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懐かしい友達は結婚してたの。

弟のような男?

もう何年も会ってはいないのだけど、
ふと思い出してね。


浅黒く筋肉質でずんぐりとした身体と
それに似合わない歯並びの良さを持つ男。

あの歯はきっと小石くらいなら
平気で噛み砕いちゃうわよ。

あたしたちの出逢いは...思い出せないの。

何がきっかけで
出逢い仲良くなったのかは覚えてないのだけど、
あたしたちは馬が合うのか
当時はよく連んでいたわね。

「サラダバーのあるお店に行きたいんです、俺。」

サラダ以外はほとんど口にしないのよ。
骨つきの肉にかぶりつくようの容姿なのにな。

人は見た目だけでは
おおよそわからないわ。

ほんと、宇宙は謎だらけよ。

気のいい男だったのよ。
いつも人のことを心配してたわ。

色っぽいことには
何にもならなかったの。

あたしにとって
とても珍しいことなのだけど、

なんて言ったらいいのかしら、
ずっと「弟」でいて欲しかったのかしらね、あたし。

時間はあたしたちの間に入り込み
すっかりとお互い忘れてしまっていたわね。

今はなんて便利な時代なの?
snsなんてものが
あたしの知らなかった時間を簡単に埋めてくれたわ。


数年ぶりに見た男は
なんとも美しい女性と同じ苗字になっていた。

優しくしっかり者の美しい女性と
良くも悪くも少年のままの男と

とてもお似合いな二人なの。

幸せで良かったよ。

遠い異国の空の下、
今も不釣り合いなほど綺麗な歯を見せて
笑っているのだろうな。

おめでとう。
弟みたいな男。


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