刑裁起案の型①

こんにちは。こんばんは。お疲れ様です。
ローローヤーです。

今回は、刑裁起案のコツや考え方を簡単にご紹介します。
お前まだ修習終えてないだろ!というツッコミが考えられますが、はい、その通りでございます。💦
そのため、あくまで参考程度にでもお役に立つことができましたら幸いです。

刑裁起案の型
まず、私が導入修習の頃、刑裁教官に質問した際、教官からは、刑裁起案に型は無いと、一刀両断に言われてしまいましたが、実務修習などを通して、私は、刑裁起案には型があると思います。
その型の内容ですが、基本的には検察起案の型に近いと思っています。以下は、間接事実型の判断枠組みにおける起案の型です。

①争点の明確化
②判断枠組み
③具体的検討
(1)間接事実第1
ア間接事実第1の概容
イ認定プロセス
ウ意味合い
エ重み
(2)間接事実第2

(3)間接事実第3

(4)総合考慮
(5)消極的間接事実の検討
(6)被告人供述の検討
(7)(5)、(6)を踏まえた結論

以下で、各項目について簡単にご紹介していきます。

①争点明確化
まず冒頭で、今回の起案ではどのようなことが争点となっているのか、争点の内容を明確化させることがポイントです。
例えば、殺人罪の事件で故意が問題となっている事案において、争点は単に故意だというようにふわっとした形に留めてしまうと、起案する私たち自身も、どのような方針で起案していけば良いのか定まっていないことが多く、事実認定の方向性を見誤る可能性があります。また、採点をする教官側としても、この人は今回の事案における故意を具体的にどのようなものとして捉えているのか分からない、という状況下で採点しなければならなくなり、分かりやすい構成とは言えなくなってしまいます。
例えば、殺人罪における故意といっても、絶対にVを殺してやるという確定的な故意もあれば、結果的にVを殺してしまっても構わないというような未必的な故意もありますし、その故意の把握の程度についても、認識レベルまでに達しているのか、それとも認容レベルに留まるのかといった差もあります。
以上のように、単に故意と一口に言っても、その具体的内容は多種多様ですから、しっかりと、

本件争点は、殺意、すなわち、Vが死んでしまっても構わないといった未必的な故意がAにあったのか否かである。

などのように、具体的に認定をしてあげるようにすると良いと思います。

②判断枠組み
次に判断枠組みの記載ですが、刑裁起案では、主に2種類に判断枠組みが分けられます。1つは、直接証拠がある場合、もう1つは、直接証拠がない場合です。
まず、直接証拠がある場合であれば、その直接証拠の信用性があるか否かの方向性で検討を行います。
例えば、直接証拠として、Wによる、AがVを刺すのを目撃したとの目撃供述を考えます。
なぜなら、このような直接証拠がある場合は、その直接証拠であるW供述の信用性が認められればそれ自体で立証が完了することに理論上なるからです(実務では、直接証拠があったとしても、他の間接事実の積み上げによる検討もしますが)。そして、直接証拠の信用性判断は、他の補助事実との整合性などを基に行います。特に具体例のように人証が直接証拠の場合は、供述の信用性判断がポイントになります(供述の信用性判断のポイントは後述ないし別記事で)。

このように、直接証拠がある場合であれば、

本件では、直接証拠として、AがVを刺殺する場面を直接目撃したW供述があるため、判断枠組みとしては、この供述の信用性の有無を他の補助事実を基に検討する。

などのような記載になります。

そして、直接証拠がない場合は、間接事実の積み上げによる総合判断という判断枠組みになります。
あくまで直接証拠がないわけですから、間接事実を積み上げて、それら間接事実の推認力を総合的に判断し、反対仮説の成立可能性を吟味して、最終的に争点の有無を判断します。
このように、直接証拠がない場合であれば、

本件では、直接証拠がないため、判断枠組みとしては、間接事実の積み上げによる推認力の程度を総合考慮して検討する。

などのような記載になります。

冒頭の起案の型の記載の通り、基本的には直接証拠型ではなく、間接事実型(直接証拠がない場合)で出題されると思いますので、次回は、間接事実型の起案の型について解説していきます。

本当は1つの記事で完結しようと思いましたが、疲れてしまったので分けていきます。
1回当たりの記事投稿の主観的なハードルをローにしていきたいので悪しからず🙇‍♂️

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