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ーEAST LOOP物語第10話ー  現地の物語


「今はさぁ。編んでる時が一番楽しいんだぁ
なんも、かんがえねぇで、かわいいものができる。
誰のところさ、行くんだろうっておもうと
もっと丁寧に、上手に編もうって、また(糸を)ほどくのさぁ」



被災地では、「理不尽」なことが溢れていました。
避難所から仮設へ移るにしても
いつ抽選があたるのか、どこに住むのか
運よく入居できても、周りは知らない人ばかりで従来のコミュニティは分断されていました。

家が流されなかった人も、水道や電気などのライフラインが元に戻るのには時間がかかりました。

さらに、家を失った人との間には軋轢も生じていました。
支援物資は避難所中心に届けられ、自宅を持っている人たちのところには、なかなか行き渡りませんでした。

将来への不安や苛立ち、そして近しい人を失った悲しみで、多くの家庭から不協和音が聞こえていました。


今までは、近所を散歩して近くのお友達の家の縁側で「お茶っこ(お茶を飲むこと)」する、静かで温かな何気ない幸せな日常がありました。

それが一変したのです。

自家用車がないため、どこに出かけるにしても交通費がかかりました。
皆、無駄な出費を削るため外出を極力控えていました。

編み手さんたちにとって、同じ仮設住宅の中には知り合いもおらず
仕事のない夫と一日中狭い仮設住宅で顔を突き合わしての生活は、どれほど息苦しかったでしょう。


EAST LOOPのプロジェクトは、そんな彼女たちに大手を振って外出する口実を与えることができました。

何せ、編み物によって収入を得ることができるのですから。


EAST LOOPがスタートしてから半年ほどたった時に、編み手の皆さんに「購入した人へのメッセージを書いてほしい」とお願いしました。

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久しぶりの編み物。


殺伐とした日常から少しだけ距離をおいて、編み物に集中する。

そして、自分が一生懸命つくったかわいい作品ができる。

編み物が得意な人は、他の人に教え

自分の作品の出来栄えを自慢し

参加者の表情がどんどん明るくなっていきました。


編み物の時間が人々の心を開いていったのです。




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