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◆作品No.170 映画harmony/-ハーモニー-

🔴作品紹介🔴


放送期
2015年11月13日秋
上映時間 120分

character
▼WHO螺旋監察事務局
霧慧トァン(きりえ):沢城みゆき
オスカー・シュタウフェンベルク(監察官):榊原良子
ウーヴェ・ヴォール(監察官):斧アツシ
▼トァンの友人
御冷ミァハ(みひえ):上田麗奈
零下堂キアン(れいかどう):洲崎綾
▼SEC脳医学研究コンソーシアム
ガブリエル・エーディン:渡辺明乃
▼その他
エリヤ・ヴァシロフ(インターポール捜査官):三木眞一郎
霧慧ヌァザ(トァン父/きりえ):森田順平
冴紀ケイタ(さえき):チョー
御冷レイコ(みひえ):森千晃
アサフ:大塚明夫


主題歌
「Ghost of a smile」- EGOIST


監督
なかむらたかし、マイケル・アリアス
脚本
山本幸治
キャラデザ
redjuice、田中孝弘
アニメーション制作
STUDIO4℃


★あらすじ★
まがいものの天国で、さまよう魂の物語――。アメリカで発生した暴動をきっかけに世界を戦争と未知のウィルスのるつぼに叩き込んだ「大災禍(ザ・メイルストロム)」。政府は弱体化し、やがて、人間こそ最重要の公共リソースであると位置づける高度発達医療社会が立ち上がった。<生府>の成立である。 <生府>により、人々は「健康」と「優しさ」を尊ぶ“生命主義”の名の下に、美しく管理されることになった。人々は、WatchMe(恒常的体内監視システム)を体に埋め込み、あらゆるリスクは遠ざけられた。人々は自らを優しい牢獄へと閉じ込めたのである。霧慧トァンは<生府>の番人であるWHOの螺旋監察官。紛争地域の停戦監視などが仕事だ。だが彼女は、“生命主義”への違和感をぬぐうことができず、WatchMeの裏をかいて、禁止された酒や煙草を嗜んでいた。かつて彼女には友達がいた。御冷ミァハ。成績優秀でありながら、<生府>の管理を憎悪する少女。個人用医療薬精製システム<メディケア>を騙せば世界を転覆させることだってできるとうそぶく歪んだ天真爛漫さ。トァンと零下堂キアンはミァハに心酔していた。「私たちは大人にならないって、一緒に宣言するの」ミァハの導くままに死を試みる2人。そしてミァハだけが死に、トァンとキアンだけがこの牢獄に取り残された。13年が経ち、WHOから母国での謹慎処分を言い渡されたトァンは、善良な市民として暮らすキアンと再会。事件以来、対照的な生き方をしてきたふたり。ミァハ不在の食事は、殊更に彼女の存在を際立たせるものだった。再会の最中、ある犯行グループによって同時に数千人規模の命を奪う事件が発生。キアンもその犠牲となるが、死に際にある言葉を遺した…。犯行声明として発せられた彼らの「宣言」により、世界は「大災禍」以来の恐怖へと叩き落される。それは、平和に慣れすぎた世界に対しての警告であり、死んだはずのミァハの思想そのものだった。トァンはミァハの息遣いを感じながら、事件の真相を求めて立ち上がる。



🔶感想🔶

<評価:S>
視聴2023.12.12

<感想>
あっははっは~むっずwwwww
他の方の感想を見てみると、どうやら原作を頭に入れて見ないと理解は出来ないらしい。(原作見ても理解できるのか?w)
その通りで印象としては掴んだような掴んでないような。頭の悪い私みたいなのはアニメを見ただけでは到底理解できない作品だと言う事はひしひしと感じる。
ではまずざっくりあらすじを!

〝生命主義の名の下に全て生府に管理された世界。主人公のトァンは生府の番人であるWHO螺旋監察官だ。彼女には学生の頃、そんな世界に憎悪を抱いていたミァハとキアンと言う友人がいた。ある日、何者かによって集団自死事件が発生する。トァンはその事件に友人たちの影を感じながら真相を追及する。〟

っと本当にギュッとまとめた感じですw
本作は作家の伊藤計劃さんの小説作品です。伊藤計劃さんの作品は屍者の帝国は見ていますがこの作品は伊藤さんのご友人が続きを作られていると言う事から本来?と言ったら失礼ですが100%伊藤さんの作品で初めての鑑賞となります。
屍者の帝国、ハーモニーに繋がる虐殺器官も同様にテーマとなるのが自我や意識。
これがまた難しい。がっつり哲学なので、無学の自分では表現など出来る訳もなく。。
でも感想は書きたいので頑張ります。笑

