「影裏」ロケ地巡りのたび

「影裏」が好きすぎて盛岡まで行ってきました。

職業柄、GOTOに振り回される日々だったのでGOTOへの苛々はGOTOで晴らそう!という趣旨のもと会社の先輩と旅行を計画していたのですが、私の「行きたいところあるんですけど…ロケ地巡りたくて…岩手県なんですが…」という勢い余りすぎてるオタクの戯言に「いいよ!行こうよ!」と即答してくれたまじでフットワーク軽すぎる先輩がお付き合いくださいました。しかも行く前に私が貸したブルーレイとプレゼンメモを見てくれた。優しすぎる。

そんなわけで、「影裏 ロケ地マップ」なるものをネットの海から見つけ出し、それをもとに行程表作って旅立ちました。福岡から岩手へ!

1日目。直行便が14時にしか着かないので遅めスタート。

まずは「喫茶 BASIE」へ向かいました。

映画のBASIEでのシーンは大好きなシーン。煙草を吸う日浅の色気、日浅を見る今野の乙女みたいにきらきらした瞳、リズムの取り方が違う二人の足元。色っぽさが凝縮されたあのシーンは本当に最高です。ジャズってだけでエロいのにね(?)

ペーパードライバーの先輩と、免許取って2年目ペーパードライバーの私の高速爆走旅。私高速乗るの2回目でした。恐怖すぎる。

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行く前からもしかしたら……と薄々思ってたんですけど、「しばらくの間、休業させて頂きます」の貼り紙。つらい。

ここで二人はお酒を飲んで、今野は煙草吸っちゃって、どんどん沼にはまっていったんだなあ、と考えるだけでわくわくしたので良しとします。

というか日浅と今野も盛岡から高速飛ばしてきたのか!?と考えるだけでテンションが上がる。

二日目は盛岡近郊。

目が覚めたらそこは雪国でした。雪予報が出てたので降ってるの見れたらいいなあくらいに考えていたら、まさかの雪積もってた。11月に雪が見れるなんて地元では無い、というか雪が積もること自体がそんなにないので雪が見れて本当に最高だった。南の人間なので雪にはとても憧れがあります。雪大好き。

とはいえ、影裏は「夏」の映画。それを強く実感した冬景色の盛岡市内を巡った二日目でした。

例えば二人が初めて釣りに行った「志戸前川」

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雪景色、綺麗なんだけど映画の中の夏の光を浴びた川、二人を囲む青々とした緑、今野の白いシャツは当然のごとく「夏」でしかないし、今野の日浅へのなにかの予感を感じさせる意味深なまなざしも「夏」っぽいのでは、ちょっと思ったりした。

そしてトラウマのたき火シーン。未だに胸が痛くなるたき火シーン。見方を変えれば愛おしくも見える、あの地獄のようなたき火をやっていた「葛根田川」

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ロケ地MAPには石仏橋下、と書いてあったから2枚目の写真の下あたりなのかな?

この透明な美しい川の前で、二人は完全に決裂してしまったのか…と思うとなんとも言えない気分に…

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ガラスみたいな火、ガラスみたいに透明な川。あの夜の二人の関係も、つめたくて痛い、ガラスの欠片みたいだったね(なんのポエム???)

あの夜について監督は、「日浅は今野とたき火だけがあればよかった」と言っていましたが、先輩が「いや日浅は井上さん呼んでたじゃん、井上さんは何だったんだ」と井上さんを気にしていたのがちょっと面白かった。私はあのシーンの井上さんについてはあんまり考えたことなかった(笑)しかし影裏について話しながらロケ地を回れる幸せさよ。ほんとうに先輩には感謝しかない。

しんどい川を見届けた後は、二人の楽しい思い出がたくさんの市内へ。

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櫻山神社前の商店街。エモい。もうこの画がエモいよね。二人が笑い合っていたあの夜明け前…

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東光書店。ここに立ち寄るシーンも大好きなシーン。「寄ってく?」「好きなんだよね」っていう会話が愛おしい。寄ってく?ていう日浅めちゃくちゃ優しくて…。

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中津川沿い(私と先輩はしょんぼりの川と勝手に呼んでいた)。今野の背中がかなり印象的なシーン。このシーンも大好き。

背中だけで今野がどんな気持ちなのか、どんな顔をしているのかの想像を湧き立たせることのできる綾野剛の素晴らしさよ。

こういう状況だからみなさん自粛しているのか、土曜日だけど人は少なくて車の音も人の声も聞こえない。川の流れる音がよく聞こえる。この音を聞きながら、今野も消えた日浅の影、行方を背負って、何を考えてどんな気持ちで歩いていたのかなあ、と話しながら、私達も心なしかしょんぼりしながら川沿いを散歩しました。

福岡市内の喧騒とは全く違う静けさが沁みた。

この街で、今野と日浅は生きていたんだなあ。

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そのしょんぼり川こと中津川沿いにある「喫茶 ふかくさ」

外観が素敵すぎる~!綾野剛と監督のサインが壁の棚?に立てかけてあって、恐る恐るあれ綾野剛のサインですよね…と聞いたら、見ていいですよ、写真撮っていいですよ、と言ってくださって圧倒的優しさに感謝。


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VILLA ROSSO TRE紫波。

西山さんとの会話が不穏すぎるあのカフェです。二人が座っていた席に座ったよ。二人が食べていたスイートポテトを頼んだらラス1無くなりました…と言われて悲しみに暮れてたら、ハーフなら出せます!と店員さんが言ってくれて、優しさに泣いた。スイートポテト美味しかった。

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お昼ごはんは綾野剛が気に入っていたぴょんぴょん舎の冷麺。美味しかった!梨の違和感がない。すごい。

あと二人が映画を見ていた「ルミエール」の前も通ったけど写真撮るの忘れてた。

途中立ち寄った市のコミュニティセンター「プラザおでって」

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影裏コーナーには監督と沼田さんのサインと台本が飾ってあった。そして延々と流れ続ける映画の予告。影裏は劇伴も最高だと思っているんですど、ギターのキィーン!みたいな音が不穏すぎて本当に好き(https://www.youtube.com/watch?v=NW5FRBd1pCE 予告30秒あたり)、この音が聞こえてきて展示コーナーがあるのに気づいた。

行程作るのに非常に助けられたロケ地MAPの紙版があったのでGET。

そんな感じの影裏ロケ地巡りでした。

ロケ地巡りというものを初めてやったんですけど映画の欠片を拾い集めているみたいで本当に楽しかった。

影裏ファンでロケ地巡り検討されてる方に言いたいのは、ぜひ、夏に計画した方が良い!ということです。さんさ踊りも見れたら最高ですね。

影裏、映画の中でも季節、歳月が移ろっているけれどやっぱり「夏」の映画なんですよね。川の匂い、木々の匂い、夏の匂いが映像から香ってくるもんね。

映画の中に差し込まれた盛岡の自然・風景の美しさは、夏の美しさでもあるなと思ったり。美しいばかりではなく、時に脅威となって襲い掛かる、それが自然の偉大さ、恐ろしさだということも伝えている映画だけれど。

ただ、冬の静かさも、日浅の東北の人らしさ(監督が仰ってた、言葉をため込むとか余白とか)、映画自体の余白、に通ずるものがあったりするのかな?とか、雪の中に佇む今野もそれはそれは美しかろう、なんて想像してみたりして。

まだまだ影裏に囚われているので、突然思い出したかのように喋ると思います。

2020年、すごい映画に出会ってしまった。というか、綾野剛という存在に気付いてしまったのが青天の霹靂だよ。

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