観戦記者:八木㉑ #指す将順位戦7th B級2組 よさんvsやきそばさん戦観戦記

 本記事は対局者の よ さんより最終戦の気合も含めて観戦記執筆の依頼があり書かせていただくこととなった。また同時に対局相手のやきそばさんの了解もいただき、久しぶりの依頼観戦記となった。これはありがたいことである。記念になりうるものとして認知されてきたこと、観戦記記者の冥利に尽きるものである。
 冥利に尽きる とは 溢れるくらいの恩恵を受け、ときに使用する言葉であり、無駄遣いすると冥利 つきるときもあるそうです。ちなみにミョウガが好きです。

 対局者の よ さんは指す将順位戦初参加である。対局当時6勝4敗であり、トップ2名の高さはるかにするも、星取の関係では上入れ替え戦が確定したのだかしてないのだか、というところである。
 一方のやきそばさんは本観戦記に登場しているとおりであり、指す将順位戦の運営でもある。当時の星取は4勝6敗。B級2組は下位の前回順位が高いことにより、下の入れ替え-降級ラインがとてつもなく競っている。ここは一つでも勝ち星が欲しいところである。2勝の差で上に行くか下に行くか、これすなわち峠である(峠ではない)。

対局者の心境如何ばかりや

対局開始

 定刻通り20時に開始された。同時刻には、同じくB級2組のしまのばさんーひぐらしさんの対局が行われおり、こちらは下位を争う意味での鬼勝負である。鬼勝負だらけである。少しくらい時間をずらしてくれればいいのに、これは記者の独り言であるが、いずれも推しと推しの対局なので、ここはあくまで割り切って考えることとする。先手やきそばさんー後手 よ さんである。

急戦、それは昨日見た光

 先手のやきそばさんは自身の降級可能性を掛けた一戦に自身の宝刀、三間飛車を構える。後手のよさんはそれにこたうるべく急戦策に構える(はずである)。記者は詳しくないのであるけれども、△6四歩は桂馬跳ねてそのままつっかけてくるとどこかで読んだ覚えがある。

 ここで後手は急戦にするかどうかを決める時ですね、これは控室の識者。なるほど。ここまでの持ち時間、先手は13分44秒、後手は10分50秒。先手は通いなれた道、という印象を記者は受けた。

一方そのころ…

先手の消費時間 11:09 後手の消費時間13:23 

 記者はニヤッとした。

後手は持久戦策をとる

米長玉とは言いたくない

 後手は左美濃→端玉銀冠の構え。先手はこの後、真部流に合流するはずである、俺は詳しいんだ。まなべさん控室にいるときの真部流なので、記者はまたもやニヤッとした。

 先手はここまで組めたらある程度の満足であるはずなので、堂々とつっかけていく。後手がどのように対応していくかが見どころである。後手は飛車を中央に配置しとことん受け止める様子である。△5二飛車。先手はその隙を狙うべく▲7五歩とカツラの頭をいじめに行く。これを同歩とするならば、▲5四歩として、歩を抱き、▲7四歩とたたきつける読みであろう。後手はそんなのをやすやす受けてはいられない。△6五歩としてプレッシャーを掛けに行く。

三歩向き合ったら初段とか何とか。

▲7四歩には△6六歩と取りこんで、桂馬とられるよりかは、歩成が厳しいやろう、という読み。先手は▲5四歩△同銀▲6五歩と大決戦である。

はげしい

 ここでの△7七角成は振り飛車の命が跳ね上がるのでほっておきたい。先手の飛車の位置をどこにすればよいのかわからない部分であり、後手に歩がもう少しあれば△5七歩→△5五歩、または△5六歩→△5五歩として、桂馬を跳ねる隙をうかがう手もあったかもしれないけれども、これは難しいところである。ただ、打診の△5七歩は打ちたいところである。先手は角を換わり捌いて▲5七飛車と手を戻す。

 本譜は△6六角であったけれども、他の手としては単純に△6五桂馬とする手もあるかもしれない。これも叩いた価値があろうというもの。後手の6六角には、飛車角交換するなら堅陣はのこる、と先手は攻めの形を作っていく。

 同飛車には▲6四角→▲4二角成→▲5三金のコンビが見えてしまったか。△同金として、▲5五歩にこれは銀をよけておく。△6五銀。桂馬がはねられなくなった部分で若干の焦りが生じていただろうか。▲7四歩としておく。

もうそろそろ反撃したい

 これをはいはいと△同銀ととると▲6七飛車が軽妙に見えた。そこで飛車角交換をして△7九飛車と置く。

先手も堅陣、後手の玉も遠い

 先手は▲7三歩成としてと金を作る。記者だったら後先考えずに同飛車成である。良いのかどうかはしらない。本譜は△8九飛車成として如何に攻めかからんということであるけれども、先手のここから先の勢いがすごかった。お互いすでに秒読みである。

先手の猛攻、濃厚ソース味

 まずは▲3一角を打ち込み、これはすぐにつかまりそうな角であるので、△3二金として、はてな?と思っておるけれども、次の先手の手が鮮烈であった。▲6二と、がそれである。

 同飛車はカクナリであるので、そのほかでは△4二飛車であるけれども、これも勢いが怪しい。△3一金として、▲5二と、に後手は秒読みのさなか自らの読みに深く沈みたかっただろう。この5二とを取ると▲6一飛車として両取りヘップバーンである。

 そこで後手は攻め合いを選択する。

とられそうな瞬間が一番輝く

 ここで先手は勢いでは▲5一飛車や▲5三となどとしたくなるところ、負ける時にも後悔はしたくない対局なはずであるので、面倒を見る。
 ▲4八に銀を引く。△6七に角を打ち、2枚取ろうとする、▲金をよけておく。

 後手はこれ以上すぐに迫る手立てはなさそうであるので落ち着いて手を戻すのもあったかもしれない。△5二金である。ただ攻めに勝機を求めた。△5八角成。先手落ち着いて▲5三とである。

 秒読みであるが故、後手玉は遠く安泰に見えてしまう。後手は4八に駒の利きを外せばよいので、△4六桂馬と激しく行ったのであるが、この時の先手は冷静であった。また、次の手が厳しかった。

▲6二飛車。

 みなさまは詰めチャレをご存じだろうか、やけに囲いの硬い王様を攻めなければいけないときに、飛車を打ってみるとなんと相手に合いごまがない状態になることである。ちょっと似ている。△3二銀や3二金は▲4三とがあるため、一手一手とみたか、後手玉は小瓶に活路を求めるも、端玉には端歩。▲1五歩である。

 △同歩に▲1四歩として△同銀に▲2六桂馬が寄せの手筋。このまま受けてはいられないので△5七歩成とするも、▲1五香車が強烈である。記者は見えなかった。

これは取れない。そして詰めろである。

この後、△2五歩と空気穴をあけるも、▲1四香車△2四玉に▲3五角などされたらキレッキレであると認めざるを得ないであろう。

このあとピッタリ駒が足りる

以下進んで、後手の投了となった。(ネタバレ)

歩が足りるんだよ

 駒が足りない場合は、先手玉も風前の灯火であったので、これは薄氷の戦いであったかと思われる。良い勝負でありました。
 一方その頃、しまのばさんーひぐらしさん戦はしまのばさんの勝ちが決まり、4勝7敗が大量発生している。記事を書いているこの後、11/09 21時からB級2組のラス前の対局が予定されておりさらなる4勝7敗を生むか注目必至である。(了)

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