#指す将順位戦7th A級2組② vsこまちさん戦(自戦記)

戦型予想は下記のurlより。

 まず明らかにしておきたいことがあって、本譜はまったくの予想から外れており、こまちさんの野心あふれる茶目っ気に脱帽である。これは裏を返せば殴り合いをしたら勝てる、という読みのもと、乱戦風味に持ってきたこまちさんの策略が功を奏したといえる。そういえば殴り合いで勝てる、と発言した人としては、将棋棋士の中では深浦先生が有名であるので、やはりこまちさんは、イマジナリーこまちさんは深浦先生似であるヤギの直感はあたっていたことであろう。
 まずは下図をご覧いただこう。

賢明な読者であるならばこのような自明な局面図を載せることに何の意味があるのだろうか、と思われることであろう。それではお聞きください。
 先手 こまちさん 後手 ヤギ。
以降は先後を逆にしてお送りするのでお間違いのないように。


こちらとしてもこの形は経験済みであるので、相袖飛車になりそうなのは予想ができている。ただ、先手はヤギではないのであまり感触が良くないとされる飛車を袖にするのはおいておく。センスがあるのであれば銀をあがるところである。ここにヤギはチャンスがあると見た。いかに自分自身の知っている形に持っていくか、というのが序盤のポイントであると考えた。つまり、第3図である。


軽くつっかかけていく。▲同歩△同飛車の形はみなれたいわゆる石田流振り直しの形であり、場合によってはツクツクボウシ戦法のエフェクトが出ることろである。


こちらの心の平穏はこれで保たれた。先手のみ角道を普段通り使用できないという主張と、先手の銀が戦場に出ているという主張とがぶつかり合うことになる。

進んで袖飛車がよく遭遇する局面であり、▲5七角と出てきたところ。この歩をとらせてもすぐさま▲7四歩とされるわけではないのだけれども、今回は△7六歩を試してみた。▲同歩の時に飛車をいじめる形をつくりにくいだろうという読みで、後手の角道のけん制をいかにいなすか、ということだったのだけれども怪しい。

進んでみて先手がじっと飛車先の歩をついたところ。先手の真の狙いはもしかすると3筋の歩を楽にさせておいて飛車先を突くということだったのかもしれない。この手はこまちさんらしいじっくりとした手である。
 ここで最初に考えてしまったのは△7六飛と歩をかすめとる手であるけれども、おとなしく▲7七歩で面白くなさそうである。もしかすると▲7五歩と飛車を捕獲してくる場合があるかもしれないが、これは後手の角道が開いている場合はとても危険である。こちらは飛車をいつでも切る体制は(陣形的にも気持ち的にも)できているわけで。これはさすがにしないだろう(想像図)

 他の手が本譜一つ目の後悔。まずは先手の銀を追っていき、形として本譜は △3四飛車としてしまったのだけれども、△4四飛車のほうが勝ったかもしれない。

 ▲3五銀であるならば△5五角でこれは陣形差で戦える。一方でこの後に出てくる▲4五銀はケアできなかった(できなかった)。

 △6六飛車には何がいやだったのか今はわからないけれども、▲4六角か▲7五歩などが不安であったようである。本譜は角とカウンターパンチをくらわそうと△5四歩とするも冷静に対処され泣く泣く飛車は△1四に。ただこの後▲5四銀と歩を払ってきたので、今度こそはと△4四飛車とする。こういう時に陣形整備ができるのは強さなのかもしれない。先手は5八金と引き締める。

 ここでなんとかして術をかけに行かねばならない(そんなことはない)。とりあえず飛車は切る方針として、その時にもう一枚何かをもらえれば2枚換えであるので。方針としては相手の陣形を乱して飛車を切る方針。つまり、▲7七銀を何とかする方針である。7筋からつっかけていって目論見通り二枚換えとなった。

 ここよね。次の後悔ポイントである。
脳内では△6六歩、△9四角、△5筋に香車を打つ。という三択であったけれども、その中で一番あやしいほうに行ってしまったらしい。△5二香車▲5五歩とされていったい何をやっているんだろうか。

ここでもう一案の△9四角を繰り出すも、じっと▲2四歩とされて速度計算の勝負を挑まれる。

単純な読みで同歩同飛車を読んでいたがそんなことはない。▲7四歩が真の目的。その後の▲2二歩からの桂馬が早い。△5二香車が祟っている形なのである。その後進んで以下の図である。

▲2一との形ですぐにどうとなるわけではないと言い聞かせて開き直る。ここで最後のあがきである。△8九馬。下段に落とせ、というやつである。

そして見た目はチャンスのありそうな形となって。あとは開き直りである。こまちさんの寄せがどうなるかである。

本譜はここから金の頭に歩を叩く▲3三歩から。これは放置すると脳内ではつんでいるためとる。その後の▲7五角が絶品のつめろ。受けづらいことこの上ない。

△5三歩が効けばいいのだけれども、▲2三桂馬などでだめ。相手は恐れず詰めろをかけ続ければいいターンである。やむをえなく△6四金と投入するもこれでは攻め味がなくなってしまった。

 局面はすすみ、▲3三歩の叩きに、開き直って逃げ道確保の△5五香車である。
 ネタバレをすると、こののち、後手は詰む。悪夢のような詰みであった。

こちらは気合のノータイム受け。この時点で、これでしのぎ切ったと思うも、次の手が本格的にやばく(語彙力)、▲6三龍は1mmも考えなかった。

こちらの逃げの方針であるが、5三の地点に銀が効いているのでその筋の角打ちは避けないといけない。いわゆる筋違いに逃げていけばよろしいだろう、ということで、あとはなるべく後に影響を残さなそうな相手の駒はとらずに川島さんである。次の手も強烈で▲9五金なのだが、これも取れない。金持ちの暴力を喰らっている。ここらへん、詰まさないでも勝てるかもしれないけれども、詰ませるところでは詰ましに来るというA2在籍の意地を感じた。

 ただここまで逃げて間違えずに寄せ切られた部分としては悔いは残らない。前対局よりかは爽快であった。これで星は黒二つ。0-2であり未来が予測できそうである。
 やはりA2そう簡単には負けてくれないし油断すらしてくれない。ただこうなったらあきらめて存分に戦うのみである。(了)

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