人の感情や解らないなりに哲学的な作品が大好物なので評価としてはとても面白かったです!!
物語をぎゅっと纏めると、3つの世界を知った少女とその子に憧れを抱いた少女のお話です。主人公トァンの目線で物語は進み、台詞からこの世界と流れを知るので台詞アニメと言ってもいいです。
理解力が無いので他の方の感想や考察も参考にさせて頂き、まず忘れてしまっていた始まりのシーン。白い鱗のような壁と縦長く白い石碑のようなものは、恐らくコンピューターシステム装置で、最後にトァンがハーモニープログラムを発動させたと思うシーンが出てくるので、意識が消滅した世界になり人々は装置になったのかなと思いました。
そしてあの装置は主人公トァンのもので、トァンの記憶が文字(HTML)として再生される。それを読んでいるまたは見ている構図なのだと思いました。(他の方の感想からHTMLの基礎を知っていると奥深さが感じれるそうですが、私には難し過ぎてキャパオーバーするので、やめときましたw)なので、世界から意識がなくなるまでに何があったのか、トァンが見た物を視聴者も見ると物語。最後トァンの装置にいた少女は一瞬キアンにも見えたが誰だか不明です。

ハーモニーに感じたのは、比較の面白さです。
視聴中は、2つの世界に絞られどちらが人にとって幸せな世界なのかを考えると思っていたが、じっくり考えると上記にも書いたがこの話には世界は3つある。
■1つ目が、生府によって人の健康(病気で死ぬことのない。死を選ぶことは出来ない)と優しさを管理された理想郷(ユートピア)地区世界。生府の基本理念となる【生命主義】の世界。
■2つ目は、生府管理以外の世界。管理されず、今までの世界で無法地帯の反理想郷(デストピア)とされている。
■3つ目は、大きな世界ではないが、ミァハの民族特有の意識を元々持たない自由世界。
この3つの世界をどう捉えるかによって感想も変わり、人による善し悪しになる。なので正解・不正解の話ではないのだ。
生物としては、死なない様にすることが遺伝子レベルで組み込まれているので基本は理想郷がいいと思うが命の保証の代償として個の自由が奪われる。死につながる事は避けられる。例えば肥満など。そして他者を思いやる良い事だが関係ない他人の不幸も自分が背負う。これが「思いやりでじわじわと人を絞め殺す社会、善の牢獄」を指している。これも難しくて他者を思いやる事は良い事だけどそれが義務付けとなると話が別になるのかもしれない。自分が幸せになる事より他者を優先する事が本当に最善なのか?
だが、建前じゃない部分では自分を優先させることはごく自然な事なんじゃないか。
作中このウォッチミーを導入した管理社会が出来てから自傷や自死を選ぶ子供が増えたと言うシーンがある。これも他者を必要以上に思いやる自己犠牲が出来ない事、適応がない自分に落胆し死を選んだり、社会自体への抗いとして自傷したと感じた。舞台は世界であるが人間社会と言うかこの思想が良くも悪くも日本っぽいなとも思う。
自分はこの3つの世界はどれも牢獄でどれがいいはやはり出ない。この3つの世界の良い所を集めた世界がいいな~ww
本作を見ているとそんな古くないけど、今、近年、そしてこれからの未来の事を危惧しているように思える。今後訪れる可能性のある社会を見ているようで本当に恐怖に包み込まれる。得体のしれない恐怖感。怖いものを見たとかじゃなくて不安とかそう言うつかめないものへの恐怖感。凄いね。もう一つこの世界の日本の建物が怖いと言うか気持ち悪いと言うか。人間の血管や脳の伝達経路みたいで。。これは人間の意志が縛られているって部分も表現したいのかなって感じる。

はっとさせられたのが、負の感情こそが意識だと言う事。つまり幸福感はある意味何も考える事が無い。そこに自我は要らないことになる。苦痛や恐怖はいわば人間が避けなければならないもので、回避する為に人や生き物は脳をフル回転して使用していると言う事なのだろう。意識を無くす事は一見いいことに見えるが全てをなくしたことに等しい。感情が善だけになる。これは違を唱えるものがいなくなるのと同じで管理社会が果たしていいのか?病気のない世界が自然なのか?
〝幸せは意識させなく、不幸が意識を生み出す〟
これは面白い比較だと思いました。

