。投了図以下…まあ、先手は硬いから。
 対局を振り返って相手の防御線を突破できたことが全てで、よく読めていなかった部分もありつつ元気よく指せたことがうまくいったことであろう。後手の角が何らかの形で表に出ていたら勝ち目はなかったように思える。ひとまず死力を尽くした。これで1-2となり、初日および大金星である。今期の指す将にある程度の後悔がなくなってしまった。

恐ろしいこととは…西村さんの続報を待て……!(了)

 続報。識者により恐るべきことが明らかとなった。

 あと、これらのツイートと探しきれなかったけれども、悪手・疑問手が一手もないというのも見かけた。
 ……これはあかん。とんでもない将棋を指してしまった。個人的には指運な部分もあったけれどもそもそも悪手疑問手を指したうえでどうやったら将棋で勝てるというのだ。
 とりあえず以降の対局者はおもむろにヤギが角を切ってきたらあきらめて是非とも投了してほしい。間違っても同銀とかとても分かりにくい順にしないでほしい。それとも袖飛車を指した瞬間に戦意を喪失していただきたく思う。まさか相袖飛車とか振り飛車とかにはしないでいただきたい。また今後はできうる限りの力をもってして、疑問手と悪手も意識しながら指していきたいと思う。(了了)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?