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―EASTLOOP物語 第7話―「かわいい!!!!」

何とか現地の生産体制の目途が立ちましたが、肝心の商品が決まっていませんでした。

復興には相当の時間がかかることは現地の状況をみていて明らかで

その為には、より長く売れる商品の開発が必要でした。

ぼんやりとしたイメージは
誰もが復興支援に協力しているよというシンボリックな「赤い羽根」のようなブローチとか?



以前から気になっていた方がいました。NHKの「すてきにハンドメイド」でも活躍されているデザイナーの岩切エミ先生

編み物はどちらかというと、「甘い」印象のモノが多いのですが、岩切先生の作品は少し違っていました。
洗練され、普段の生活の中でも輝くようなものがたくさんあり、独特のセンスに魅了されていました。


でも、知り合いでもないし・・・。


ぼんやり岩切先生のHPを見ていると
なんと、来週から大阪でイベントを開催するというインフォメーションが掲載されていたのです。
それならば、会ってお願いするだけしてみよう
HPの問い合わせページからメッセージを送り、お話しを聞いていただけることになりました。




「なるほど、その考え方は素敵ですね。編み物で被災した人たちが元気になるし、
編み物は自分のペースでできますからね」

カフェでプロジェクトの構想をお伝えしたら、ありがたいことにすぐに賛同してくれました。

やったー!
と心の中でガッツポーズをしたのですが

しかし、私にはもう一つお願いしなければいけないことがありました。
それは「納期」でした。

本来であれば、商品が完成してから取り組む営業活動ですが
とにかく早く、できれば大々的にデビューさせたい
賛同してくれそうな方にプロジェクトの概要だけをお伝えして、すでに営業をスタートしていたのでした。

そして、幸いにして大阪髙島屋の部長にすでにアポイントが1週間後にとれていたのです。

この方は私たちのフェアトレードの取り組みにも興味を持ってくれていて、
この震災復興プロジェクトについても、きっと社内で推進してくださるであろう大切な方でした。
ならばせっかくのタイミングに、せめて商品の概要だけでもお伝えしたいと思っていたのでした。



「いいですよ。デザイン考えてみましょう」

にこりと微笑んでお引き受けいただいただいた直後に
私が小さな声で


「岩切先生…申し上げにくいのですが、1週間の納期で仕上げていただきたいのです


「はっ???? 
私の大阪出張イベントの最中にデザインを完成させろということ」


――しばし、沈黙―――

小声で
「はい。そういうことです」


どう考えてもひどい話です。
初対面でいきなりデザインを頼まれ、しかも出張の最中の1週間で作れというのだから


「わかりました。やってみましょう」

あきれたような苦笑いをしながら、岩切先生は承諾してくださったのでした。


「わたしも、被災した人のために何かしたいと思っていましたから」



そして、1週間後に岩切先生から届いたものは
大切な大切な贈り物のように包まれた、カラフルなハートたちだったのでした。

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遠野での出会い
岩切先生との出会い

こんな短時間で、しかも初対面の方たちと
想いを同じくしてプロジェクトは進んでいきました。

奇跡以外の何物でもありませんでした。


二度ほどご縁があっただけなのですが、ロゴはこの方にどうしてもお願いしたいと
サンフランシスコ近代美術館パーマネントコレクションほか国内外で多数受賞されているアートディレクターの佐藤直樹氏に、ブランド名、ロゴ、タグ、台紙を作っていただきました。


ブランド名はEAST LOOP
東日本大震災の東 EAST
そして一方通行の支援ではなくて、心が循環するような意味を込めて LOOPが加えられました。


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循環する無限大のカタチに、心を紡いでいく糸が縦のラインとして入っています。

シンプルで、私たちの想いがつまった力強いロゴが完成しました。


パッケージの裏面には、東北エリアの地図とニックネームを書くスペースを作りました。

商品ではなく、作家名が記載された「作品」という位置づけにすることで、作った人の尊厳を大切にしたいと思ったからです。

ほかにも、デザイナー、パッケージアドバイザー、カメラマンなどなど多くの方の愛と協力を得て
EAST LOOPが誕生しました。

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