最後まで見て感じたのは、これは愛の話。
話の中心となるミァハとトァンの思考。この2人の思いを見る作品でもある。
ミァハが自分の世界以外で、チェチェン紛争においてロシア兵の慰安婦を経験し意識が生まれた。それは苦しみや恐怖、恨みや負の念。そしてその売春宿から救われ優しさの牢獄の日本の世界を経験する。ミァハは全て管理される事は個としての自由が奪われる。だから自分の体は意志は自分の物だと訴えようと自殺を図った。そしてミァハが辿り着いたのが元に戻る事。一度生まれた意識は元に戻る事はなく、理想郷でも反理想郷でもミァハとしては幸せな世界では無い。意志=負の感情ならばそれを無くせばいい。それが出来るのが【ハーモニープログラム】その副作用で得られる意志の消失。そうすれば人は恍惚感に包まれどちらの苦しみからも抜けられる。向こう側に行くと言いているミァハの世界は元の自分の民族の世界だったのだと思う。ミァハはそれを体験しており日本に来てから隣人の少年が自殺した事で、どちらの世界も人間にとって幸せではない答えを出したんだと思う。そしてハーモニープログラムを発動するには管理世界になったきっかけの暴動を起こす事。これがミァハの目的だった。ミァハは憎悪を持っていた全ての世界を愛すことにし、彼女の愛=意志を無くし恍惚を得る事だったんだね。トァンの父ヌァザの研究がこれだったので平和な世界を目指していたけどやぱり人それぞれの考えがあるから割れるんだよね~。難しいよね~。
ここでトァンの事を考えるとトァンは何だったのか?
私の考えとしては、監督であるなかむらたかし氏は2人は恋愛関係にあると感じていた為、それを表現していた。自分もそれを受け取ったのが百合の性シーンが多いのとトァンは妖艶な唯一無二で美しい孤独を保持しているミァハに憧れと恋をしていたんだと感じた。なのでミァハの考えを自分にも反映させていた。ただこれは本心なのかは視聴者もトァン本人も分からない。3人で自殺を図ってミァハが死んだと思っている事から喪失感とミァハの思考を引き継ぐと言うよりそれを無くしたらミァハの存在が自分から無くなる。それを恐れていたようにも思える。そして集団自死事件が起こりミァハの香りが感じられ彼女の存在を再度確認する事にした。アニメでは無い部分で原作ではトァンは父とキアンの仇と憎悪でミァハを追うそうですが、アニメでは一応な仇と愛で追っている。父の事、キアンの事での怒りはあるが、彼女が最後に選んだ道は、自分の思いをミァハにぶつける事。それは、ミァハを殺し(敵討)愛するミァハの願いだったハーモニープログラムを発動させること。そして自分も一緒に行く事。これでトァンの幸せは完成されたのかもしれない。

トァンの心情で好きだったミァハが居なくなったと感じていたように思えてそれは何だったのかと考えた。トァンのカリスマだったミァハは容姿も美しく、孤独で妖艶で全てを知っていて世界を憎んでいた。そんなミァハに恋をしたトァン。ロシアの売春宿で真実を知り世界を恨む事無く愛しているとしって自分の理想のミァハが崩れて行く感覚があったのだろう。だが、誰の事もある意味考えてなく自分の思念を貫くミァハの話を聞いて変わってない事に安堵した。そしてやっぱり自分がミァハを愛していると感じてあの行動に出たのだと自分は感じた。つまりミァハの全世界の人間を博愛する愛とトァンなら理解してくれる自分の側に居てくれると思っているミァハの愛とミァハを愛しているトァンの愛。これがこの作品の答えと思いました。

ちょっと嫌だなと思った事が、戦争での慰安婦的な問題は昨今取り上げられる事で、極限状態であったとしても男・雄は女・雌の事をそこまで酷く扱う事が出来ることに恐怖を感じる。それが自分の娘でもそう思えるかと言いたいが、そんな生死の狭間ではそんな理性など吹っ飛んでいるから片隅にもない。戦争とは人を人でなくする。誰も幸せにならないと改めて感じる。

私の見た放送分には主題歌が無くて他で聴きました。エゴイストの美しい歌声とトァンの切ない気持ちがメロディーと合っていた。
グロテスクな描写があるので苦手な人には刺激が強いかもしれません!!
それだけ作画も美しくリアルで血飛沫なども綺麗でした。(変な表現ですがww)

原作も静かな作品と言う事で工夫と思考を凝らして制作されているのと大きな世界と小さな少女たちの青春の世界の比較も面白い作品です。

<声優及びキャラ>
・声優陣がとても良くて、沢城みゆきさんの力強いトァン。上田麗奈さんのミァハの淡々とした感じも作品の雰囲気にマッチしていて流石だなと思いました。その他にもベテラン声優さんも出ているので安定感が最高です。
・基本3人の少女が中心なので他のキャラが少し印象が弱い。
●キアン:洲崎綾さん演じるトァンとミァンの友人。キアンは一番普通な子でマジョリティの存在として必要だったと思う。そして管理社会の犠牲者で、遣り忘れた友人との約束を13年後にやり遂げると言う結構な重役。そひてトラウマになる存在。視聴者が笑

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