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「深い夜は近未来に繋がっている。」

For the dream of yesterday is the hope of today and the reality of tomorrow.
〜昨日の夢は今日の希望であり、
                     明日の現実である。〜
〜Robert Francis Goddard〜



〜夢...なのか、
はたまた、夜のしじまで見た現実なのか...


歳とるとトイレ、近くなるよね。
夜中に起きちまう時があるわ。

今日も今日とて夜中のトイレ、
半分寝ながら階段を降りるの。

ええ、慣れたもんよ、もう。


でも過信はいけねぇわね。
先日、駅の階段を何段か滑っり落ちたばかりの
あたしだものね。


駅の階段て時々難しくない?

なんつーか、滑り止めみたいなの
付いてる段と、付いてない段があるやん?

あれをガイドに降りてるのにさ、
無けりゃ何処までが段だかわからんもんね。

二、三段は滑って当然だわな、あたしの場合。



・・・んで、昨日の明け方の話しな。




起きてる、確かに起きてた。
オシッコして2階に上がってきてそのままベッドに潜り込んで...と、、

寝ようと思って軽く目を閉じた。


何か見えてくる。


想像とか、空想とかの世界とは違う、
んー云うなれば"勝手に脳に飛び込んでくる映像"みたいなモン。


わりと小さい頃から体験していて
知らない場所
知らない街
知らない人
そんなのが一方的に見えてくる。


特別エグい映像とかではなくて
極々日常の風景で、
見たことのない場所を、さも知ってるかのように歩いているあたしの視界。



そう、そんで、昨日のソレの話し〜





〜それはアパートの様なところの内側、
扉を開けるシーンから始まる。

きっと、玄関のチャイムがなったんやろな。
「はーい」みたいな感じ。

小走りで玄関へ、
んで、扉を開く。


そこには何ともチャーミングな女の子、
歳は17、8歳ってとこ。

オレンジに近い赤い髪をしている。
服装はショートパンツ。

瞬間で感じとれるのは何かと闘っているような
雰囲気の服装で、
特に怪我などしてる様子はなく
ただそこにしゃがみ込んでいるのよ。

違和感があるのは
デジタルと生身の中間くらいの粒子ってのか、
何だかアニメに出てくる女の子のみたいなの。

生身っちゃー生身にも見えるし、
映像っちゃー映像にも見える。   


彼女はしゃがみながらあたしをじっと見て、
何か黒い封筒を差し出してきたの。


「あ、ダメや。」


あたしの第六感が目を覚ます。


「それは受け取るな」と
あたしがあたしに云う。


思わず扉をパタンと......閉めちった、あたし。



夢...じゃぁないのよ。

さっきも説明した
"勝手に脳に飛び込んでくる映像"

何かがアクセスしてくる瞬間があるのよね。




その後、腹ン中が何だかモヤつき始めてさ、
"なんやなんやー?"ってなったわ。


そのまままた目を閉じる。


また強制的に映像が送られてくる。


どこかの街、
路地裏を抜けて
海だか川だかの横に出る。

右に水の気配がする。
左はコンクリートの防波堤の様な感じ、
少し苔が生えていたのか緑っぽく汚れたラインが付いている。

そこからシーンは変わり
大通りに出る。

繁華街だが落ち着いた街だ。
どことなく少し高級な雰囲気。

通りの向こうには
緑の屋根の店と赤い屋根の店が並んで建っているそんな場所。



・・・と、そんな映像を観ながら
知らないうちに眠りについていた。


小一時間ほど眠って目が覚める。

一度でも目が覚めると
小刻みにしか眠れないのは老化のせいなのかしら?


横を見るとボンが
莫迦みたいに口を開けて眠っている。

あたしは、ホッとして
ボンにすり寄り目を閉じた。


起きてからボンにその話しをしたのよ。

そしたらボン、
「封筒の色、なんだった?」
なんて聞くのよ。

あたしが黒だと答えると、
「受け取らなくてよかったね。」だってさ。


ボンも時々は不思議。

本人の自覚は無いのだろうけどね。


あたし、思うのだけど
あれは未来から来た使者だったのかもね。

でも、あたしに助けて欲しくて現れたって感じじゃなかったのよね。


たぶんね、
たぶんだけどね、

開ける扉・・・間違えたんやないやろか?


例えば1105のお部屋を開けちまったけど
本当は下の階の1005に届けたかったんだわ。

きっと今頃、
「あーー、一階間違えてたわーーー!」
って、なってると思う。


〜未来から来たであろう、赤い髪の女の子、
ちゃんと封筒を届けられたかしら?

「近未来赤毛のアン」の物語りは
ここから始まるのね、きっと。


彼女が任務を遂行して
無事に近未来へ戻れますように。

そして、彼女のいる未来が幸せな場所でありますようにと願わずにはいられない、
そんな深い夜の出来事です。







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