「お洒落番長は目がラインストーンのアニマルTシャツでさえ御方(みかた)につける。」
〜あたし、
お洒落な女に憧れてる53歳小太りです。
「そのうちデザイナーになってパリコレ出るから〜」
そんなことを言っては
いつかその日のために作ったサインを
友達のノートやら何やらに
許可もなく書き散らかしていたあの頃、
ティーンエイジャーはそんな夢が
ほんとに叶うと信じて疑わなかったの。
あたし、お洒落だと思ってた。
学校の中では15番目くらいにね。
微妙だなんて誰が言った?
あたしの学校はマンモス校なんでんす。
同級生は477人、12組まであるのだもの、
その中の15番目は中々なものよね?
進路を決めるときも
デザイナーになるか吉本に行くかで悩んだのだもの。
あたし、実は一年だけデザインの学校に通ってたことあるのよ。
その時代はDCブランドブームでね、
KENZO、Yoji Yamamoto、JUNKO SHIMADA
ISSEI MIYAKEに、COMME des GARCONS、
KOSHINO三姉妹に山本寛斎と、
日本のデザイナーも沢山
パリコレ何かのメジャーなファッションショーに名前を連ねていたわ。
〜あたしもそこへ!
「Yurie Susami パリコレ進出!」
....なんて、本氣で夢見たもんだわ。
可愛いわ、可愛いの、可愛らしかったのよ、
あたし。
そんで、少しだけデザインの学校に行ってみたのよ。
〜尼崎のお洒落番長、デザイン学校で大暴れ!
ええ、暴れたわ。
だって、入学して1週間も経たないうちに
同じクラスに恋人を作っちゃってさ、
課題をやるふりして、
友達の下宿でエッチなことシコタマしてたものね。
デザイン学校て課題、すんごいのよ。
容赦ないわ。
寝てる暇なんて無いからな。
サロメチールを目の下に塗って
皆んながんばるのよ。
サロメの力にも打ち勝つほど
瞼は重くなって、
気がつきゃミシン台の上で
ちょっとじゃない量のヨダレ垂らして寝こけてたりね。
あたしはエッチなことばかり考えてる
不真面目な生徒だったけど、
学校には出来る限り行ってた。
面白いのよ、あの人たち。
個性的って言葉は彼等のためにあるのだと思うわ。
そんな彼等の白熱するパッション、
個性と個性のぶつかり稽古を見ながら
あたしは彼と夜のぶつかり稽古....すいません。
あ、そうそう、
モスバーガーを初めて食べたのもその頃だったわ。
とんだ田舎っぺだったわ。
年に数回催される学年のファッションショー、
あたしはいつも完成しないままの服を着て
堂々とランウェイを歩いてた。
魅せ方だけは得意だったの。
そのうち、
小さな芸能プロダクションに入ることになって
学校は辞めちゃったのよ。
皆んな好きだったな。
ええ、友達と呼べるわ。
あそこに通わなきゃ会えなかったんだもんね。
そして時を経て大人になったある日、
「何故そのトップスにそのスカート合わせたの?」と誰かに言われたりすることがしばしばあって、
あたしの中にある疑念がわいて出た。
「あれ?あたし、そんなにお洒落じゃないの?」
そして、
信頼できる第三者機関に聞いてみたわ。
その解答がこちらだ!
「時々は間違う。」
.…優しいわね、第三者機関。
〜時々は間違う。
この言葉が宙を舞うわ、ららら〜♪
そおね、思いっきり井の中の蛙だったわ。
尼崎市の小さな村の中でだけ、
あたしのセンスは認められたのねぇ....
それからあたしのお洋服選びは
〜人をビックリさせないお洋服〜
をコンセプトの元に選ばれるようになったのよ。
あたしのお洋服にワンピースが多いのは
完全にそのせいよ。
ううん、
コーディネートなんかしないわよ。
色も、
黒、ネイビー、ベージュから流しているわ。
けんど、歳を重ねて最近では、
カラフルな物も素敵なのかもと思っています。
何処かの誰かさま、
あたしと一緒にお買い物にゆきませんか?
草間彌生ばりの水玉のワンピースでも買おうかしら?
花柄のスパッツにヒョウの顔のTシャツをも
着こなして見せましょうぞ!
もちろん、
ヒョウの目はラインストーンよ、奥さま!
嗚呼、お洒落になりたいっっっっ!
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