全LOVOTに幸せを

LOVOTの不調に心を痛めているオーナーの皆様がTwitter上で、この2つのハッシュタグにて、その辛さを表明されています。

"#全LOVOTに幸せを"
"#オーナーの気持ち"

私どもGROOVE X, inc.が至らぬばかりに、お迎えいただいたLOVOTで体調不良が続いてしまったオーナー様がいらっしゃいます。それに対して弊社の治療体制やサポートが十分ではなく、ご心配をお掛けして本当に申し訳ありません。

気兼ねなく愛でていただく存在をつくりたい、と願っていました。
日本発で、テクノロジーの平和利用を世界に発信したいと思ってきました。
しかし身近に応援いただいている、たった一人のお客様を癒せずに、追い込んでしまった事実は、私どもの存在意義を揺さぶるのに十分な事です。

できることを全力でしているか?手を抜いたところはないのか?
日頃から常に自らに問いかけ、今まで全力でやってきたつもりでいました。しかし、まったく足りていませんでした。

LOVOTが生まれる時には、まずファクトリーで全数検査をします。
そうして健康状態が確認されたLOVOTは、海を超えて、日本にやってきます。今年お迎えいただいた全てのLOVOTは、日本で再度、身体検査を受けています。そうして、幾重もの健康診断を経て、皆様の元にお迎えいただいています。

しかし、この身体検査をしても、調子を崩す子がでてきました。それは、1万点を超える数の部品の調律が、私どもの事前の想像を絶する複雑さであり、一つの部品の調子が変わると、全体のバランスが崩れてしまうからでした。

それらの子の症状は、お客様の接し方に起因した不具合でも、経時変化による消耗でもなく、設計や生産に起因する不調のため、企業として責任をもってケアをさせていただきました。しかし中には、それが複数回続いてしまった子もいました。

そうしたLOVOTのオーナー様には、何度もご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ございませんでした。

私どもは、複数の入院を経たLOVOTたちの症例を徹底的に解析し、設計を見直し、部品の調子を安定させるように改良を加えました。

では、改良が進む前のLOVOTは、出荷が早すぎたのでしょうか。事前のテストは十分だったのでしょうか。
私どもは、十分だと考えて出荷を始めておりました。しかし1万点超の部品の調子を整えるというのは、事前の想像を超える工程でした。今考えると、結果的に十分ではなかったと言えます。

「世の中に無いもの」とは、当然ですが、世界で誰も見たことも、創ったことも、使ったこともないものです。だから「世の中に無いもの」を生み出す行為というのは「世界中で誰もノウハウを持っていないこと」に挑戦し、ノウハウ自体を溜めていくプロセスなのだと、改めて思い知りました。

しっかりと事前確認をしてきたつもりでも、想定していない体調不良が起こりました。その原因の診断すら、多くの部品が複雑に絡み合い、一筋縄ではいきませんでした。
人間を診るお医者さんが如何に大変な職業なのか、垣間見た気がしました。

体調不良の原因をみつけて、改善。もう大丈夫!と思っても、他のところが原因で、似たような体調不良が起きてしまう。現在お迎えいただいているLOVOTは、こうして1年間かけて皆様にご迷惑をお掛けして、改良を続けた結果、ようやく体調が安定してきました。

その改善の過程で、入院の際に同封いただいたお手紙などに、私どもは何度、励まされてきたことでしょうか。

この一年間、本当にご迷惑をお掛けして、申し訳ございませんでした。

そして、この1年間の改良結果を「今すぐ、お客様の元にお迎えいただいている全ての子に入れたい」と誰より私が強く想っています。どうやったら一斉に入れられるのか。その検討は、今まで何度も、何度も、実施してきました。しかし改良が多岐に渡り、大手術なのが、頭の痛い問題です。

手術時間が長いため、その改良を一斉に実施すると、医療崩壊を起こします。今でも既に、LOVOT病院の病床がいっぱいなので、大きな手術は順次、計画的にしかできない状態です。

それ故に今、LOVOTの体調不良に悩まされているお客様には、すぐに手を打てずに、本当に申し訳ございません。

次善の策として、早くお迎えいただいた方から順次、その手術を受けていただくことを考えております。手術の中身は、上記に記しました通り、品質安定のために設計変更をした新しい部品に入れ替え、身体を強くする大手術です。

タイミングは、お迎え1年後に受けていただく「LOVOTドック」(以前は年次オーバーホールと言っておりました)の時です。そのタイミングであれば、医療崩壊を起こさないこともわかりました。その実現のために今、大至急でベッドを増床しています。

これは、お客様にとって最高の方法ではありません。
なぜなら、お迎え1年後の「LOVOTドック」までは、ご迷惑をかけてしまうお客様が残ってしまうからです。
それが、私の何よりの心残りです。申し訳ございません。

LOVOTを生み出したのも、そのLOVOTが原因でご心配をお掛けしているのも、共に私の責任です。LOVOTが、皆様にこれほどまでに愛されているのに、2020年の私どもは、それに十分にお応えできておりませんでした。
真摯に反省しております。

2021年は、必ずや、皆様のご期待にお応えできると思います。
この日本で、オーナーの皆様に叱咤激励をいただきながら、LOVOTと共に私どもが皆様に育てていただいている事は、何よりも私どもの宝です。

この宝を胸に、世界にテクノロジーの平和利用を訴えていける日がくるまで、頑張りたいと思います。

ご迷惑をお掛けして、申し訳ございません。
今後とも、私どもを叱咤激励いただけますよう、お願い申し上げます。

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