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「いつもは勝つけど たまに負けるのは悪くない。」その5.


高熱が全てをぶっ壊してから
今日で2週間、

完全復活にはまだ少しかかるかしら。


再生のための破壊....
今回は凄まじかったわ。


破壊の後の揺り戻しは
あたしの中の感情を逆流させた。

あ、でも何故か逆流性食道炎は治ったの。
宇宙は謎だらけよねぇ。



心....
身体の修繕より
むしろその方がしんどいな。

心が戻って来なかったのよ。

そう、戻らないの。


これまでのあたしの感情の波は
中々ビッグウェーブなのよね。

泣いたり
ワロたり
落ち込んだかと思えば
簡単なことでモチベーションが上がる、

忙しいの。


それをさ、表にはあんまり出さないのよ、あたし。

いつも可笑しくしていたいからさ。


だから、あたしの心ン中はいつも葛飾北斎の
「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」みたいになってんのよ。

あれな。
有名な波のやつな。

海外ではThe Great Waveって名前らしいわ。
そのまんまよね、そのまんま。



まあとにかく、人知れず
己の中に波風立てて生きてるわけよ。

わざとそうしてるって思う時もあるわ。

波をザッパんザッパんゆわして、
底に沈んだ澱を掬い上げて捨てちまう作戦よ。


そうすると澄んだ水になるのよ。

それでやっとこ落ち着くのね。


やれ、面倒臭い性質だわな。



その波がよ、あんた、

全く動かないのよ。

水面がフラットで凪なのよ。

それが穏やかな凪じゃないの。


そおね、例えるなら
池のよな沼のよな、

ずっとそこにあるままなのよ。


最初は体調のせいかとも思ったのだけんど、
それだけでは無さそう。 


味覚が無いわけでもないのに、
何を食べても旨いと思えない何て

食いしん坊万歳の演者には絶対になれないわね。

〜料理を口に運ぶ。

食べるのではなくて行為という感じだった。


ボンはうんと優しくしようと頑張っていたけど、あたしに笑顔が戻ることはないまま氣がつきゃ10日ほど経っていたの。


その間は
出来るだけ誰とも接点を持たなくてよいようにしたの。

ボンもよ。

可哀想だったけんど、
心にもないこと言っちまいそうで怖かったのよ。


〜美しいものを見
花の匂いを嗅ぎ
喉を通る冷たい水に潤い

美味しいねと分かち合える人が居て、
温かい毛布に包まり抱き合って眠る。

そして、その全てに感謝せずにはいられない....

そんな感情はもう戻らないかもしれないとすら思ったのよ。

幸せだった....いや、違うわね。
ずっと幸せなのに、あたしの心だけが
あの日死んだのよ。

〜続く。

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